テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
『ターゲットと出会った夜』
薄暗い都内の片隅、雨に濡れた路地。 その日、なおきりは“ある人物の尾行任務”をしていた。
面の顔は大学生、裏の顔は政府非公認の諜報員。 ターゲットの名は「エト」。
…犯罪組織《K》に繋がりがあるとされる謎の少女。
ところが、尾行中ーー突然、足を止めた彼女が振り返った。
🍫
🍫
肩までのオレンジ髪、涼しげな目元。 夜の雨に塗れながらも、堂々と微笑むその姿に、なおきりは思わずーー
🌷
余裕の笑みを返した。
任務中にこんなやり取り。普通なら起こり得ない。 でもその瞬間、なおきりの中で確実に何かが“ずれた”。
『敵(ライバル)のくせに、目が離せない』
夜の港湾倉庫。潮の香りと冷たい風が、鉄の匂いに混じって鼻を突いた。 なおきりは無線機のイヤーピースを軽く押さえながら、闇に目をこらす。
🌷
小声でつぶやいたその時、倉庫の上階、非常階段の影から誰かが飛び降りた。
🍫
えとだった。 オレンジ髪に黒のパーカー、長い髪を風になびかせながら ふてぶてしくなおきりを見下ろす。
🌷
🍫
🌷
なおきりはからかうように、にこりと笑う。 その笑顔にえとはムッとして、くいっと顎を上げた。
🍫
🍫
🌷
🌷
ーー名前。 なおきりが自分の名を呼ぶたび、なぜか胸の奥がざわつく。 ムカつく。ムカつくのに。
🍫
🌷
ふたりは背中合わせに倉庫の出入口を見張りながら、互いに舌打ち。 けれどその距離は……思ったよりも近かった。
🍫
🌷
🍫
🌷
🌷
🍫
🍫
🌷
🍫
にやっとなおきりが笑う。その口調はいつも通りやわらかいのに、 どこか煽ってくる。
🌷
🍫
一瞬、グッと詰め寄るえと。 その顔が、ほんの少し赤かったのをなおきりは見逃さなかった。
🌷
🍫
🌷
🍫
いつも通りの口喧嘩。なのにその中で、互いの輪郭は少しずつ、 やわらかくなっていく。
夜の風が吹く中、ふたりの静かな火花はまだまだ絶えそうにない。
コメント
4件
新連載も神作品確定ですね!! この作品も頑張ってくださいっ!
新連載 ! ! ? ? ✨️ スパイ い ー な、! 続き楽しみにしてます!