コメント
2件
おぉぉぉ‼︎続き待ってます!
ハラム
ハラム
ハラム
ハラム
ハラム
明奈に連れてかれ、俺は五畳くらいの部屋に座った。 そして、すぐに明奈が来て、料理を持ってきた。 握り飯だった。 梅と、 鮭のおにぎりを腹にいれた。 空腹が見事に消えた。 明奈は食器を持って行き、部屋を出ていった。 部屋を見渡すと、壁紙は汚く、畳はトゲトゲしてて痛かった。 とても酷い環境だった。 明奈が戻ってきた。 「うまかったか?」 俺は首を縦に振った。 「そうか!」 明奈は嬉しそうに笑った。 「そーいやお前名前は?」 俺は小さい声で言った。 「天元。宇随天元。」 明奈は微笑み言った。 「天元か!よろしくな!俺は明奈!」 俺? 明奈の一人称に疑問を覚えた。 明奈は手を差し出してきた。 俺は疑問を抱えたまま握手をした。 明奈と俺は雑談をした。 俺が話した内容は、自分が忍だと言うこと。 訓練が嫌で逃げ出したこと。 家族の事。 今まであった、すごかったこと。 明奈は飽きずに興味津々で聞いてくれた。 少し、可愛かった。 明奈が話した内容は、今いる場所の事。 今、明奈は遊郭で遊女をしている。 遊女とは親に売り飛ばされた貧しい女が多い。 けれど、その遊女は必ず衣食住が保証される。 ここはときと屋と言う店らしい。 けれど、明奈は言葉使いが悪いため、評判が悪く、ここにいるらしい。 何で言葉使いが悪いのか聞くと、答えようともしなかった。 明奈はとても怖い顔をしていた。 俺は頭に霞がかかったようにモヤモヤした。 あと話したのは明奈の妹達だ。 明奈には妹がいるらしい。 母親が、明奈と、妹を遊郭へ売ったらしい。 そして、このときと屋でずーっと雑用を二人でやっている。 えーん えーん どこからか女の子の泣き声がする。 ガラッと扉が開いた。 そこには女の子と、ババァが立っていた。 「よぉ!どうした?」 明奈が二人に語りかけた。 「こいつが皿を割って、指を切ったのよ。」 ババァが少し震えた声で言った。 「あーすまん!本当にすまん!」 明奈は手を合わし、頭を下げた。 そしたらババァが急に女の子を投げてきた。 女の子は床にドン!と音を立てて倒れ、畳のトゲが刺さったのか「痛い!!!」と大声で泣き叫んだ。 「テメェ!」 俺は声を大にして怒鳴った。 ババァは俺を見て 「何?この汚いクソガキ。」 と言った。 俺は殴りかかろうとした。 その時、俺は頭を押さえつけられ、額が畳にぶつかった。 隣を見ると、明奈が俺と同じ体勢をとっている。 土下座だ。 「本当にすまねぇ!こいつ、この世界に来たばかりなんだ!こいつと、須磨の事は俺が責任をとる!」 明奈はさらに俺の頭に力をのせた。 「だから!許してくれ!」 ババァは俺達を見て、鼻で笑った。 俺は今すぐにでも殴りかかりたかった。 ババァは鼻で笑い、ボソッと何か言った。 「少し顔が綺麗なだけで、お前なんか必要にされてると思うなよ。」 ババァは立ち去っていった。 明奈は妹のもとへ行き、慰めていた。 「大丈夫か?ここか?今手当てしてやるからな。」 そう言って、なれた手付きで手当てをした。 妹の名前は須磨と言うらしい。 俺は明奈に怒鳴った。 「何でだ?何で頭を下げた!?何で抵抗しなかった!?」 明奈は手当てしながら言った。 「じゃあどーすんだよ。」 次の瞬間大声で怒鳴った。 「じゃあどーすんだよ!あ?テメェ!」 「いいか!?さっきも話したろ。遊女はな、必ず衣食住は保証されてんだよ。」 「けれど、女の顔に傷でもつけてみろ。追い出されんだよこっちは。」 「もうやめてくれ。もう、何も俺から奪わないでくれ。」 明奈は本当に怒っていた。 俺は謝った。 「すまん!俺が悪かった!」 明奈は言った。 「俺も悪かったな。許せ。」 俺は許してもらえて安心した。 「お姉ちゃん!」 須磨が突然泣き出した。 「どうした?まだどこか痛いのか?」 「違う!」 須磨は泣きながら言った。 「私達何でこんな扱いをされてるの?何でこんなじめじめした部屋にいるの?」 明奈は黙っていた。 