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気がつくと、私は画面の中にいた。
スマホの画面の中じゃなくて、まるで世界そのものがSNSになったみたいな、無機質で無限の空間。
青白いタイムラインが空まで伸び、無数の投稿が風のように流れていく。
「ハート」「リツイート」「バズ」「炎上」
言葉たちが光の粒になって、空中を舞っていた。
レイ
またレイが現れる。
今度の服は、インフルエンサー風。
サングラスにブランド品、フォロワー数が背中に光ってる。
レイ
レイはスワイプのジェスチャーで、空に次々と私の投稿を表示する。
笑顔の自撮り、表彰状、友達との楽しそうな写真。
だけど、どれも現実とは少し違っていて、キラキラ加工されていた。
レイ
ポン、と別の投稿が表示される。
《本当は何も感じてないのに、いいねほしくて笑ってる》
《誰かに見てほしいだけなのに、誰も本当は見てない》
私は思わず息を呑んだ。
心の奥に隠していた言葉たちが、勝手に晒されていく。
レイ
レイの声が遠くなる。
私は自分の足元を見る。
そこに、"フォロワー数"が表示されていた。
一歩進むごとに、その数が増えていく。
だけど、何も感じなかった。
むしろ空虚だった。
レイ
レイの問いに、私は答えられなかった。
どこかで、誰かに、ずっと「いい子だね」って言ってほしかった。
でも、誰でもよかったわけじゃない。
私はゆっくりと立ち止まり、画面を閉じるように目を閉じた。
タイムラインのざわめきが、遠ざかっていく。