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hrak×WT第二弾です
作者
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世界総人口の約八割が“個性”という何らかの超常を持つ世界。
いつしか超常は日常に、夢は現実に。
“個性”を活かして、犯罪者である“敵”を倒す“ヒーロー”の存在が確立された世界。
そんな世界に、僕ーー中村水悕は生を受けた。
ー中村水悕八歳ー
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出てきて欲しいと思うと、人が一人乗れるくらいの緑色の龍が現れる。
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母
母
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母
母
母
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僕の個性は花龍。
花龍は人を乗せて飛ぶことが出来て、今は小さいが、その気になれば大勢乗せられる程大きくすることが出来る。
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母
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最近は花龍を電車に見立てて、車掌さんごっこをするのがマイブームだ。
お母さんは嫌な顔ひとつせず、ニコニコしながら僕の遊びに付き合ってくれる。
僕はそんなお母さんが大好きだ。
母
母
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パタン(扉閉
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母が完全に出て行ったことを確認してからおもちゃ箱を取り出す。
中にはカラフルな手のひらサイズのボールが入っている。
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お気に入りのそれを取り出し、個性を発動した。
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色とりどりのボールを投げて、キャッチして、投げて、キャッチする。
最近知ったことだがこれはジャグリングというらしい。ちなみに自分はジャグリングをちゃんと練習したことはない。
それなのにこんなに器用に出来る秘密は、僕の個性にある。
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そう、僕の個性は花龍だけでは無いのだ。
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お母さんには内緒だが、僕の個性には四つの能力が備わっている。
花龍を出す力、器用になる力、雨を降らせる力、おくすりを作る力の四つだ。
一番最初に使った力は花龍で、他は分かりずらいということもあって母は知らずに僕の個性は“花龍”ですと、お役所に届出をしたらしい。
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個性が発現した日を思い出す。
バァンッ!(机叩
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父
母
母
父
父
父
個性というのは、親から子に継がれるもの。
両親のどちらにも全く似なかった僕の個性が父は気に入らないらしかった。
父
父
母
父
父
母
母
母
母
母
父
父
父はヒーローで、僕に同じ個性を継いで欲しかったようで
父
父
父
母
父
父
母
父
父
父
そう言って父はお母さんに手を伸ばす。それが嫌で、思わず父とお母さんの間に割り込んだ。
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父
バシッ(払
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母
父
父
父
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そう言った父の、汚いものを見るような目とうざったそうに歪められた表情は
今でも忘れられない。
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二人の話は難しくてよく分からなかったけれど
僕のせいで二人の仲が悪くなった事くらい分かる。
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そうやって独りごちる
どうやら僕は嫌われているようで、お母さんは親戚も頼れないのだ。
ただでさえ迷惑をかけている自覚はあるのに、これ以上苦労はさせられない。
そう、思っていたのに
母
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母
母
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お母さんが働きすぎで体を壊してから一ヶ月が経った。
体調は一向に良くなる様子を見せない。
母
母
母
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母
母
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お金がなくてこれ以上病院にかかれない
僕たちは親戚を頼ることも出来ない
せめて、症状が少しでも良くなれば。
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母
母
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何故かは分からない。だけどできる気がしたのだ。
個性を発動する。
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僕の手のひらから光が溢れる。お母さんはその光景を呆然と見ていた。
光がおさまった頃、僕の手には液体の入ったガラス瓶が握られていた。
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母
母
躊躇いがちに伸ばされた手がガラス瓶を掴む。
母
母
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母
母
始めこそ驚いていたものの、その後すぐにいつもの優しい顔をして、言った。
強張っていた顔は先程より随分和らいでいた。
母
母
母
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ああ、良かった。おくすりはちゃんと効いたみたいだ。
その顔が、声が、頭を撫でる手の温かさがいつものお母さんで、とても安心した。
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おくすりのおかげで、お母さんはいつもみたいに元気になった。
苦しい思いをしてほしくないから、いつもみたいに笑っていて欲しいから。
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そうしたらその分、いっぱいしあわせになれるよね?
それから僕は、毎日お母さんに個性で作ったおくすりを飲ませるようになった。
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母
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母
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母
おくすりを飲み始めた頃はお母さんの体の調子は良くなっていって、ニコニコすることも増えたのだが
しばらく経たないうちに体を起こせなくなり、その後は呂律もろくに回らなくなって、意識は上の空になってしまった。
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お母さんの病気はどんどん悪くなっていってる。
どんどん悪くなっていくということは、苦しいが増えるということ
苦しいが増えるということは、しあわせじゃないということ。
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日に日におくすりの量は増えていく。
でもお母さんは寝たきりのまま。
お母さんは、苦しんでいる。
僕が、お母さんをしあわせにしなくちゃ
しあわせにしあわせにしあわせにしあわせにしあわせにしあわせにしあわせに
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そう想いを込めて作った今日のおくすりをお母さんに飲ませる。
母
母
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母
母
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お母さんが笑ってくれた
うれしいうれしいうれしい
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日々おくすりの改良を行い、今ではすっかりお母さんは笑顔になっている。
苦しい思いをしないための、しあわせになれるおくすり。
そこでふと思う。
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最近頭がふわふわしてよくわからなくなってきている。
ただお母さんにしあわせになって欲しいという想いだけが僕の中にある。
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ガシャーン!(割
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頭がぼんやりしていたせいか
お母さんの看病をずっと続けていたら流石に疲れてきたのか
作ったおくすりをお母さんに飲ませようとしたら手を滑らせて床に落としてしまった。
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心を込めて作るおくすりは普通におくすりを作るときより疲れるから、一日に二本しか作れないのに。
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ピンポーン
焦っていたら何やら音が聞こえてくる。こっちはそれどころではないというのに。
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ピンポーン
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ガチャ
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誰かが鍵を開けて入ってくる。
ドタドタと複数の足音が聞こえ、イライラしていたら僕たちのいる部屋の扉が開かれた。
部屋に入ってきたのはご近所さんたちだった。
何故かお母さんの方を見て衝撃を受けたような表情をしている。
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みるみるうちに表情が変わっていく。驚愕に、恐怖に、苦渋に、怒りに。
それがなんでか理解できなかった。
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しあわせになることはいいことのはずなのに?
