偽物ヒーロー

高校一年生の時僕は不登校になった。原因は環境に馴染めなかったのとクラスでの虐め。

そしてトラウマや自傷で学校に行くことは困難になった。

ヒーローというのは人を救ったり、教えたりする人たちの事。例えば警察官、教師、看護師、医者等。

ヒーローがいるので勿論ヴィランも居る。一言で云うなら社会不適合者。引きこもり、ニート僕みたいな不登校。ヒーローはヴィランを救うために存在する

今日僕の家に訪問したヒーローは大方カウンセラー。いい迷惑だ。

この質問。大嫌い

春斗さんは無理強いをしない。そして僕はヒーローが大嫌い。だから春斗さんは春斗さんとして僕に勉強を教えて、ゲームを一緒にしてくれる。

春斗さん『は』好きだ。

ああ。この時間が続けばいいのに。そして春斗はヒーローじゃなかったら善かったのに。

ごめんね。どうしてごめんなの?ありがとうじゃないの?其れじゃあ僕が悪いみたいじゃないか。

次の日女のヒーローが来た。見た目は美人だけど云うこと全てに腹が立った。

母さんは喜ばないよ。父さんだって。心配なんてしてない。心配してるのは母さんの自分の地位だ。

女のヒーローが声を荒げた。 そうか此れが本性か。 『ヒーローになんて口聞くの!』

ヒーローは何時も光に照らされて讃えられ、尊敬される

ヴィランは何時も闇を彷徨い、貶されて、邪魔者。

ヒーローは暴力を使っても人々を守ったと称賛される

ヴィランが暴力を使うと犯罪者

ヒーローとヴィランなんて紙一重。

このヒーロは僕が行くと云うとにこやかに笑い携帯を手に取った

此のヒーロはきっと此後昇格されるのだろう。ヴィランである僕は彼らの栄光のため、踏み台にされた。

きっと同じような人が沢山いるはず。僕は其れを世界に知らしめたいと強く思った。

次の日学校に行くと机の上に花瓶と彼岸花が生けてあった。

僕が皮肉めいたことを言うと先生は吃らせた。そして苦笑いし教室の外に出てしまった。

僕は校舎裏でリンチされた。先生は今頃校長室。糞ヒーロー。

ヒーローは三十分後にやって来た。主役は遅れて登場かよ。呆れる。その間大変な目にあっていた人いるはずなのに

此奴の目が。大嫌い。此れが正しいと言わんばかりの正義感で溢れた目

授業は道徳だった。道徳は嫌いだ。綺麗事のオンパレード

クラスの女子も真剣になった『つもり』で授業を受ける。気色悪い

意見交換の時間僕は班の人達の意見に何故が物凄く腹が立って同仕様も無くてその場しのぎで手首を切った。

ー隣の人の言葉が何度も頭の中で再生される。理解されない。誰も助けてくれないどうせ救ってくれない。

ヒーローのその言葉で鶏冠にきた。もう我慢したくない。

どうして、

どうして

どうして

ヒーローは俯いたまま僕のところまで無言で歩いてきた。周りの観客は呆然とただ其れを見ていた。

そしてヒーローは僕にこう言った。

ヒーローが魅力的だからよ。 ヒーローが美しいからよ。 そして大多数のほうが完璧だから

ヒーローは上っ面だけでも充分に素晴らしいからよ。

ヴィランは退屈なの。ヴィランは惨めなの、汚いの。

だからヒーローは何をしても褒められるの

最後に勝つのは何時もヒーローよ

その後僕は警察に連行され、病院に強制入院

ヒーローは存在しない。

存在するのは、ヒーローの皮を被ったヴィランだけだ。