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めっちゃいい!♥1000しました!②も楽しみにしてます!
先輩はいつも
どこか遠くばかりみている.
◇
◇
望月 京香
そう美術室の窓から、じっと
グラウンドの方へと視線を
向ける先輩を呼んだ.
それでも、私の声が
届いていない先輩に歩み寄った私は
先輩の耳元まで唇を寄せた.
望月 京香
そういつまでも気づかない先輩への
ほんの少しのイタズラ心で
″ 先輩 ″ と付けずに言った.
誠
こちらを見た先輩は
初めて見るほど驚いた表情を
していて私は戸惑った.
誠
そう言って、取って付けたような
綺麗な笑顔で
″ どうしたの?″ と私をみた.
私の目の前にいる先輩は
いつも遠い.
私を写しているその瞳には
きっと、私なんていない.
望月 京香
誠
望月 京香
望月 京香
誠
誠
そう少しだけ困ったように笑う先輩を
私はどうしようもないくらい好きだ.
◇
◇
もう風が冷たくて
″ もうすぐ冬がやってくる ″
そんなことを思いながら
私はさっきの先輩のように窓の外から
グラウンドを見つめていた.
先輩はどんな想いで
どんな気持ちで
もうここにはいない人の面影を
この窓から探しているのだろうか.
誠
そう聞こえて、私は
視線を先輩へと移した.
誠
誠
誠
誠
望月 京香
誠
誠
そう言って、私の言葉を待つように
じっと私を見つめる先輩の瞳には
やっぱり私なんて見えて
いないんじゃないかと思った.
誠
それが去年卒業した、
″ 先輩の好きな人 ″ のことだなんて
嫌でも解ってしまう自分が憎かった.
噂の中のその人は、綺麗で明るく
優しい人で、そして私の声と
その人の声は似ているらしい.
そんな見たことのないその人に
私は何度、嫉妬したことだろうか.
けれど、その人の噂を聞くたび
先輩の横顔を見るたび
私は一生敵わない、きっと
素敵な人なのだろうと思った.
望月 京香
望月 京香
誠
望月 京香
望月 京香
望月 京香
先輩は驚いたように
ゆっくり瞬きをすると
誠
そう言ってクスクスと優しく笑った.
望月 京香
望月 京香
💓きたら続きだします!!🙌 読んでくれて📖 ありがとです!!😂 ぜひ他のも 見てみてください!!💨