幽霊はきっと先生が嫌い。

顔を上げると、

こちらを心配そうに、不思議そうに 覗き込んでいる永先生が居た。

思わず抱き着いた。

私のすぐそばで屈んでいてくれたお陰で、 私の体は先生の胸元に すっぽりおさまった。

てっきりすぐに離されると思っていたが、 離すどころか、先生は優しく とんとん、と背中を叩いてくれた。

先生のそばにいることの安心感で、 ついさっきの幽霊が居た方向を見てしまう。

居ない。

逃げた・・・？

先生は私を農園の入口にあるベンチに座らせて、自分は少し距離をおいてベンチに腰だけもたれた。

照れつつそう告げる。

迷惑そうな顔。

そりゃそうだ。

恥ずかしさで頬に手を当てていると、 先生がその手を指さした。

何か言葉をかけてもらえることを期待してちらちら見ていると、 先生は早く行けと顎で指図した。

保健室！ 説明を忘れないうちに行こう！