「他の人は、ふかふかの布団で、綺麗な部屋で寝てるのに、私だって頑張っているのよ!?」 「これも全部お姉ちゃんのせいだ!」 「お姉ちゃんなんかだいっきらい!」 そう言って、須磨は部屋を飛び出していった。 明奈は目が赤くなっていた。 そして、ボソッと言った。 「俺だって分かってるよ。だけど、この言葉しか知らねぇんだよ。」 俺は聞き逃さなかった。 俺は言った。 「なぜ知らねぇか、深く聞かねぇが、お前、言葉使いが可愛らしきれゃ花魁にはなれるぞ。」 明奈は涙をポロポロ流しながら言った。 「けれど、分からねぇ。どうしたらいいんだよ!」 俺は考えた。 そして、一つの案が浮かんだ。 「俺が一から教えてやる!」 明奈はきょとんとしていた。 「俺は忍だ。変装をするために女言葉はよく使う。それをお前に叩き込んでやる!」 「で、なんだ?見返りは?」 なぜすぐに見返りの事を聞くんだ? 「えーっと、じゃあ料理を教えてくれ!」 「料理?そんなんでいいのか?」 「あぁ!それでいい!」 そこから俺と明奈の特訓生活が始まった。 あれから一年がたった。 俺は料理を基礎から叩き込まれ、完璧にできるようになった。 明奈はと言うと 「ねぇ天元。これ似合う?私、こっちの方がいいと思うんだけど、どうかしら?」 赤い着物を着た、明奈が紺色の着物を持って質問してきた。 「俺は紺が似合うと思うぞ。」 「私もそう思ってたの!じゃあちょっと待っててね!」 そう言って走っていった。 今日は明奈が初めて客の相手をする日だ。 とてもウキウキしていた。 やっぱ言葉使い一つで、人はここまで変われるものなのか。 明奈 頑張れ! 夜 明奈がウキウキしながら帰ってきた。 どうした?と聞くと、 「はやく荷物をまとめて!引っ越しよ!」 須磨は 「え!?ホント!?」 と、大声で言った。 ここよりいいところに住めるんだもんな。 そりゃ嬉しいわ。 俺も引っ越しを手伝った。 部屋につくと、五畳くらいの部屋だった。 そのかわり、畳はすべすべで、壁は花柄で綺麗な部屋だった。 須磨ははしゃいでいた。 明奈、頑張ったんだな。 すごいよ。 一通り荷物を整理し終えると、明奈に呼び出された。 ついた場所は、遊郭を見下ろせる、山だった。 空を見ると、星空に三日月が見事に映えてる。 「天元。」 明奈は俺を見て、あるものを渡した。 「はいこれ、今日誕生日でしょ?」 そういって、淡い桃色の水晶がついた、ヘアバンドをくれた。 「あんた髪長いから、これで纏めなさい。」 そう言って、頭に着けてくれた。 「うん!カッコいい!」 「私ね、その水晶が大好きなの。」 「名前は紅水晶。」 「とても綺麗な桃色で、しかも力が宿ってるのよ。その水晶に。」 俺はなんの力だと聞いた。 「慈愛。優しさ。和やかさ。」 「そして、女性的な面を引き出し、内面の美しさを輝かせる。まさにあなたが私にしてくれたことじゃない。」 「ありがとう。天元。」 まさに彼女のためにあるような石だった。 「そして、もうひとつ贈り物があるの。」 「私の過去。」 「今のあなたになら話せる。」 「私がなぜ、男の言葉しか話せなかったのか。」 「それをあなたに話す。」 俺は彼女の過去の話を聞くことになった。 「私には父親がいないの。」 「母親は自分の体を売る仕事をしていたわ。」 「そして、毎夜 毎夜男が私の家に入って、私は追い出されていたわ。」 「そして、男の声が家から漏れて、そこで言葉を覚えてしまった。男の言葉を。」 「たまに男と二人になると、男は私を蹴るの 殴るの 怒鳴るの。 そして・・・」 やめろこれ以上言うな。 「私を押さえつけるの。」 やめろ。 やめろ。 「それから・・・」 「やめろ!!!」 俺は怒鳴った。 明奈はビクッとしながら 「ごめんね。」 とあやまった。 いや、お前は悪くない。 「それから数ヵ月がたち、須磨が産まれた。」 「そして、母親は私達をここに売り飛ばし、病気になって死んだ。」 「私は必死に須磨を守ったわ。男だらけだから。また、私と同じ思いをさせないって。」 「だから、男と関わらないかわりに雑用をやってたのよ。」 