伊倉ひなた
(ちょくちょく話しかける…手を…は、辞めとこ。)
伊倉ひなた
(俺が無理だわ。)
霧島さゆり
おはよう。
伊倉ひなた
はよ。
霧島さゆり
起きてたのね
伊倉ひなた
おう。
霧島さゆり
じゃあ行くわ。
伊倉ひなた
ちょっと待って。
霧島さゆり
…なに
伊倉ひなた
あおいが好きな物とかない?
霧島さゆり
あんたさぁ、私より一緒にいるんだから
霧島さゆり
それくらい知っときなさいよ。
伊倉ひなた
だよな…ごめん有難う。
霧島さゆり
…そろそろ行くね。
伊倉ひなた
(あおいは…やっぱり‘‘あれ’’…だよな。)
霧島さゆり
…あ、あおいが好きなのは、あれだからね。
伊倉ひなた
!…うん。
伊倉ひなた
知ってる─。
霧島さゆり
知ってるなら聞くな!ゴンッ
伊倉ひなた
痛…っ!なにすんだよ!
霧島さゆり
うっさい!
朝
伊倉ひなた
おはよ、あおい
伊月あおい
ビクッ!
伊倉ひなた
あ…
伊倉ひなた
(逃げやがった…)
休み時間
伊倉ひなた
あお…
伊月あおい
さ、さゆり!!
霧島さゆり
な、何…。
伊月あおい
トイレ行こ!!!
霧島さゆり
う、うん…
霧島さゆり
…。
伊倉ひなた
…。
昼
霧島さゆり
あ、あおい…
伊月あおい
ん?
霧島さゆり
凄く零してるよ…
伊月あおい
え?…やば。
霧島さゆり
はい。ティッシュ
伊月あおい
有難う。
霧島さゆり
ねぇ、あおい。
伊月あおい
何ー?
霧島さゆり
なんで伊倉を避けてんの…?
伊月あおい
…。
伊月あおい
気持ちが追いつかなくて。
霧島さゆり
気持ち…?
伊月あおい
この前、キ、キス…されてからおかしくて。
伊月あおい
ひなたの顔を見るのが恥ずかしいし、一緒にいるとどきどきしちゃう…////
霧島さゆり
それってさ…
霧島さゆり
恋なんじゃない?
伊月あおい
そんなわけない…、
伊月あおい
だって相手はひなただよ!?
伊月あおい
ないない!!
霧島さゆり
…。
伊月あおい
もう食べたから、行くね!
霧島さゆり
あおい…っ!
霧島さゆり
はぁ…。
伊月あおい
(私が恋…!?)
伊月あおい
(そんなわけない!!)
伊月あおい
(しかもひなたに!?)
ピロロロロロロロロン…ッ
ピロロロロロロロロン…ッ
伊月あおい
(電話だ…。しかもひなた…)
伊月あおい
(どうしよう…。)
ぷつんっ
伊月あおい
あ、切れた。
伊月あおい
(メッセージがある…。)
伊月あおい
(怖い…。)
伊倉ひなた
なぁ、お前なんなの?
伊倉ひなた
避けて楽しいの?てか、なんで避けんの?
伊倉ひなた
俺はさ…辛くてたまんないんだよ。
伊倉ひなた
なぁ…あおい…
伊倉ひなた
一回話そうぜ。
伊倉ひなた
声が聞きてぇよ。
伊倉ひなた
俺ってばかだよな…。
伊倉ひなた
聞いてるとは限らないのに、お前への想いを言ってるって…
伊倉ひなた
今は2:56だから3:00に、多目的室で待ってる。
伊月あおい
(やばい…涙止まんない…)
伊月あおい
(こんなにも想ってくれてるのに、こんな曖昧な気持ちでいいのかな。)
ガラッ
霧島さゆり
あおい…!?
霧島さゆり
どうしたの?
伊月あおい
さゆり…私、私の想い…
伊月あおい
伝えてくる…
霧島さゆり
…!!
霧島さゆり
…うん、行ってらっしゃい。
多目的室
ガラッ
伊倉ひなた
…あおい
伊倉ひなた
来てくれたん…
伊月あおい
ひなた。
伊月あおい
何言われるか分からないけど、先に言わせて。
伊月あおい
…。
伊月あおい
前のキス、なかったことにしたい。
伊倉ひなた
…は?
伊倉ひなた
それって俺の気持ちには応えられないって事か?
伊月あおい
うん。
伊月あおい
ごめん…
伊月あおい
じゃ。
ガラッ
伊倉ひなた
何だよ…それ…。
伊倉ひなた
(気持ちは応えられないとしても、)
伊倉ひなた
なかったことに…とか、無しだろ…
廊下
伊月あおい
(これで…良かったのかな。)
伊月あおい
(いや、これで良かったんだ。でも一体…、)
伊月あおい
(この罪悪感というか、モヤッとした気持ちは何─?)