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バタンとドアの音がして振り返る

(やばっ、住宅街なんだった…うるさくなかったかな)

(…ってあれ───?)

桜笑センパイ

…?

じいっと見つめているとセンパイが首を傾げる

文化祭の…センパイ!

桜笑センパイ

あ!月ちゃん!!

(お、女の子の部屋だ…)

桜笑センパイ

ごめんね〜狭いけど

一人暮らしなんですよね…?十分広いですよ

(ていうか、そういえばこの人ってなんか偉いところのお嬢様じゃ…)

(それはデマなんだっけ?うう、それより…)

(この人、1回見かけただけなのに文化祭のときその人だって思い出すくらい…)

(笑顔が、特徴的な人なんだよな…)

1度目に見たときは苦しそうな笑顔

文化祭のときに見かけたのは、幸せそうな笑顔

(…もし)

(もしも───、そんなふうに変わった、理由があるなら)

ぶしつけなことを、聞くんですが

桜笑センパイ

ん〜?

センパイはどうして、楽しいって思えるようになったんですか?

桜笑センパイ

…へ?

あ、えっと…その

センパイは楽しそうに…笑う、ので……その、気になって

(ややややばい、支離滅裂だと思われちゃう、気持ち先走って変なやつだよわたし──!)

桜笑センパイ

…ふふ

桜笑センパイ

それは嬉しいなぁ

え?

桜笑センパイ

なんでかって言われると困るんだけど

桜笑センパイ

何かに悩んでるなら、ぶつかってみるのが1番だよ

ぶつかる…

(それができてれば今こんなことには───)

桜笑センパイ

でも簡単なことじゃない

桜笑センパイ

悩むってことは、すでに大事だって気持ちがあるからだと思うんだよね

桜笑センパイ

少なくともあたしはどーでもいいことで悩まない

桜笑センパイ

今までの環境とかで、自分ってのが固定されてっちゃってるだけで

桜笑センパイ

ちょっとの勇気があれば、きっと…ぜんぜん違う楽しい世界も見ることができる

桜笑センパイ

だから、大事に思い合える人がいるときが、そのチャンスだと思うんだ

桜笑センパイ

桜笑センパイ

…そんな気がしてるんだ、あたしもそれに気づいたのは少し前だけど

(…なんで、だろう)

(この人のことばって、ひとつひとつ重みがあって的確で)

(ああ、そっかって…納得してしまう)

…ただいま

2度目の帰宅、誰が出迎えてくれるでもない

でもわたしのこころは、さっきより格段に軽くなっていた

(そうだ、椿ちゃんだけじゃない)

あーしらはほんとの友達になりたいんだ、みんなと

そんな悪いことするように見えないもん!

ウワサとは違って、ふわふわはしてないね?

相談くらいならいつでも乗る、またおいで

いつものぶりぶりした感じじゃなくて、さばさばってしてる

いつものよりそっちの雰囲気のがマシだと思ってるから

(もう、だいじょうぶ)

(…人とうまくやる術として、助かってきたけれど)

(わたしは友達の前に、もう仮面なんて…いらない)

いつもと同じ扉なのに、なぜか少し緊張感に襲われる

(椿ちゃんに、伝えよう)

(そんで、わたしはちゃんとわたしで────)

椿ちゃん

月!おはよ!

────うん、おはよう椿ちゃん!

夕方、放課後の屋上

もちろん立ち入りは禁止

椿ちゃん

うっひゃー、なにこれ最高じゃん

椿ちゃん

ていうか月って意外にこーゆーの抵抗ないんだね

ぜんぜんない

校則なんて半分くらい、効力も持たない

椿ちゃん

いつにも増して毒気付いてんねー笑!

椿ちゃん

わーるいんだ!生徒会がこんなとこいるってバレたら教頭に怒られるぞっ笑

椿ちゃんがノリノリでわたしのことをいじるから

怒られたらヅラ飛ばしちゃうか!笑

椿ちゃん

うわ!サイアク笑!

椿ちゃん

…それで、なんの話だったの?やっぱ月、今日は違う

わたしはふっと息をついて、笑った

…うん

気づいてくれて、ありがとう

わたし、男の子が嫌いなんだ

中等部のとき、かわいいだとか、顔だけでモテちゃって

告白してくるくせに、否定したり拒否したら怒り出す

まあ…たまにそれがいいとかって言う変な人もいたけど

それのせいで高嶺の花だって言われるようになった

わたしは本気で嫌なのに、男の子はそれを笑うし

女の子には、わたしの性格が性格だから、調子乗ってるとかって嫌われてムカついた

…でも人とうまくやれなくちゃ、まともな生活もできない

だってここは学校だから

協力できない人は、仲間に入れない人は、おかしいんだって見なされる

だから高校に入ったら、嫌いだとか傷つけることはぜったい言わないって

毎日、ちゃんと笑ってみた

そしたら男の子には好かれたままでいれたし

それ以上に女の子にも気を遣ってたら、すごいねって褒められたりもした

逆恨みはなくならないけど、ネコ被ってることで自分の中で線引きできたから弱みは見せなかった

それに基本的にひとりで過ごしてたから、周りはわたしは別格だとかって

アイドルみたいに、ひとりの人としては干渉もされなくなった

…そんな状態が、続いて……その前までだってまともに友達だと思える人はいなくて

だから今わたしは…混乱、してたの

わたしが椿ちゃんのこと大事だから、それから、椿ちゃんも今はわたしのこと大事にしてくれてたから…怖かった

わたしのほんとの性格を知っていくうちに、それが変わっちゃうんじゃないかって───。

小悪魔な月ちゃんは陽センパイにだけ勝てない

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コメント

4

ユーザー

あー!!!桜笑さんだー!!!お久しぶりです!!! 桜笑さんも月さんと同じように悩み苦しみ自分を変えたことで今の幸せな時期があるからこそ桜笑さんの言葉には重みと説得力があるんだよね……💭 月さんから椿さんへの告白。それを聞いた椿さんは月さんを避けたりしないと思うけど、実際に自分が月さんの立場だったら凄く怖い……。それでも一つ一つ言葉を紡いでいく月さんが凄いな、って改めて思った……😖😖

ユーザー

そういう告白かー!椿ちゃんとちゃんと本音で話し合えてる感超いいです 桜笑ちゃんと月ちゃんってどこか似かよってるんだよなー(´・∀・`)🖤 ほんと言葉の重みは経験だと思うから愛しすぎる

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