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都内某所 20時04分

葉村 笠奈

苛つく

目の前には五十嵐さんの死体。

私の右腕、白いシャツにタイトスカートは 真っ赤に染まっていた。

何度も何度もナイフを突き刺し、血が噴き出しても、刺すことをやめなかった。

そんな私を見て、

田中 遊星

人殺し

とへらへら笑った。

加藤 心美

人殺しって何よ!

彼女は叫び、私の隣に立つ。

加藤 心美

先輩が殺さなかったら、
みんな死んでた!

田中 遊星

ははは……流石人狼

田中 遊星

庇うねぇ〜

加藤 心美

夜、あなたが死ねば良いのにね

田中 遊星

ふっ、では

彼は立ち上がり、 眼鏡をくいっと上げて笑った。

田中 遊星

僕が死んだら貴女が人狼確定、
皆さん良いですね?

加藤 心美

自分から首に鎌を掛けるんだ?

田中 遊星

僕は死にません、

田中 遊星

僕が死ねば貴女が人狼の証明になる

加藤 心美

残念ながら、

加藤 心美

私に人狼を擦りつけたい人狼が、
貴方を殺しに来るわ

遊星は笑い、警察ふたりを見た。

田中 遊星

警察官さん、

田中 遊星

この女の人、人殺しですよ?

葉村 笠奈

……

湯野田 留衣斗

……

田中 遊星

逮捕、してあげたら
いいんじゃないですか?

田中 遊星

現行犯ですよ

湯野田 留衣斗

……

湯野田くんは困った顔をして、 ちらっと隣の淵後さんを見た。

淵後さんは、 首輪に手を当てたまま黙っている。

田中 遊星

はっ、何黙ってるんですか?

湯野田 留衣斗

……

田中 遊星

公務員失格だ、

田中 遊星

税金泥棒とは、
まさにこの事ですね!

淵後 竜吾

お前、何言ってんだ?

田中 遊星

はい?

彼は低い声でそう言うと、 ズカズカと近づいていく。

淵後 竜吾

お前、医者を目指してるのか?

田中 遊星

はい?そうですよ?

淵後 竜吾

状況も見れないようじゃ、
ただの頭が良いだけの使えないゴミだな。

淵後 竜吾

資格は持てるが社会人としては子供……

淵後 竜吾

信用すら置かれず、

淵後 竜吾

患者からも
同じ病院の仲間からも嫌われて、

淵後 竜吾

孤立しそうだなお前

田中 遊星

ははは、何を言うかと思えば……

田中 遊星

汚いですね〜あなたは。

身長188cmぐらいある淵後さんを 上目で睨む遊星。 

遊星の生意気さが、 投票辺りから爆発している。

葉村 笠奈

もう、貴方と話すの疲れたわ

私はそう言うと、 ひとりで歩き始める。

田中 遊星

あれ?逃げるんですか?

葉村 笠奈

……

彼の言葉は無視しよう。

加藤 心美

先輩!

心美ちゃんもそう言うと、 私の後を追って広間から出て行った。

都内某所 午後21時01分

山端 昴

これ……どうするんですか

遊星、杉谷が去り、この広間には 警察ふたりと霊媒師の山端、千史さんと 帆乃佳ちゃんの5人だけになった。

山端は床に転がる五十嵐の死体を、 半目で見ていた。

淵後 竜吾

犯人が回収しに来るだろ、
そこを俺が捕まえて吐かせる

齊藤 千史

ルール違反で全員死んだらどうするのよ

と、淵後さんは千史さんに指摘される。

湯野田 留衣斗

……まず、22時からは部屋の外へは
出られないですよね

湯野田くんはこの場で 恐る恐る発言した。

それに、帆乃佳ちゃんもこくりと頷く。

齊藤 千史

思い出した、ちょっとあんた

安藤 帆乃佳

……すみません

齊藤 千史

なんで嘘つくの?

安藤 帆乃佳

……嘘ついてなんか、いません

帆乃佳ちゃんは全力で首を横に振る。

齊藤 千史

はぁ……

千史さんは髪をかき上げ、 ため息をついた。

齊藤 千史

わかった、わかったから。
とりあえず部屋に戻りな

安藤 帆乃佳

……?

齊藤 千史

ここは大人たちに任せて、
お風呂入ってきなさい

安藤 帆乃佳

……ありがとうございます

帆乃佳ちゃんは下を向いたまま、 広間からスタスタと出て行った。

山端 昴

……どうするんですか

再び、山端くんが同じ質問をする。

齊藤 千史

ちょっと待ってなさい

千史さんは何かを思いついたのか、 広間から出て行った。

そしてしばらくすると戻って来た。 その手にはシーツが握られていた。

齊藤 千史

彼の部屋のシーツ、

齊藤 千史

あそこの部屋のものは使わないでしょ

そう言うと、千史さんは 五十嵐の死体に被せた。

白いシーツに、赤い液体が滲む。

山端 昴

……ここに、置いておくんですか

齊藤 千史

じゃあなに、何処に移動させるの?

山端 昴

……

山端はちらっと大きな窓を見つめた。

齊藤 千史

はぁ、悪いけどそれは、
男のあんたたちでね

千史さんはそうため息をつくと、 腕を組みながら広間から出て行った。

淵後 竜吾

湯野田、やるぞ。

淵後 竜吾

おいお前、名前は

山端 昴

山端昴……です

淵後 竜吾

山端と湯野田、お前らは下待て。
俺は頭を持つ

都内某所 午後25時38分

私はベッドの上に座り、 両手でリモコンを握り締めていた。

やはり、夜は怖い。

人生を諦めていたが、 死ぬ時は怖い。

五十嵐さんもきっと、 そうだったに違いない。

???

!!!!!

声にもならない叫び声が、 ドアの向こうから聞こえた。

下だろうか、同じ階だろうか。

???

!!!

???

!!!!!!!

???

…………

何度も何度も聞こえた叫び声が ぷつっと聞こえなくなった。

――生きた。

私は、他人の死で安心した。

人狼ゲーム Depravity -堕落-

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