俺達は、着々と、2人一緒になる計画を立てた。 どこで死ぬか、 どうやって死ぬか。 2人して首を傾げた。
スマホで調べてみると、 とある1つの方法が目に止まった。 睡眠薬を大量に飲み、海に沈むという方法だ。 蘇枋にスマホの画面を向けると、 ニッコリ微笑んで、これにしようか。と言われた。 付け足す様に、 これなら、桜君の匂いも感じないだろうし。 どちらかと言えば、後者が蘇枋の本音なのではないだろうか。
それに気づいてしまえば、 頬に昇ってくる熱など、止められるはずもなく、隠すように、蘇枋から目線を逸らした。
アイツらは、泣いてくれるだろうか 俺がいなくなったら。 アイツらは、怒ってくれるだろうか こんな馬鹿な計画を立てた俺を。 蘇枋は、笑ってくれるだろうか。
蘇枋
睡眠薬の入った箱を眺める桜に、蘇枋は話しかけた。 持っている睡眠薬の入った箱を、桜は、ズボンのポケットに突っ込み 蘇枋の言葉へ耳を傾けた。
桜
蘇枋
2色で違う綺麗な双眸が きょとりと大きく目を見開いた。 ここから見る窓の外はとても暗く、 この時間帯に外をうろつくのは危ないほどだ。 流石に桜も、この時間蘇枋を家へと返したりはしないだろう。 わざとこんな時間まで居着いたのだ。 今日くらい彼の隣を許して欲しい。
桜
流石の桜でも、遺書の事は知っていたらしい。 どうやら、急な提案に驚いただけだったらしい。
桜
蘇枋
蘇枋
蘇枋の準備周到さに、桜は1つため息をついて最早呆れてすらいる。 A4の大きさの紙とペンを桜に差し出せば、 素直に受け取った。
桜
蘇枋
蘇枋よりも多く、桜に紙を渡した。 自分は、この紙3枚で十分だろう。 そうすると、桜がチラチラこちらをみてくる。どうしたものかと、 彼が言葉を放つのをゆっくり止まった。
桜
蘇枋
桜
どれほどの人に、彼は手紙を書くのだろうか。そう思い、ふふっと笑ってしまった。それでも、彼が宛てた手紙を貰えるなんて、羨ましいな、なんてちょっとした嫉妬心が顔を出したが、 彼をさらって行くのだ。それくらい許そう。 自分の心の狭さに、蘇枋は思わず苦笑した。
蘇枋
蘇枋
茶色く長細い封筒を、蘇枋はもう1枚桜に手渡した。 それを握りしめ、桜は真っ白な紙に向かい合った。
二人無言で、手紙を書いた。 クラスメイト、商店街の1つ、お世話になった先輩、 桜は苦手ながらも、蘇枋の倍文字を書いているようだった。 彼の真剣そうな横顔をチラリと盗み見して、蘇枋は、まだ書き終わっていない手紙へと向き合った。
桜
蘇枋
桜
桜
気づけば結構な時間が経っていたのか、 桜がぐっと伸びをした。 手紙を書いている間は、 相当集中していたのか、自分の喉の乾きすら忘れていたのだろう。 今更体が、喉の乾きを訴えてきた。
蘇枋
桜
蘇枋
しばらく座っていて固まっていた体を、 桜は重い腰を上げて キッチンの方へと歩いていってしまった。 チラリ桜の書いていた手紙を盗み見る。 蘇枋が思っていたよりもぎっしりと文字が詰まっていて、それほど彼が、 街の人達を想っているのが分かって、 口角が少し上がってしまう。 それと同時に、彼を俺1人奪ってしまう罪悪感も。
警戒心の高い猫の様だった彼が、 今じゃ地域猫の様だ。 彼自身も、町の人達に心を開いている。 それでも無理やり撫でようなんて考えると、猫は照れて引っ掻いてしまう。 そんな場面も本当に可愛らしいと思う。
桜
1人長々と考え事をしてる内に 桜が2つのコップを手に持ち帰ってきた。 お前内容みてねぇだろうな なんて睨まれてしまう。
蘇枋
桜
蘇枋
色つきのコップを桜に手渡され、 蘇枋もそれを落とさない様に 受けとった。 ペットボトルではなく、 コップに入れて渡したのは、 冷蔵庫に2リットル入りのペットボトルが入っているからだろう。
桜
蘇枋
桜
蘇枋
どうして1ヶ月も先延ばしをするのだろうか。もしかして、何か重大な理由でもあるのだろうか。 今は話を聞かなければ、何も分からないままだと、蘇枋は桜の言葉を待った。
桜
桜
まさかの理由に、 思わずふはっと吹き出してしまう。 あんなに身構えた時分が馬鹿らしくなってきた。 さすがは桜君だ。 とても食い意地がはっている。
桜
蘇枋
桜の言動は、どうやら蘇枋のツボにハマったらしい。いつもの冷静沈着な男らしからぬ、涙をうかべ、腹を抱えてクスクス笑いこけていた。 ごめんと謝りながらも、まだ蘇枋は笑っている。 そんな蘇枋に、桜が口をとんがらせたのは、言うまでもない。
俺達が死ぬまでに残されたカウントダウンは、1ヶ月。 彼が限定パフェを食べるまでだ。
蘇枋
桜
コメント
9件
さっきまで泣いてたけど桜の食い意地で涙吹っ飛んでった(苦笑)そのパフェ奢らせt((((殴 伏線かぁ…そういうの見つけるのへっっっっっっっったくそすぎてちょっと自分に呆れと言うか……こんな読者でゴメンネ?
今回も素敵なお話ありがとうございます🙇♀ 心中…切なくもとても二人の愛を感じますね💕 1ヶ月後、桜の可愛らしい理由におもわず笑ってしまいました笑 パフェいっぱい食べてほしいですね😊 伏線…いつも探してはいるんですが、回収された後にしか気づけず…笑 今回は見つけられる様に頑張ります💪 続き楽しみに待ってます✨