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窓の外では桜が舞っていた。

教室は静かで、まるで時間だけが止まっているみたいだった。

私は、いつも通りの制服を着て、いつも通りの席に座っていた。

窓際の最後列。

風が通り抜ける場所。

"普通"の私の、"普通"の居場所。

でも今日は、どこかが違っていた。

黒板の上には「卒業まであと10日」の文字。

だけど、生徒たちは誰一人動かない。

話さない。

呼吸もしない。

時間が止まっているわけじゃなかった。

"演じている"のだ。

みんなが、完璧な生徒役を。

レイ

よくできた劇だね

レイが、教師の服を着て現れる。

チョークを手に取り、黒板に大きく文字を書く。

《優等生=無罪?》

レイ

君さ、いつも"良い子"でいたでしょ。怒られないように、嫌われないように、目立たないように。でも、そのせいで言えなかったこと、たくさんあるよね?

私は無言で立ち上がる。

周りの生徒たちは、まるで人形のように微動だにしない。

レイ

じゃあ今、言ってごらん。本当はどう思ってたの?誰が嫌いだった?誰に傷つけられた?何に耐えて、何を望んでた?

レイの声が教室に響く。

それは、裁判官のようでもあり、ただの親友のようでもあった。

私は黒板の前に立ち、手を伸ばす。

チョークを握る指が震える。

日向

……私は、ずっと……怖かった

言葉にした瞬間、胸の奥が熱くなった。

日向

嫌われるのが怖かった。バカにされるのも、裏切られるのも。だから、ずっといい子でいようって……それだけで、生きてた

レイは黙ってうなずく。

日向

でも、もう無理。"いい子"じゃなくても、"私"を見てほしい

すると、生徒たちが一斉に振り返った。

その顔は、全員"私自身"だった。

怒っている顔、泣いている顔、笑っている顔ーー

すべて、私が隠してきた感情たち。

レイ

君は、無罪だよ。だってーー

レイが最後に言った。

レイ

嘘をつかなきゃ、"生きられなかった"だけなんだから

デビルじゃないもん

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