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2019年11月22日

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3月11日夕方6時頃、いつも通りしおりの家に着いた。縁側には発泡スチロールの中に氷で冷やされた缶ビールとチョコレートが置いてある

涼太

お、いいねー。

さっそく缶ビールを開けひと口のむ。冷えたビールが喉に心地いい

涼太

やっぱうめーなビールわ

チョコレートに手を伸ばしたとき

ようこさん(しおりの母)

あなただけよフードをかぶってイヤホン付けて玄関からじゃなくて縁側から入ってきてしおりに挨拶もせず帰って行く人は

涼太

ようこさんか。驚かさないでよビールがまずくなるだろ

涼太

それにしおりはいないだろ

ようこさん(しおりの母)

それにあなただけよ毎月欠かさず来るのは

涼太

相変わらず話聞かない人だな

涼太

他の人と違って僕は暇だから

涼太

それにしおりに何を言ったって聞こえやしない

涼太

ようこさんも一緒だよ。どれだけ悲しんだってあいつには届かないんだ

ようこさん(しおりの母)

何励ましてくれてるの?優しい人ね

ようこさんは呆れたように言った

涼太

相変わらずポジティブな人だな

涼太

あんたがどれだけ愛したところでそれさえ届かないって僕はそういってるんだ

ようこさん(しおりの母)

まあ、心のない残酷な人ね

涼太

事実なんだから仕方がない

ようこさん(しおりの母)

事実を言えばいいってものじゃないわ

涼太

どういう意味?

ようこさん(しおりの母)

そうね。あなたにはたしか小学4年生の妹さんがいたわね

涼太

ああ

ようこさん(しおりの母)

こんなこと言うのはよくないけど
もしあなたの隣の家のかたが全員殺された現場をあなたが目撃したとするわね

涼太

ああ

ようこさん(しおりの母)

あなたはその惨劇を妹さんに伝える?それとも今日もいい日だったと言って抱きしめてあげる?

涼太

後者を選ぶかな

ようこさん(しおりの母)

そうでしょ?

涼太

でもあんたはもう何十年も生きてきてるんだ。現実の残酷さくらい重々承知してるはずだけど

ようこさん(しおりの母)

そうね、この話はおあいこね

涼太

そうしよう

ようこさんは隣の部屋で何かぶつぶつと言っている

ようこさん(しおりの母)

しおり、今月も涼太くん来たわよ

ようこさん(しおりの母)

相変わらず生意気な子だこと、なんであんな子と....

しおりから返事はない

涼太

ようこさん聞こえてるけど

ようこさん(しおりの母)

あら、聞こえてたのそれはごめんなさい

涼太

いつになってもその嫌味言うのだけはやめないつもりでしょ

ようこさん(しおりの母)

嫌味なんかじゃないわ、あなたの好きな事実よ

ようこさんは不適な笑みを浮かべてこちらに歩いてきた

涼太

いくら話しかけたってしおりには聞こえやしない。そこにはいないんだ、わかってるだろ

ようこさん(しおりの母)

あなただって分かってるはずよ

涼太

何を?

ようこさん(しおりの母)

.....

ようこさんは2階に上がり、すぐに戻ってきた

ようこさん(しおりの母)

あなたがあの子にあげたネックレスよ

ようこさん(しおりの母)

1年経つまで渡さないでってしおりに言われてたから

涼太

まあ、そういうことなら返しておいてもらうさ

僕は眼頭が熱くなるのを隠そうと平然を装い、ようこさんからネックレスを受け取ってポケットにしまった

涼太

帰るよ

ようこさん(しおりの母)

いつも通りお早いお帰りで、じゃあね

涼太

失礼します

僕は急いでようこさんに背を向け来た道をかえる

今にも涙がこぼれそうだ

ポケットに手を突っ込んだときネックレスに少し触れる。涙が溢れ出してきた。

そう、ほんとは分かってるんだ。そこにはもういないと知っていても話しかけたくなる

もう2度と会えないと分かっていても会いたいと思う。この家に来れば、そのうち時間が経てば、縁側でチョコレートと缶ビールを持って君が待ってるんじゃないか。

そんなことありえはしないと知っていても僕はいつもあの家を訪れてしまうんだ。

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