フョードル・ドストエフスキー(幼少期)
誰もいない公爵家の図書館。
そんな中、兄の声がかすかに聞こえてきた。
振り返ってみると、顔を赤くした兄の姿がそこにはあった。
津島修治
津島修治
フョードル・ドストエフスキー(幼少期)
フョードル・ドストエフスキー(幼少期)
フョードル・ドストエフスキー(幼少期)
少し息苦しそうに笑う兄は痛々しくて、
シュウジは思わず首を振った。
津島修治
津島修治
たどたどしく兄の肩を掴むと、
兄は優しく微笑んで
フョードル・ドストエフスキー(幼少期)
フョードル・ドストエフスキー(幼少期)
フョードル・ドストエフスキー(幼少期)
フョードル・ドストエフスキー(幼少期)
そう、言われてしまったら、
何がなんでも首を横に振れるもんか。
津島修治
フョードル・ドストエフスキー(幼少期)
シュウジの義兄、フョードルは
とても優しく、
おしとやかで、
純粋で、
人を思いやれる人だった。
シュウジはそんなフョードルのことを
心から愛していたのだと、思う。
津島修治
フョードル・ドストエフスキー(幼少期)
扉をゆっくり開けて、兄の部屋へと入る。
兄の部屋は閑散としていて、人が生きている心地がしなかった。
フョードル・ドストエフスキー(幼少期)
兄はニコニコと赤い顔をして笑った。
ふいに顔の温度が上昇する。
口にしよう、口にしようと口をもごもごさせる。
兄はきょとんと優しい目でシュウジを見ていた。
津島修治
フョードル・ドストエフスキー(幼少期)
津島修治
フョードル・ドストエフスキー(幼少期)
シュウジは走り出した。
恥ずかしくなって走り出した。
だが、ずっと言いたかった言葉を言えてよかったとすっきりした気持ちがあった。
Брат, я люблю тебя(兄様、愛しています) なんて。
次はきっと、恥ずかしくて言えない。
フョードル・ドストエフスキー(幼少期)
フョードル・ドストエフスキー(幼少期)
とある日のこと。
いつも通り、兄と図書館でゆっくりしていたある日、
兄はふと、そんなことを言った。
津島修治
津島修治
フョードル・ドストエフスキー(幼少期)
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フョードル・ドストエフスキー(幼少期)
フョードル・ドストエフスキー(幼少期)
フョードル・ドストエフスキー(幼少期)
そう、そんなことを言うから。
そんなことを言うから、兄を好きになる。
津島修治
津島修治
弱々しい兄の体から出てくる希望と、力強さと
愛おしさが、心を引き留めて離さない。
本来なら、異母兄弟だなんて争い事が絶えないだろう。
ましてや母親同士でさえも仲が悪いのだから。
だが、二人だけは違う。
どれだけ周りが互いを貶しても、
二人だけは互いを褒め合うことができた。
それはなぜかと問われれば一言では表しにくいのだが、
兄と弟の間にあるものが、愛情だったからではないだろうか。
だがそんなある日。
兄の容体が急変した。
もう助からないかもしれないと医者に言われた。
コメント
1件
ど、どうなるんだ…どうなるんだ…! てか2人可愛いなぁ!!!本当に太宰さん?フョードル?うん好き!!!