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昔々… ある小さな村に

ハンナという 女性が住んでおりました

ハンナ

ほら、ルイス
早く薪を拾って!

ハンナ

夜になってしまうわ!

ルイス

全くハンナは
せっかちだな〜

ハンナ

だって結婚式の
準備があるのよ?

ルイス

大丈夫さ
皆が手伝ってくれるよ

ハンナ

全く…呑気ね

ハンナ

私…もう23歳よ?
早く結婚がしたいわ

ルイス

僕の奥さんは
慌てん坊だな…

ハンナ

もうっ!
ルイスったら

ルイス

はははっ!

お爺様

楽しそうだね
2人共…

ハンナ

お爺様っ!!

ハンナ

一人で出てきたの?

ルイス

身体は大丈夫?

お爺様

ははっ
そんな心配するな…

ハンナ

心配するわよ!

ハンナ

お爺様は私達の
親だもの!!

ルイス

そうだよ!!

お爺様

ありがとう…
嬉しいよ

お爺様

実は…

お爺様

少し…
悩み事があってね

ハンナ

悩み事?

お爺様

エミリアが…
村を出ると言うのだ

ルイス

え!?

ハンナ

エミリアが!?

お爺様

あぁ…
私には止められん…

ハンナ

そんな…

ハンナ

こんなに素敵な村を
出るなんて…

ルイス

ここ以上に
幸せな村は無いのに…

ハンナ

本当…
私達は毎日が幸せよ

お爺様

うむ…

お爺様

この村は
素晴らしい…

お爺様

だが

お爺様

この村を出て
戻ってきた者はおらぬ…

ハンナ

そうよ…!
外には獣が…

ルイス

村を出た物は皆…
獣に食べられたとか

ハンナ

エミリアを
止めないと…!

ハンナ

私…エミリアと
話してみます!

お爺様

お爺様

よろしく頼むよ…

その夜

ハンナはエミリアと 話しをしました

ハンナ

ねぇエミリア
考え直して…!

ハンナ

外は怖い場所なのよ?

エミリア

ハンナ…
ごめんなさい

エミリア

私…どうしても
外の世界が見たいの!

ハンナ

こんなに幸せな村を
出るなんて…

エミリア

確かに…
ここは居心地が良いわ

エミリア

でも…

エミリア

おかしいと思わない?

ハンナ

え?

エミリア

エミリア

私達の親はどこ?

ハンナ

お爺様に
決まってるでしょ?

エミリア

この村の村人は
120人近くいるのよ?

エミリア

なのに

エミリア

若者ばかりで…年寄りは
お爺様だけ

エミリア

おかしいわ…

ハンナ

それは…

エミリア

エミリア

私…何かを
忘れてる気がする

ハンナ

何かって?

エミリア

それを見つける為に
村を出るのよ…

ハンナ

ハンナ

エミリア…あなた
本気なのね?

エミリア

えぇ…それに

エミリア

この村で結婚をして
人生を終えたくないわ

ハンナ

エミリア

私はもっと
色んな人に出会って

エミリア

自分が決めた相手と
結婚がしたいの…

ハンナ

分かったわ…
もう何も言わない

ハンナ

でも、約束して?

エミリア

約束?

ハンナ

外の世界を見たら
一度この村に帰って来て

ハンナ

私に外の世界を
聞かせてちょうだい

エミリア

エミリア

もちろんよ

エミリア

必ず帰って来るわ…

次の日

エミリアは村を出ました

お爺様が 無事を祈る笛を吹き…

村人全員が 寂しさに涙を流し…

送り出しました

それから

何日経っても

何週間経っても

エミリアは 帰って来ませんでした

ハンナ

…エミリア

ルイス

大丈夫…
きっと帰ってくるさ

ハンナ

…そうね

ルイス

獣に食べられて
無ければな!ははっ

ハンナ

!?ルイス!

ハンナ

何でそんな…
酷い事を言うの!?

ルイス

村を出た人間は
よそ者だよ…

ハンナ

…なんですって?

ルイス

それから
君は僕の妻なんだ

ルイス

これからは
君が一人で薪を拾え

ハンナ

あなたは?

ルイス

家に帰るよ…

ルイス

薪を拾うのは
妻の仕事…

ハンナ

そんな

ルイス

なんだ?その顔…

ルイス

行き遅れを
嫁にしてやったんだ

ルイス

有り難く思えよな

ハンナ

ハンナは ルイスの事を

好きという訳では ありませんでした

小さな村なので

選ぶ程 男性がいなかったのです

さらに

結婚してからの ルイスは

ハンナを 愛してくれませんでした

ハンナ

もう…耐えられない

ハンナ

エミリア…
どこにいるの?

