中島敦
投げ飛ばされた敦は壁にぶつかり、大きく咳き込む。
敦の師
敦の師
顔を仮面で隠し、体を大きなマントで隠した白い男は、倒れ込む敦の顔を覗き込む。
顔は見えないはずなのに、その圧に思わず息をのむ。
中島敦
中島敦
敦の師
白い男は大きなため息を吐く。
敦の師
敦の師
敦の師
敦の師
敦の師
敦は悔しそうに顔をしかめる。
だが、諦めるわけにもいかず、また、構えをとる。
敦の師
敦の師
白い男の言葉はだんだんと荒くなる。
敦の師
その言葉にカチンときた。
“お前のような穀潰し”
そんな声が頭を蔓延る。
中島敦
拳を握り、月下獣が現れる。
中島敦
白い男めがけて攻撃を……くらった。
敦の師
気がついたら、白い男のベッドの上で横になっていた。
どうやら、あのまま気絶してしまったらしい。
中島敦
敦の師
中島敦
白い男は顔こそ見えないものの、驚いたような雰囲気をかもし出していた。
敦の師
中島敦
手に余計な力が加わる。
汗が目の中に入った。
敦の師
敦の師
敦の師
敦の師
白い男の申し訳なさそうな声を聞くのは、これが初めてだった。
中島敦
敦は顔が赤くなる。
先生の声が無性にくすぐったくて、耳を触った。
敦の師
敦の師
敦の師
敦の師
敦の師
優しい声色に、敦は、はい以外の返答が見当たらなかった。
先生は厳しい人だったが、敦にとってかけがえのない存在だったのだった。
敦の師
敦の師
敦の師
芥川龍之介
敦の師
敦の師
先生が芥川を拾ってきた。
その時だった。
芥川にうんと心を引き寄せられたのは。
鮮やかな感情が押し寄せて、敦の顔は紅色で染まっていく。
中島敦
芥川龍之介
不器用に芥川は笑う。
その表情に激しく胸を撃ち抜かれた。
これが初めて敦が人を好きになった日であった。
コメント
1件