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れんこん
八木俊典(オールマイト)
緑谷出久(将来)
…そうだ、いつか中学時代の僕が、オールマイトから「力」を受け取るその時……
すでに完成されている未来の僕の『力』と、新しく受け取る『力』が、この体の中で一つになる、
その二つがこの器の中で一つに混ざり合う、その瞬間……
今の僕ですら、耐えきれずに器ごと砕け散ってしまうかもしれない……
エンジェル
緑谷出久(将来)
心の声読めるんだ、
いずれ来る「二つの力の合流(シンクロ)」。
それを阻止するべく、緑谷出久は果てしない過酷な特訓が幕を開けようとしていた。
緑谷出久(中学)
八木俊典(オールマイト)
ブチ
エンジェル
エンジェル
エンジェル
エンジェル
力強い声と共に、背中を突き飛ばされるような衝撃が緑谷出久にくる。
緑谷出久(将来)
バキッバキッ
拘束していた鎖が砕け散り、大人出久の意識は眩い光のゲートへと吸い込まれていった。
そこは夕闇の迫る帰り道。
緑谷出久(将来)
意識が完全に肉体と融合し、視界が開けた。
一人で歩いていたはずの路地裏。
緑谷出久(将来)
出久が自分の手を見つめると、そこには見覚えのある、鍛え上げられた大きな掌があった。
あれ、僕の未来の手、?
体は紛れもなく「大人の出久」のもの。
しかし、着ているものは中学時代の制服で、肩や腕がパツパツに張り詰めている。
緑谷出久(将来)
その時だった。
爆豪勝己(将来)
背後から響いたのは、この時代の中学生が出すはずのない、低く、重厚な声。
緑谷出久(将来)
そこに居たのは、自分と同じく、大人の体格をした爆豪勝己だった。
彼も、中学の制服を来ているが、耐え抜かれた胸板ボタンが弾け飛びそうな程だ。
そして、その左薬指には、未来で二人が誓い合ったプラチナの指輪が、変わらぬ輝きを放っていた。
緑谷出久(将来)
デクの口から漏れたのは、大人出久の声。
目の前にいる男は中学時代の勝己ではない。
自分を追って、この理不尽な過去まで理を破壊してやってきた、最愛の夫。
爆豪勝己(将来)
爆豪は、泣きそうなほど歪んだ、けれど最高に不遜な笑みを浮かべ、大きな一歩で詰め寄った。
そして、大人出久の体を、壊れ物を扱うように、けれど力強く抱きしめる。
爆豪勝己(将来)
爆豪勝己(将来)
抱きしめられた背中に回された爆豪の手。
その指先に触れる指輪の冷たさと、そこから伝わる確かな熱。
緑谷出久(将来)
デクは爆豪の胸に顔を埋め、子供のように声を上げて泣き崩れた。
緑谷出久(将来)
5年という絶望を「0秒」へと書き換えた男が、今、過去の世界の運命を丸ごと上書きするために、愛する者の元へ辿り着いた。
二人の左手で光るお揃いの指輪が、夕暮れの路地裏で、これから始まる反撃の狼煙のように輝いていた。
夕暮れの路地裏、抱きしめ合う二人の鼓動が重なる。
だが、その至福の時間は、体中を駆け巡る「世界の拒絶」という激痛によって引き裂かれた。
緑谷出久(将来)
大人の肉体という「未来の質量」を過去に留めるには、あまりに無理があった。
このままでは世界の修正力が働き、二人の魂は再び霧散してしまう。
爆豪勝己(将来)
爆豪ですら苦悶の声を上げ、膝をつく。
