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暗くてジメジメした、嫌な場所。
昔の自分は、そこに行くことを楽しみにしていた。
別に、そういうところが好きってわけじゃない。
私は、彼女をいじめるために、そこに行っていた。
花
花奈
この場所に呼び出された花奈は、いつもビクビクとしていた。
かわいそうに。なんて、白々しいことを思いながら、言葉を続けた。
花
花奈
花
花
花奈
こういう時、自分がどうなるか。
それを知っていた花奈は、尚更体を震わせた。
花奈
花
花
花
花
花
花奈
花
急に大声を出した私に、花奈はまたビクッとする。
花
声を荒らげて花奈に近づき、突き飛ばした。
花奈
倒れ込んだ彼女のスカートの裾から、彼女の痣だらけの足がのぞく。
痛々しいその痣を、長いスカートで隠していた。
花
花奈
彼女は即座に立ち上がり、逃げようとした。
そんな勇気があるなら、こなきゃいいのに。
そんなことを思いながら、私は彼女の腕をつかみ、その勢いで壁に叩きつけた。
花奈
花
花
そう言って足を蹴った。
お腹も殴った。
ストレスなんて口実で、ただ彼女を殴りたいだけだった。
苦しむ顔を見るのが面白かった。
だから、ずっと。
ああなるなんて、思わなかった。
先生
その日、花奈は教室にいなかった。
やけに神妙な顔をして話す教師を、みんな、好奇心のこもった目でじっと見ていた。
先生
先生
先生
目の前が、真っ暗になった。
死ぬだなんて、思わなかった。
その時、私の中に湧いた感情は、後悔ではなかった。
恐怖だった。
私がいじめていたとバレたら、どうなるか?
そんな心配だった。
花奈に対して、申し訳ない、と言う気持ちは、一切なかった。
自分の身の保身に走ることしか、考えていなかったのだ。
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それからの私の人生は、散々なものだった。
これがただの自殺であれば、そう大々的に報道されることもなかった。
だって、いじめが原因の自殺なんて、腐るほどあるから。
それが、もはや驚くべきことではなくなっているから。
でも、花奈はそうじゃなかった。
彼女は死ぬ時、飛び降りだとか、首吊りではなかった。
人通りの多い商店街。
そこで、自分の腹を刺して死んだ。
それも、死ぬまでずっと、「許さない、許さない…」と、呟きながら。
彼女の死に方は、たくさんの人にトラウマを植え付けた。
たくさんの人がパニックに陥った。
それをメディアが見逃すはずもなく、彼女のことを取り上げた。
遺書も、私の名前を伏せた一部を公開された。
それでもどこからか嗅ぎつけてきたマスコミに追いかけ回され、
学校も退学となった。
道を歩けば石を投げられ、
どこからバレたのか、最近は家にも被害が及ぶようになった。
毎日毎日、どこにいても罵声を浴びた。
これまで仲の良かった家族も、バラバラになった。
でも、そういうことをマスコミは取り上げなかった。
これでもし、私が何もしていない、ただの被害者だったなら、きっと警察も動いてくれただろう。
でも、警察はおろか、近所の人からも同情はかえなかった。
みんなみんな、私という絶対的な悪を、叩きに叩き、いためつけた。
でも、それすら、許されていた。
私は、そこで初めて、彼女をいじめたことを後悔した。
そんなある日のこと。
私は夢を見た。
花奈
花奈
花
花奈
花奈
花
花奈
花奈
花奈
花
花
花奈
花奈
花奈
花
花奈
花奈
花奈
花奈
花奈
花奈
花奈
花奈
花
花
花奈
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それから私は、言われた通り、何もしない生活を送った。
勉強して、友達とも遊んだりして。
ごく普通の、学園生活。
その結果、卒業式まで、私も花奈も、普通の女子高生として生きた。
卒業式の日、花奈は、幸せそうに笑っていた。
これで、未来は変えられる。
私は不幸にならないで済む。
よかった…
ほんとうに、よかっ
花奈
花
花奈
花奈
花奈
花奈
花奈
花奈
花奈
花
花奈
花奈
花奈
花
花奈
花奈
花奈
花奈
花奈
花奈
花奈
花奈
花奈
花
花奈
花奈
花奈
花奈
花
気がつけば、暗闇の中にいた。
幾多もの足音が、私に近づいてくる。
花
グサッ、グサッ。
何かを刺す音。
次第に、変わっていく。
グチャっ、グチャっ、
そして、
ゴンッ、ゴンッ。
刺すものが小さくなりすぎて、血にまみれた包丁は、硬い床を何度も叩いた。
同じ顔をしたそれらは、その手の動きを止めることなく、
花"だったもの"を切り刻もうと床を叩く。
もはや呻き声など聞こえない。
そんな中、彼女の、軽蔑したような、呆れたような、そんな声が響く。
花奈
花奈
花奈
花奈
花奈
花奈
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暗くてジメジメした、嫌な場所。
昔の自分は、そこに行くことを楽しみにしていた。
別に、そういうところが好きってわけじゃない。
私は、彼女をいじめるために、そこに行っていた。
花
いつも通り、声をかけようとした。
そのとき、何故か、
目の前の花奈が、血塗れでたっているように見えた。
花
花奈
知らない、でも確かに自分の記憶が、やめておけと警笛を鳴らす。
暗い部屋で、幾度となく刺された痛みが、全身を駆け巡る。
あまりの痛みに、気を失った。
視界が完全に暗くなるその前に、
ひどく楽しそうな、期待のこもった声を、聞いた気がした。
花奈
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作者
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