今宵は満月
お月見に絶好な日 。
カーテンを開いて、ベランダに出る
夜風が優しくそよいで
俺の髪をそっと揺らす 。
空を見上げると
曇っていて月が見えなかった
折角の満月なのにな …
なんて独り言ちる 。
目をそっと閉じて
俺だけの心の目で、 月を見るの 。
昔よく一緒にお月見した幼なじみ 。
今は何してるのかなぁなんて ..
不意に頭をよぎった 彼の笑顔
『来年も一緒に月を見ような』
叶わなかったその言葉 。
キミは俺を置いて、あのお星様になっちゃったよね 。
目をそっと開き、星を見てみる
あぁ。どれがキミなんだ?
1 つ1 つ指をさしてみる
あれなのかな?
1つだけ、人1倍強く輝く 橙色した星があった。
『-1.4等星が1番明るいんだよ』
そういえば昔キミが教えてくれたっけ、
『その星みたいに、光り輝く人になりたいなぁ…』
なんてキミが呟いてた 。
キミの独り言なはずなのに、どうして俺が覚えてんだよ … 笑
キミはいつでも 俺の -1.4等星だったよ
なんてキザなことを呟いてみる
そう 。 キミはいつでも俺の進む先を照らしてくれてた
キミがいなくなってからはもう、 照らしてくれるものが無くなって先が見えないや…
その時、部屋でスマホの着信音が鳴った。
もしもし?
元気?
え … ?
相手は聞き覚えのある声 。
俺がずっと聞きたかった声だ
元気だよ 。 そっちはどう … ?
俺も元気!! 良かった … 唯兎が元気で
なんで普通に話せんだよ …
不思議な気持ちの方が大きかったが、
ずっと言えなかったことを今伝えようって、 そう思えた。
月が綺麗だね 。
遠回しに伝えてみる。
でも言ったところでもうキミには会えないんだから、 どうか分からないでくれ 。
ずっと前から月は綺麗やったよ
返ってきた言葉はそんな返事
バカ … 。 会いたくなるじゃん
会いに来ちゃダメやからな
知ってる …
この通話を切ったらもう話せないのかな?
こんなに寂しい思いするなら、いっそ会いに行きたいのに 。
じゃあそろそろ … 話せて良かった 。
これ切ったら… もう話せない..?
……
来年の十五夜にまたかける
それまでちゃんと生きてるんやで
分かってる。 橙真くんとの約束は破らないから
ありがとう 。 じゃあな
『またね』 って言う前に切れてしまった通話
今頃きっと、間近で月を見てるんだろう
あぁ 、今宵はとても
暖かいですね
お月様 。
❦ℯꫛᎴ❧
コメント
2件
(இωஇ`。)……
ちょっと感動系にしたくて書いてみたけど… 悲しくなっちゃった( ´・ω・`)