「そこで、あなたと出会った。」 俺は黙っていた。 「どう?もう汚れてるの、私。嫌いになった?」 俺は明奈を抱き締めた。 「いや、今でも好きだ。大好きだ。」 「天元。ありがとう。」 「おい。」 後ろから声が聞こえた。 振り返ると、そこには化け物がいた。 角がはえ、全身が黒い、化け物だ。 「その女、稀血だな。」 稀血?何言ってるんだ? 「その女をよこせ。そうしたら命は助けてやる。」 「無理だ。」 俺は懐から短い刀を取り出した。 「ほぅ それで戦うとはな。」 「じゃあお前から殺してやる!」 手の長い爪が俺を襲った。 刀で受け止めたが、粉々に砕けた。 「死ねぇ!」 死ぬ。 ごめんな明奈。 お前だけでも・・・ 液体が飛んできた。 目を開けると、明奈が立っていた。 赤い血を飛ばして。 血が鬼に降りかかった。 鬼は動きが鈍くなった。 「水の呼吸 壱ノ型 水面斬り」 次の瞬間、鬼の首がとんだ。 鬼の後ろを見ると、空模様の着物を着た、赤い天狗の面をつけた人がいた。 俺はそんなことより、倒れてる明奈の元に駆け寄った。 「おい!明奈は!明奈は助かるのか?」 天狗の面は「無理だ。もう助からん。」 と言った。 「ワシがもう少し早く来れば。」 「て・・・天元。」 明奈はかすれた声で俺に言った。 「明奈!大丈夫か?」 「もう、無理みたい。」 「まだ大丈夫だ!早く!」 俺は明奈を持ち上げようとした。 その手を天狗の面が握った。 離そうとしない。 「離せよ!」 「もう、無理だ。それは彼女自身が一番分かってる。」 「もう、眠らせてやれ。」 俺は涙を流していた。 「あ・・・ありがとう。」 「天元。須磨をよろしく。」 「あの子、一人だと何にもできないから、もし、あの子に一緒にいる人がいたなら守ってあげて。」 「そして、あの子はあなたと同じ忍の場所に送って。」 「私達の親族は誰もいない。」 「あなたならなんとかできるでしょ?」 「あの子、運動神経だけはいいから。」 「それと、天元。あなたに伝えたいことがある。」 「あなたに出会えてよかった。」 「あなたと一緒にいれて、よかった。」 「私に生き方を教えてくれてありがとう。」 「天元。大好き。」 頬を血で真っ赤に染める明奈。 「俺もだ。」 「最後にこんな良い景色で、遊郭を見下ろせ、あなたといれて、死ねてよかったわ。」 「愛してるわ。天元。」 そう言って、明奈は腕を俺の頭に巻き付け、顔に近づけさせた。 唇に柔らかいものが重なった。 接吻だ。 俺は彼女の少ない命の時間を噛み締めた。 そして、彼女の腕は力を失った。 俺は泣いた。 その泣き声は遊郭にまで届いただろう。 明奈、ありがとう。 その後、明奈の遺言通り、須磨をくの一の里に送り、俺は家に戻った。 そして、訓練に励んだ。 自分自身の弱さの記憶をなくしたくて、一生懸命訓練した。 俺は全て思い出した。 忘れようとしていた記憶を。 明奈、見てるか?俺はここまで強くなったぞ。 フッと、視界が写真に戻った。 時計を見ると、三分しかたってない。 俺は皿を洗い、明奈の料理を作った。 三人はのそっと起き上がり、誰かが俺を見た。 「おはようございます。天元さん。」 後ろを振り返ると須磨がいた。 こんなに大きくなったんだな。 涙が溢れそうだった。 「おはよう。須磨。」 俺はそう言って、朝飯を作る。 三人は布団を片付け、俺が飯を作り終え、三人にだした。 今日の朝飯は握り飯だ。 もちろん梅と、鮭だ。 三人は握り飯を口にいれた。 とても、美味しいと喜んでいた。 須磨はポロポロと涙をこぼしていた。 「懐かしい味。何年も食べれなかった味がする。何でだろう。」 俺は須磨の頭を撫でた。 須磨は大号泣をしていた。 俺はこれからこいつらに料理を教える。 明奈のように。 明奈の料理は俺が継いで行く。 明奈が俺に、してくれたように 今度は俺がこいつらに教えるんだ。 明奈、ありがとう。 俺はまだ知らなかった。 鬼の牙がゆっくりと俺達を襲おうとしてる事を。 俺は知るよしもなかった、 祭りの神が奏でたい音 中編2 完