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窓の外では桜が舞っていた。
教室は静かで、まるで時間だけが止まっているみたいだった。
私は、いつも通りの制服を着て、いつも通りの席に座っていた。
窓際の最後列。
風が通り抜ける場所。
"普通"の私の、"普通"の居場所。
でも今日は、どこかが違っていた。
黒板の上には「卒業まであと10日」の文字。
だけど、生徒たちは誰一人動かない。
話さない。
呼吸もしない。
時間が止まっているわけじゃなかった。
"演じている"のだ。
みんなが、完璧な生徒役を。
レイ
レイが、教師の服を着て現れる。
チョークを手に取り、黒板に大きく文字を書く。
《優等生=無罪?》
レイ
私は無言で立ち上がる。
周りの生徒たちは、まるで人形のように微動だにしない。
レイ
レイの声が教室に響く。
それは、裁判官のようでもあり、ただの親友のようでもあった。
私は黒板の前に立ち、手を伸ばす。
チョークを握る指が震える。
日向
言葉にした瞬間、胸の奥が熱くなった。
日向
レイは黙ってうなずく。
日向
すると、生徒たちが一斉に振り返った。
その顔は、全員"私自身"だった。
怒っている顔、泣いている顔、笑っている顔ーー
すべて、私が隠してきた感情たち。
レイ
レイが最後に言った。
レイ