ハンナ

ハンナ

この道を…

ハンナ

もう少しだけ
歩いてみたら…

ハンナ

会えるかもしれない…!

「エミリアに会いたい…!」

その気持ちだけで

ハンナは歩き続けました

ハンナ

あら?
見た事のない風景だわ…

ハンナ

…ここは?

旅人

こんにちわ!

ハンナ

!?

旅人

そんなに怯えないで!

旅人

怪しい者じゃないよ?
ただの旅人さ

ハンナは戸惑いました

村人以外の人間を 初めて見たからです

旅人

一人かい?

旅人

どこから来たの?
送るよ?

ハンナ

…山の中

旅人

え?山の中?

ハンナ

はい

旅人

この近くの山に
人が暮らせる場所が?

旅人

知らなかったなぁ

ハンナ

…そう

旅人

服装も一昔前の
ドレスみたいだし…

ハンナ

…私
帰ります

ハンナ

一人で大丈夫なので

旅人

ちょっと待ってよ!

旅人

せっかくだから
話し相手になって?

ハンナ

え?

旅人

急いでる訳じゃないだろ?

それから 旅人は話し始めました

今まで旅をした 世界の話しを…

それは どれも面白く

あっという間に ハンナは旅人に惹かれました

ハンナ

ふふっ!
本当のお話し?

旅人

本当さ!!

旅人

寝ようとした場所が
ネズミだらけ!

旅人

あれには
鳥肌が立ったよ

ハンナ

まぁ怖い!

ハンナ

私の村には
関係ない話しだけど

旅人

清潔な村なんだね?

ハンナ

清潔だし、
過ごしやすいわ

ハンナ

あと、お爺様は
ネズミ退治が得意なの!

ハンナ

それから…
村人は仲が良いし

ハンナ

世界一幸せな村よ

旅人

すごい…

旅人

行ってみたいなぁ

ハンナ

来てくれたら
嬉しいわ…

旅人

でも、その前に
近くの街に行かないと…

ハンナ

街?

旅人

知らないのかい?
この道を少し歩くと

旅人

大きな街に出るんだ

ハンナ

…へぇ
知らなかった…

旅人

すぐそこだから

旅人

君も行くかい?

ハンナ

で、でも…獣が

旅人

獣?そんなの出ないよ

ハンナ

え?

旅人

ここら辺は、穏やかな
動物ばかりだから…

旅人

さ!

旅人

一緒に行こう?

ハンナにとって

それは 魅力的な誘いでした

「日が暮れるまでに帰ろう」

自分にそう言い聞かせて

旅人について行きました

ハンナ

建物が大きいわ…

旅人

そんなに珍しい?

ハンナ

こんなに沢山…
家があるなんて

旅人

観光しようよ!
教会が有名なんだ!

ハンナ

教会?

…ハンナ?

ハンナ

え?

ハンナ?
ハンナでしょ!?

ハンナ

な、何?

旅人

知り合いかい?

ハンナ

いいえ…
知らないわ

20年前に
誘拐された…

私の娘…!

ハンナ

ハンナ

…え?

目元や鼻に
面影があるわ!!

ハンナが
帰ってきた…!

数ヶ月前…

花屋の娘のエミリアも
帰ってきたのよ…!

ハンナ

!?エミリア…

あぁ…神よ…感謝します

旅人

あの…

旅人

誘拐って何ですか?

笛吹き男に
拐われたのよ…

ハンナ

!?

旅人

笛吹き男?

不思議な音色の
笛を吹いて…

この街の子供を全員
連れ去った…!

あの男は悪魔よ!!

ハンナ

ハンナ

…笛

ハンナ

まさか

ハンナ

ハンナ

お爺様が…?

旅人

なぁ…ハンナ
君の村はどこだい?

旅人

この話しが本当なら

旅人

他に誘拐された人も
助けないと…!

ハンナ

え、えっと…

ハンナ

あの山…

ハンナ

いえ、あっちの山…?

ハンナ

ハンナ

…あら?

不思議と

自分の村に帰る道を

ハンナは忘れてしまいました

そして

あんなに 幸せだと思っていた村が

とても

恐ろしく思えたのでした

fin

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コメント

12

ユーザー
ユーザー

ハンナが助かって良かった....! 自分の生活が当たり前になると他の人の当たり前が 不自然に感じる..... 人間って不思議🙄

ユーザー
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