最強のヒーローとして幾多の死線を越えてきた彼らですら耐え難い、存在そのものが消滅しかける恐怖。
…もしかして、
ピカァ
突然デクの掌に宿る、異質な光。
爆豪勝己(将来)
爆豪は一瞬、忌々しげに顔を歪めた。
本来なら「勝手な真似すんな」と突き放すところだが、意識が遠のくほどの激痛と、デクが纏う「底知れない力」の気配が、それが唯一の生存戦略であることを爆豪に理解させた。
爆豪勝己(将来)
爆豪は一切の抵抗を見せず、信頼だけを込めてデクの腕を掴んだ。
緑谷出久(将来)
爆豪の掛け声と同時にデクは『オーバーライト』を発動させた。
数分後。
緑谷出久(デク)
爆豪勝己(大爆殺神ダイナマイト)
荒い息を吐きながら立ち上がったのは、見た目だけはひょろりとした「14歳の少年」に戻った二人だった。
爆豪は自身の細くなった掌を何度も握り、内側に溜め込まれた莫大なエネルギーの感触を確かめると、鋭い眼光でデクを射抜いた。
爆豪勝己(大爆殺神ダイナマイト)
爆豪勝己(大爆殺神ダイナマイト)
緑谷出久(デク)
緑谷出久(デク)
緑谷出久(デク)
緑谷出久(デク)
爆豪は鼻で笑い、デクの肩を小突いた。
爆豪勝己(大爆殺神ダイナマイト)
爆豪勝己(大爆殺神ダイナマイト)
爆豪勝己(大爆殺神ダイナマイト)
爆豪はそう吐き捨てると、中学生の細い指でデクの制服の胸ぐらをぐいと引き寄せた。
至近距離で射抜くような鋭い眼光が、デクの瞳の奥を逃がさないように覗き込む。
……どうせテメェは、俺を『巻き込みたくねぇ』とかクソみてぇなこと考えて、また自分を勘定に入れねぇ動きをする
それはもう、治らねぇ病気だ
……言葉で言っても無駄なら、骨の髄まで刻んでやるよ
爆豪はデクが内側に秘めた「独りでも戦えてしまう狂気」を見透かし、あえて突き放すような冷徹な声で条件を並べ立てた。
爆豪勝己(大爆殺神ダイナマイト)
爆豪勝己(大爆殺神ダイナマイト)
爆豪勝己(大爆殺神ダイナマイト)
爆豪勝己(大爆殺神ダイナマイト)
緑谷出久(デク)
爆豪は冷酷なまでに、その「条件」をデクの意識に刻みつけた。
爆豪勝己(大爆殺神ダイナマイト)
爆豪勝己(大爆殺神ダイナマイト)
爆豪勝己(大爆殺神ダイナマイト)
一つ告げられるたびに、デクの心臓が跳ねる。
爆豪はデクの瞳の奥を覗き込んだまま、逃げ場を許さないトーンで畳み掛けた。
爆豪勝己(大爆殺神ダイナマイト)
爆豪勝己(大爆殺神ダイナマイト)
爆豪勝己(大爆殺神ダイナマイト)
爆豪勝己(大爆殺神ダイナマイト)
緑谷出久(デク)
出久の表情が凍りつく。
自分を追い詰めても、笑って「大丈夫」と言う。
そんな出久の常套手段すら、爆豪は封殺した。
そして爆豪は、掴んでいた胸ぐらをさらに強く引き寄せ、耳元で低く、鉄の掟を告げた。
爆豪勝己(大爆殺神ダイナマイト)
爆豪勝己(大爆殺神ダイナマイト)
緑谷出久(デク)
緑谷出久(デク)
緑谷出久(デク)
出久は心の中で「最悪、独りになってもやり遂げる」という危うい覚悟を秘めたまま、目の前のかっちゃんを繋ぎ止めるために、震える声で重い頷きを返した。
……ヘッ、嘘つけ、!
どうせテメェはすぐ破る
そのたびに追加の条件で、テメェの自由を一つずつ奪って、俺の隣に縛り上げてやるよ、!
爆豪は心の中で、出久が守ろうとすればするほど壊れていくであろうその約束を、さらに冷徹に更新し続けていた。