幼馴染の転入生

華宮高校体育祭当日

俺はそんなことより準備しに行っているみなとが大丈夫か心配

あの日以降俺は一切体育祭について聞かなかった

みなとはちゃんと心が保っているのだろうか…

朱雀と玄武が退場して白虎と青龍が入ってきた途端声援の仕方が変わった

太鼓の音も声量もさっきと比べ物にならない

覚悟が決まったなら良かった

みなとがこっちに向かってくる

そう言ってみなとは青い学ランを俺に預けた

みなとは頬をペチッと叩くと顔つきが変わった

グラウンドの真ん中へと戻っていく

殴り合い…？

それは…

確かに俺らに言ったら心配するし怒りもしたかもしれない

あの優しい両親を亡くしたのか…

そうか…

だから怖くて言えなかったんだな

みなとを見ると戦闘態勢に入っていた

白虎の方も構えている

何かを合図にお互い飛び出して拳を打ち込む

こっちは知らなかったからおどおどするしかない

でも周りの歓声を聞くと体育祭のメインなのだと感じる

砂埃が舞う中みなとが応戦している

俺はかっこいいと思った

あんなに可愛いみなとだけど

こういう一面があるって知れて俺は嬉しい

女子校の中で先頭に立つみなとはかっこよくて

優しくて

きっとみんなに慕われてたのだろう

砂埃が収まり始め白旗が見えた

上げていたのは

白虎だった

みなとは所々怪我してるけど勝った

俺もみなとを誇らしく思う

俺は今すぐにでもみなとを抱きしめたくなっていた

教室に入るとみなとは体の汚れを落としていた

そう言ってみなとは振り返った

友達がいると思って話しだしたのだろう

俺を見て気まずそうに俯く

俺はすぐにみなとのそばに行って抱きしめた

みなとが俺を離そうとする

俺はそのままみなとを離さなかった

みなとの肩は少し震えていた

怖かったのだろう

いやまだ怖いのかもしれない

友達はみなとの傷に消毒液をかけた

みなとがばたばたと暴れる

俺は暴れるみなとを頑張って押さえる

友達はペチッと絆創膏を貼る

俺は落ち着いたみなとの頭を撫でる

友達は俺達を教室に残して校庭へと向かった

二人になるとみなとはまた気まずそうな顔をした

俺はもう一度抱きしめ直して話を始めた

みなとは俺を離させた

俺は知ってる

このときみなとが必死に涙を堪えていたことを