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笑ってないということはしあわせではないということだ。そうに違いない。
ならおくすりを出さなければ。それが僕にできる人をしあわせにする方法だから。
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個性でおくすりを生成し足元近くの地面に叩きつけた。
手前にいた一人がおくすりを吸い込み倒れ込む。
ほら、こんなにしあわせそうに笑ってる。
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足止めをするならあのおくすりがいい。逃げる一人の背に鈍足のポーションを投げつけた。
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この個性を発動している間は、お医者さんになったように感じる。
この人たちは患者で、僕が病気を治してあげないといけない。
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バァンッ!
扉を乱暴に開ける音が聞こえる。
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そうして再びお母さんの部屋に入ってきたのはヒーローだった。
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なにをそんなにおどろいているのだろう。
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早口で捲し立てる。目の前のヒーローの表情が歪む。
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このおくすりがあればお母さんはしあわせになれるのに
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そう叫び手を振り上げ目の前の敵を追い払うため、個性を使おうとした。
だけどそのときヒーローの目が赤く輝き、個性が使えなくなった。
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同時に酷い頭痛が襲う。
痛い痛い痛い、酷く頭が痛くなって熱くなるが段々と靄がかっていた頭がすっきりする感覚がする。
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今まで人格を別の誰かに乗っ取られていたような。
今まで気がつかなかったが、鼻をつんと刺すような酷い異臭がする。
嫌な汗が流れる。そうだ、今まで自分はどうかしていた、何日も家に引きこもって個性を使い続けるなんて…
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そうだ。お母さんの具合が悪くなって、少しでも良くしたくて…
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振り返った僕の眼前にあったものは
人の形をした肉塊だった。
いや違う
あれは。
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ベッドの上に横たわる肉塊のように見える“それ”は、確かに僕が毎日世話をしていた母だ。
しかしその皮膚は爛れ、所々が変色し辛うじて異常が起きていない部分も血色が悪く白くなっている。
その有様は最早人間ではない。
ぎこちなく表情を見る。焦点の合わない虚な瞳は何も写さず、口元は引き攣った笑みを浮かべている。
その端からはボソボソと異常な笑い声が溢れている。
ずっと、笑い続けている
終わる事なきしあわせに、囚われ続けて。
母
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そんなお母さんを見た瞬間、頭の中に記憶が雪崩れ込んできた。
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ーー思い出した。思い出してしまった。
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最悪のタイミングで前世の自分を思い出してしまった
母のだらりと垂れた手、歪んだ表情、青ざめた白い肌に浮かぶ引き攣った笑みに、微かに聞こえる掠れた笑い声のどれもが、残酷な現実を突きつけてくる。
俺は絶対にしてはいけないことをやってしまった!
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母に辛い思いをしてほしくなかった。少しでも楽をさせてあげたかった。
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こんな事になるはずじゃ無かったのに
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体の辛さを和らげるため、症状を軽くするためにあげていた薬は、母にもっと笑ってほしいという想いが強まり、いつからかしあわせな気持ちにするためのものへと変わっていった。
お母さんの笑った顔が、名前を呼ぶ声が、頭を撫でる温かい手が好きだった。
今や母の笑みは歪み、不明瞭な言葉を呟き続け、その手が俺の頭を撫でることは二度とないだろう。
もう一度しあわせな暮らしがしたかっただけなのに。
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俺は自らの手で母を廃人にした。
あれから暫くずっと茫然自失としていて
どれくらい経ったのかも解らない。
気がついたら病院にいた。
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涙が溢れそうになる。自分は取り返しのつかないことをしてしまったのだ
それが例え無意識の内だとしても。
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薬漬けになってしまった母。その精神状態はまともといえるものではなく
回復するかどうかも怪しい。
ESCAPEでは、薬漬けになった“患者”たちは人間ではなくなってしまった。
もしかしたら母も、同じように
程なくして、事情聴取のため
医師立ち会いのもと病室に警察とヒーローがやってきた。
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そういって大人たちは俺を安心させるように笑いかける。
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けど、俺はもう子供じゃない
言葉は選んでくれているけど
会話の間や、彼らの苦い表情を見たら分かる。
ーー母は、もう元には戻らない
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俯いて膝の上の拳を強く握りしめる。
そうして唇を引き結んで暫くじっとする。
力を込めすぎて歯も手も痛い。
でもそうでもしないと気が狂いそうだった。
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警察の人が喋り出す。
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話を聞いていた人達の顔が驚愕に染まる。
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ESCAPEの俺は目的のためなら手段を選ばないマッドサイエンティスト。
善悪の判断がつかない危険な存在だ。
さて
事情聴取も終わり、思っていたことを叫ぼう。ここは病院なので小声で。
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備え付けられた鏡を見る。
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胸が高鳴る。俺はまた、彼らに出会えるのだろうか。
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こんな罪を犯してしまった俺を、彼らは受け入れてくれるのか?
正直不安だ。
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俺の存在を彼らに知らせるのが良い。
この世界にはおあつらえ向きの職業があるじゃないか。
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前世のようにゲーム実況者になった方が手っ取り早いのは分かってる。
でも…
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頭の沸いてる尾も白い六人で、ヒロアカ世界でもゲームをする。
再び笑い合う姿が目に浮かんだ。
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