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『任務外遭遇ー偶然の合コン』
夜の繁華街。 なおきりは情報屋との接触後、早めに仕事を切り上げて同僚に誘われた“健全な”合コンに しぶしぶ参加。
片や、えとも幼なじみの頼みで仕方なく顔を出した“ちょっとだけのつもり”の飲み会。
ーーそして運命の再会。
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軽く舌打ちしながらも、テーブルに並べられたフレンチ風のおつまみをつつくえとの 横顔は、どこか浮かない。
そこへーー
「……あれ? 君……」 声をかけてきたのは、合コンの参加者の中に混じっていた、スーツ姿の ーーなおきり
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目があった瞬間、場の空気がフリーズ。 お互い知らないふりをするかと思いきや、まさかの同じテーブルで 向かい合わせに座る羽目に。
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その後もチクリチクリと続くやりとり。 周囲は「なにこのふたり、初対面なのにテンポ良すぎ…」と勘違いカップル認定。
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えとはぷいっと顔をそむけた。けれどその頬は、 ほんのり火照っている。
数分後。別のメンバーと盛り上がる中で、ふとふたりは 隣の席になってしまう。
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にらみ合うように視線をぶつけるふたり。 でも、そこには以前のようなピリピリした空気はなかった
逆に、火花の裏側に、妙な高揚感があった。 ふいに、えとのグラスが空になった。
なおきりが言う
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それは優しさであり、からかいでもあり。えとは返事を返さず、 けれど目だけは彼の背中を追っていた。
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思わず、胸のあたりをおさえるえと。 鼓動が、少し早かった。
人の笑い声がざわつく、居酒屋の奥。 妙に華やかな席で、僕はグラスを片手に“敵”を見ていた。
…いや、敵「だった」はずの彼女。 知っているのは名前だけ。それ以外の年齢も経歴も一切不明、表向きは普通の学生を装ってる。 でも僕は知っている。あの夜、路地裏で銃口を向けてきた、あの瞳を。
なのに今、その目がふわっと笑ってるのを、 ーー思わず、見とれてしまった。
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と、えとさんがくすっと笑った。
不思議な口調。少しヤンキーめなのに、どこか柔らかい。 カップに口をつけて、ストローをつつきながら、ふと僕を見る。
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そう返した僕の声は、思ったよりも低くて、静かだった。 からかい返すつもりだったのに、言葉が熱を帯びてしまった気がした。
彼女が目を細めた。
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そう言ったとき、自分でも少しだけ、言葉に込めた本音に気づいた。
ーーなんで、こんなふうに笑うんだろう。 ーーなんで、あの夜の鋭さとまったく違う顔を、今、僕に見せるんだろう。
えとさんが唐突に身を乗り出してきた。 彼女の顔が思いのほか近い。 匂い。目線。ちょっと無防備な前髪の隙間。
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その声は、からかうようでいて、ちょっとだけ寂しそうだった。
僕は一瞬だけ迷って、それから、グラスを置いて小さく笑った。
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笑ってごまかす彼女に、僕は視線をそっと落とした。
ーーこのまま任務を続けるべきなのに。 なのに、もう何度目だろう。彼女を“ターゲット”じゃなく見てしまうのは。
ほんの少しだけ、僕の中で何かが「動いた」気がした。