テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
tn
と、重いため息をこぼし、不安が募っていくばかりのトントン
1人で勝手にから回っていたとしたら、かなり無様なことだろう、、、。
tn
トントンの曲がっていた背筋がピンと伸びる。うだうだ悩むなど自分らしくなかった、、、。
吹っ切れたように、トントンはペンを握って作業を再開する。
この時トントンは、執務室の天井にある監視カメラの存在は頭から抜け落ちていた、、、。
監視カメラ越しに一部始終を見守っていた鬱が、個人用のインカムに声をかける。
ut
ut
インカム越しでも変わらない爆音にプツリと途切れて、鬱は椅子に身体を預けて独りごちた。
ut
昼を超えたのどかな食堂に、黒いトレンチコートがはためいた。
カツカツと食堂の真ん中を突っ切り、ティータイムにお決まりの席を目指して歩みを進める。
施設内での訓練に駆り出されているため、この時間帯は人が居なくなることをグルッペンはよく知っていた。
決して兵士たちと食卓を囲みたくないわけではない。しかし、偶にこういった例外が起きる。 例えばそう。グルッペンが悩める乙女になったときとか、、、
os
gr
os
ふわふわの髪を指にくるくるしていたオスマンに、洒落た文字が刻まれた箱を手渡す。国内でもかなり人気の高い洋菓子店で買ってきたそれが、己の悩みが肥大化していることを示していた、、、。
早速箱を開封して、お目当てのマドレーヌをルンルンな様子で洋皿に乗せたオスマンの正面に腰掛ける。
gr
os
オスマンの悩み相談の形式は、事前に予約して美味い菓子を献上すれば完了するのだ。
と言っても、オスマンが悩み相談を承るのは自分以外にはいないため、外交の予定がない日であればいつでも相談に乗ってくれる。
自分専用の相談相手がいるというのはなんとも有難いことだ。
os
gr
"非常事態"と聞いて、孤を描いていたオスマンの唇がキュッと引き締まった。戦争前と同じ顔つきに変わったオスマンに向けて、ゆっくりと言葉を紡ぐ。
gr
os
ゲンドウポーズでそう告げると、強張っていたオスマンがほっとするように口角を緩ませた。 拍子抜けしてキョトンとオスマンを見つめると、洋皿に乗ったマドレーヌをフォークで切り分けながらオスマンが口を開く。
os
gr
赤飯。その単語に、和食をこよなく愛するひとらんらんの顔が浮かんだ。 確か日本の文化では、赤飯はめでたいことがあると炊かれるもののはずだ。そんなにめでたいことなのかと首を傾げると、マドレーヌを飲み込んだオスマンが不思議そうに眉を上げる。
os
オスマンの表情と発言に、全身が一瞬で冷える。ホモネタを嬉々としてぶっ放す際の顔が全てを物語っていた。
gr
os
ニヤリと笑みを深めるオスマンに、眉間にシワを寄せる。 言葉を巧みに操り、我々国を高みにまで導いてきたオスマンの前ではいくら取り繕おうと無駄だ。 詰まっていた息を外に追い出して、メガネのレンズ越しに深緑の双眼を見つめる。小ぶりのマドレーヌはあと二口ほどで無くなりそうだ。
gr
os
自分は砲弾とでも思われているのだろうか。 普段の振る舞いを見てきた仲間が言うのだから間違いはないのだろうが、これでも人間である。
os
gr
自分の掌を見つめる。 つい十数分前に握った温度は、まだ残っていた。熱が滲みそうになった指を握り込んで、オスマンを見据える。
gr
os
相談を開始してからたったの数分で、ものの見事に気持ちが和らいだ。見事な手腕だと感心させられるのはいつものことである。 空になった菓子箱を手に取り、早足で食堂を後にする。
寒さが蔓延る廊下に、幾分軽やかになった足音が響いた。