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首あり地蔵(前編)

首あり地蔵(前編)

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首あり地蔵(前編)

2019年04月02日

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K

なあなあお前ら首あり地蔵って知ってるか?

数年前の話ななる。僕らは当時、大学3年生だった。季節は夏。大学の食堂で三人昼飯を食っていた時に、怪談好きなKが、雑談のふとした合間に話し始めたのが、そもそもの始まりだった。

S

首あり地蔵ってお前、そりゃ普通のお地蔵様だろ。

僕の隣に座って、味噌汁を飲んでいたSが、馬鹿にしたように言う。KとSと僕、Kはカレーの大盛りで、Sはしゃけ定食で、僕は醤油ラーメン。いつものメニュー、いつものメンバーだった。

でも確かに、首なし地蔵だったならば、はっきりとは思い出せないが、何かの怪談話で聞いたことがあるかもしれない。話のネタにもなるだろう。しかしKは、首あり地蔵と言ったのだ。Sの言うとうり、それは首のある、普通のお地蔵様だ。

K

ちげーんだよ!!あのな!その地蔵の周りには、もう五体地蔵があってな?首あり地蔵の一体以外は、全部頭がねぇんだってよ!

なるほど、だから首あり地蔵か、僕はその様子を想像してみた。6体の地蔵のうち、一体しか首がない。

ぼく

ねえ、なんでそうなってんの?

K

それがなぁ?その一体だけ首のある地蔵が、ほかの地蔵の首をチョンパしたっつう話なんだこれが!

そう言ってKは下を出し、自分の首をかっ切る仕草をした。

ぼく

でも、そんなことして地蔵になんの得があるんだよ

K

さぁ?知らねぇよ。お供えもん独り占めしたかったとかじゃね?

S

ごっほゴホッ!

Kがそう答えると、Sがかなりの勢いで咳をした。それからポケットティッシュを出し、口元を拭うと、

S

バカヤロー、喉につっかえたじゃねえか。

K

んだよぉ、俺のせいかよぉ?

S

おめぇのせいだよ!

漫才コンビは、今日もさえている。

ぼく

それで、それ以外に首あり地蔵に都市伝説ってあるの?

K

ああ、

K

なんでも、首あり地蔵は、

K

人を襲う!

S

ゴホッ!

またSがかなりの勢いで咳をした。

K

なんだよS、俺の話が信じられねえのかよ!

S

お前、すぐにでもその地蔵に謝ってこい!

K

それだって!

Kの大声に驚き、咳き込んだ。

すると、鼻からラーメンの切れ端がでてきた。

久しぶりだ。こんなこと

K

今夜、行こうぜ!

Kのあまりの勢いに、行かざる得なかった。

そして夜の2時

ぼく

Kの奴、俺ら誘っといて遅刻か?

すると向こうから、Kが走ってきた。

K

すまんすまん。遅れた!

ぼく

ったく、

K

あれ?そういえばSは?

ぼく

あっ、そういえば来てないね。

話してるうちに、Sが、あくびをしながら走ってきた。

S

すまん。寝てた。ハァーあ

K

あくびしてるんじゃねえよ!

K

行こうぜ!

ぼく

おいっ、はえーよ!

S

お前おせえな!

ぼく

2人とも待ってくれよ!

運動神経が悪いぼくは、ビリだった。

ぼく

やっと追いついた……

K

これだぜ、噂の地蔵。

K

ぼく

結構雰囲気出てんじゃん。

S

だな。
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