都内某所 20時04分
葉村 笠奈
目の前には五十嵐さんの死体。
私の右腕、白いシャツにタイトスカートは 真っ赤に染まっていた。
何度も何度もナイフを突き刺し、血が噴き出しても、刺すことをやめなかった。
そんな私を見て、
田中 遊星
とへらへら笑った。
加藤 心美
彼女は叫び、私の隣に立つ。
加藤 心美
みんな死んでた!
田中 遊星
田中 遊星
加藤 心美
田中 遊星
彼は立ち上がり、 眼鏡をくいっと上げて笑った。
田中 遊星
皆さん良いですね?
加藤 心美
田中 遊星
田中 遊星
加藤 心美
加藤 心美
貴方を殺しに来るわ
遊星は笑い、警察ふたりを見た。
田中 遊星
田中 遊星
葉村 笠奈
湯野田 留衣斗
田中 遊星
いいんじゃないですか?
田中 遊星
湯野田 留衣斗
湯野田くんは困った顔をして、 ちらっと隣の淵後さんを見た。
淵後さんは、 首輪に手を当てたまま黙っている。
田中 遊星
湯野田 留衣斗
田中 遊星
田中 遊星
まさにこの事ですね!
淵後 竜吾
田中 遊星
彼は低い声でそう言うと、 ズカズカと近づいていく。
淵後 竜吾
田中 遊星
淵後 竜吾
ただの頭が良いだけの使えないゴミだな。
淵後 竜吾
淵後 竜吾
淵後 竜吾
同じ病院の仲間からも嫌われて、
淵後 竜吾
田中 遊星
田中 遊星
身長188cmぐらいある淵後さんを 上目で睨む遊星。
遊星の生意気さが、 投票辺りから爆発している。
葉村 笠奈
私はそう言うと、 ひとりで歩き始める。
田中 遊星
葉村 笠奈
彼の言葉は無視しよう。
加藤 心美
心美ちゃんもそう言うと、 私の後を追って広間から出て行った。
都内某所 午後21時01分
山端 昴
遊星、杉谷が去り、この広間には 警察ふたりと霊媒師の山端、千史さんと 帆乃佳ちゃんの5人だけになった。
山端は床に転がる五十嵐の死体を、 半目で見ていた。
淵後 竜吾
そこを俺が捕まえて吐かせる
齊藤 千史
と、淵後さんは千史さんに指摘される。
湯野田 留衣斗
出られないですよね
湯野田くんはこの場で 恐る恐る発言した。
それに、帆乃佳ちゃんもこくりと頷く。
齊藤 千史
安藤 帆乃佳
齊藤 千史
安藤 帆乃佳
帆乃佳ちゃんは全力で首を横に振る。
齊藤 千史
千史さんは髪をかき上げ、 ため息をついた。
齊藤 千史
とりあえず部屋に戻りな
安藤 帆乃佳
齊藤 千史
お風呂入ってきなさい
安藤 帆乃佳
帆乃佳ちゃんは下を向いたまま、 広間からスタスタと出て行った。
山端 昴
再び、山端くんが同じ質問をする。
齊藤 千史
千史さんは何かを思いついたのか、 広間から出て行った。
そしてしばらくすると戻って来た。 その手にはシーツが握られていた。
齊藤 千史
齊藤 千史
そう言うと、千史さんは 五十嵐の死体に被せた。
白いシーツに、赤い液体が滲む。
山端 昴
齊藤 千史
山端 昴
山端はちらっと大きな窓を見つめた。
齊藤 千史
男のあんたたちでね
千史さんはそうため息をつくと、 腕を組みながら広間から出て行った。
淵後 竜吾
淵後 竜吾
山端 昴
淵後 竜吾
俺は頭を持つ
都内某所 午後25時38分
私はベッドの上に座り、 両手でリモコンを握り締めていた。
やはり、夜は怖い。
人生を諦めていたが、 死ぬ時は怖い。
五十嵐さんもきっと、 そうだったに違いない。
???
声にもならない叫び声が、 ドアの向こうから聞こえた。
下だろうか、同じ階だろうか。
???
???
???
何度も何度も聞こえた叫び声が ぷつっと聞こえなくなった。
――生きた。
私は、他人の死で安心した。