母
母
妹
弟
俺
母
俺
母は、3ヶ月に一回
「何もない日」をつくる。
その理由は、俺たちを自立 させるためや
母のありがたみを感じさせる ため、らしい。
まあ、そんなこんなで今まで
「何もない日」 を突破して来た わけだが
「その日」は、いつもと違った。
その日は休日だった。
いつものように朝起きて、 リビングに行くと
テーブルの前で椅子に座っている母と
その母を囲うようにして立っている 妹と弟の姿があった。
妹
弟
俺
この雰囲気…
「アレ」だ。
ゴクリと唾を飲み込む。
前にあった、「食べ物が何もない日」から
3ヶ月が経過していたのを忘れていた
今から「何もない日」のお題が 発表されるのだろう。
母
母は、静かに口を開いた。
母
俺
そう言うと母は、ゆっくりと二階に 上がっていった。
妹
俺
弟
妹
妹
弟
俺
妹
母はその日、ずっとうわの空だった。
食事もろくにとらず、話しかけても いつものように明るく接してくれない
昼過ぎ。俺たち兄弟は集まって 会議を開いた。
そして、一つの結論に達する。
「やっぱり、今日がーーだから…」
俺
母の部屋にノックして、
扉を開け、兄弟みんなで足を 踏み入れた。
妹
母
母はずっと黙ったままだった。
みんなで、母を囲んで座る。
俺
俺
俺
母
俺
俺
俺がそう言うと、たちまち母の目から
滝のようにドバーッと大量の涙が 溢れ出た。
母
母
弟
母
妹
母
思えば、母は今まで
父さんのことで俺たちの前で涙を見せることは、一度もなかった。
三年前、葬式の後泣きじゃくって いた俺たちを
母はずっと慰め続けていた。
きっと俺たちを心配させないように、我慢していたのだろう。
その母が今子供のように泣いている。
愛していた人を亡くしたにも関わらず
「母」でなければいけなかった彼女は
きっと誰よりも一番辛かっただろう。
母
墓参りからの帰り道、母はそうポツリと零した。
弟
妹
母
母
そう言って笑った顔は眩しくて
いつも笑っていた母だけど
今の顔が、母の本当の笑顔のような 気がした。
人はいつか必ず死ぬ。
それがどのタイミングなのかは、 誰にも分からない。
だからこそ、今を大切にしよう。
俺は、暖かく俺たちを照らす 太陽を背に
何もない日を大切にしようと思った。
コメント
12件
初めまして!FF外からですがコメント失礼します🙇♀️ とてもいいお話でした…!✨子供たちの気遣いとお母さんの涙にとても感動しました…!! フォロー失礼します!!
お父さああああああん ハートをとりあえずお供えしますね
このテーマでこんなお話が書けるなんて、本当にカサミネさんの発想力はどうなってるんですか……