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その歌声が響く先。

第3話 - 溢れた感情

106

2023年05月20日

#青柳冬弥

#東雲彰人

#モブ冬

#R18気味

ぴーちゃん(　-∀・)

店内に流れる軽快な音楽。

今は少し耳障りに感じた。

MEIKO

冬弥君、いらっしゃい。

冬弥

メイコ、さん…

ミク

…？冬弥、どうしたの？

冬弥

ぇ…？

ミク

酷い顔してる。

ミク

何かあったんでしょ？

冬弥

ぁ…

冬弥

（ミク達なら、相談にのってくれるかもしれない）

冬弥

（…でも）

冬弥

（本当のことを言ったら）

冬弥

（拒絶、されるかもしれない）

冬弥

（っ…！）

冬弥

（それだけは、いやだ）

冬弥

（もう、居場所を失うのは、絶対に嫌だ）

冬弥

（…なら、黙っていた方が…きっと楽だ）

ミク

冬弥？

冬弥

っ、なんでも、ない

ミク

…嘘だよ

冬弥

…

ミク

ねぇ冬弥、話して？

ミク

何があったの？

冬弥

…何も、ない

ミク

…

MEIKO

冬弥くん、話してみたら楽になるかもしれないわよ。

MEIKO

少し、吐き出してみたらどうかしら。

ミク

そうだよ、冬弥。私たちに話してみて。

冬弥

本当にっ…大丈夫なんだ

ミク

…

冬弥

…すまない、もう帰らせてもらう。

ミク

っ…！待って！

カフェから出ようと背を向けた瞬間、ミクが冬弥の手を掴む。

刹那、あの夜の記憶がよみがえる。

あの夜も、手を掴まれて、そのままｰｰｰｰ

冬弥

ッああああ！！

ミク

っ、冬弥！！

冬弥

や…！ぅ、は、ぁ…！やだ…！いやだ、！はなしてくれ、は、おねがいだからッ、！ひゅ、！

MEIKO

冬弥くん、落ち着いて。

冬弥

ぁ…あ、！ッいやだぁ、！

MEIKO

ゆっくり呼吸をして。深く息を吸うのよ。

冬弥

ふ、ぅ、っは、ぁ！あ、

MEIKO

その調子よ、焦らないで。

ミク

メイコ…

MEIKO

ミク、お水をもってきてくれるかしら。

ミク

…うん、分かった。

MEIKO

ありがとう。

冬弥はメイコの声かけにより、少しずつ落ち着きを取り戻していった。

MEIKO

はい、お水よ。

冬弥

ありがとう、ございます…

一口飲むと、水の冷たさが体にしみわたる。

冬弥

ぁ…すみません

MEIKO

謝ることじゃないわ。

ミク

そうだよ、冬弥。

ミク

その、ごめんね。

ミク

無理に聞こうとしちゃって。

冬弥

ぁ…いや、違うんだ…その…

冬弥

…。

冬弥

すまない

冬弥

少しだけ…話を聞いてくれるか

ミク

…そんなことが…

MEIKO

…事は思っていたよりも、複雑みたいね。

冬弥

俺っ…！どうしたらいいか、分からなくてっ、！

冬弥

ずっと…！苦しくて、！辛くて…！

ミク

…

ミク

よく頑張ったね、冬弥。

冬弥

ぅ…っひ、く、

ミク

辛かったね。

MEIKO

奥の部屋で、少し休んだらどうかしら。ベッドがあるから、そこで眠ったらいいわ。

冬弥

すま、ない…っ…ありがとう

ミク

…まさか、あんなことがあったなんてね。

MEIKO

この問題は…私たちじゃどうしようもないわね。

ミク

この話…彰人たちは知ってるのかな

MEIKO

…知らない、でしょうね。

ミク

…そう、だよね。

ミク

…あ、

ミク

誰かきた…？

彰人

すみません、冬弥いませんか。

ミク

…！

MEIKO

彰人くん、いらっしゃい

彰人

実はここ数日、冬弥と連絡がつかなくて。

彰人

ここに来てるかと思ったんスけど…

MEIKO

…冬弥くんなら、いるわよ。奥の部屋に。

彰人

ッ！

MEIKO

ただ…

彰人

…？ただ？なんですか

ミク

彰人

ミク

冬弥のお兄さんについて、何か知ってる？

彰人

冬弥の？…いや…クラシックやってるってことしか知らねぇな

ミク

そっか…

彰人

…なんだよ、冬弥に何かあったんだろ？…兄貴が関係してんのか？

ミク

そうなんだけど…

ミク

…

彰人

何があったんだ？

MEIKO

…彰人くん

MEIKO

これから話すこと、ちゃんと落ち着いて聞いていてね？

ミク

メイコ…！

MEIKO

…解決のためにはきっと、彰人くんが必要よ。

MEIKO

実はね…

彰人

…は？

MEIKO

だからね、それがトラウマみたいになっているようで…

MEIKO

さっきも少し、取り乱したの。

彰人

…んだよ、それ…

彰人

冬弥の兄貴が、冬弥をクラシックに戻すためにやったっていうのか…？！

MEIKO

…えぇ。

彰人

ッ…！！

彰人

（実の弟に、そんなことしてまでクラシックやらせたいのかよッ…！）

ミク

…彰人

ミク

私じゃ無理だったの。

ミク

私じゃ…冬弥を救えなかった。

ミク

だから、彰人。

ミク

冬弥のこと、救ってあげて。

彰人

…ミク

彰人

…わかってる。当たり前だろ、アイツは

彰人

俺の"最高の相棒"なんだから。

彰人

（冬弥、待ってろよ）

彰人

（俺が必ず、その手を掴むから。）

その歌声が響く先。

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