怜央
吸血鬼とは、おとぎ話でのみ語られる想像上の存在である。
怜央
それが、誰しもの常識的な認知だと思う。
怜央
けれど最近この街で吸血鬼と思われる生物の目撃情報が入ってるらしい。
怜央
曰く、その姿は人間の少女のような見た目だ。
怜央
曰く、その背には美しい羽が生えている。
怜央
曰く、その艷やかな唇には鋭い牙が覗いている。
怜央
まさしくその特徴は、吸血鬼そのものだろう。
怜央
しかし残念ながら、その情報のソースは不明確であり、確信とは言えない。
怜央
まぁ、都市伝説のようなものだ。
怜央
合理主義な現代人の僕がそんな噂話を信じるはずがない。
怜央
だから僕は、確信に近いほど吸血鬼は存在しないと、そう思っていた。
怜央
実際に…彼女に会うまでは…







