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「六月の君の噓 第三話」 歩くたびになびく、美しい黒髪に、 すらりと細い、足。 ピンと立った、姿勢に、 大きな瞳。 君の、全てに、心を奪われたんだ。 初めての出会いから、俺たちが特別な関係になるまで、 遅くはなかった。 あの時は、誰も想像しなかっただろう…。 まさか、俺たちが付き合うなんて。 この日から、五日後ー。 僕は、君に初めて告白した。 人生で、初めての告白を、校舎裏で。 あの時の事を、覚えてる?
秋原 蓮
秋原 蓮
雨宮 凛
秋原 蓮
恋愛にあれ程興味がなかった自分が、まさか 初めて会った人に一目ぼれして、 その五日後に告白するなんてな…。 恋は盲目って、このことか…? もしかしたら、君がほかの人に告白されて、 その人と付き合うかもと思うと、怖かったんだ。 最初は、断られた。 そりゃもう、きっぱりと。
雨宮 凛
あっけなかったよ、初めての告白でまさかフラれるとは。 普段から、たくさん告白されていた俺は、 自分でも知らないうちに、天狗になっていたようだ。 たくさんの女子が休み時間のたびに俺を見に来ていて、 バレンタインでもらうチョコは、 50個越えが当たり前。 そんなことに慣れていたからか、何故か、 絶対に告白を断られない自信があった。 なのに…。 まさかフラれるとは…。
鈴木 涼
秋原 蓮
鈴木 涼
秋原 蓮
でも、君はなかなか振り向てくれなかったな。 君が転校してきてから、十日がたって、 君は俺の五回目の告白に、泣きながら許可してくれたね。
雨宮 凛
その時は、君が付き合うことが嫌で泣いているのかと思って、 ずっと心配していた。 だけど、君のこのときの涙の理由は…、 もっと残酷だったね。 君が、俺に告白をオッケーしてしてくれたとき、 凄くうれしかった。 そこから、一緒に色んな事をしたよね。 一緒に週末の度に、デートをして… 学校から、一緒に帰って… 寄り道して、コンビニでアイスを食べたり、 買い物に行ったり。 あの頃は、何気ない日常が一生続くと思っていたんだ。 だけど、世界はそんなに甘くはなくて。 過去が、現在だったように、 現在は、いずれ過去になる。 君との幸せな時間は、いつまでもは続かなくて。 たまにふと見せる、君の切なそうな表情に気づくことが出来なくて、 ごめん。 六月 二十五日ー。 やはり、その日も雨だった。 運動場が使えなかったから、体育館でトレーニングしていた俺。 部活終わりに、涼と帰っていると、 君がいつも使っている青い傘が前に見えたから、 驚かそうとして、俺は君のところに走った。 横断歩道の前に立っていた君に声をかけようとすると、 君は急に走り出した。 車がたくさん走っていた、大きな道路に飛び出した。
秋原 蓮
鈴木 涼
俺は、気づいたら、道路の真ん中に飛び出していた。 君の腕を掴んで、抱き寄せた時の君の温もり。 僕は、思いっきり、凛を安全な歩道へと突き飛ばした。 最後に見えたのは、目の前の大きなトラックで、 目の前が真っ暗になった。 遠くで聞こえている、蓮と凛の泣きそうな声。 そこで意識が途絶えた。