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次回から第6章です!本当に本っ当に5章重要ですからね😳! 覚えて頂きたい情報としては↓ ・吉田には兄貴がいる ・孝太君、ラスボス(柚月君のお母さん)に物申す→何やらダメージを受けた様子のラスボス ・ラスボスを見送る怪しい影 と、なります。6章本当長いよ😳 読んでくださりありがとうございました❗
「誰か校長室に茶持ってってやれよ」
「無理無理。あんな修羅場。 さっき校長室の前通ったけど、怒鳴り声凄かったぜ」
職員室は校長室の話題一色だった。
卒業式の後に開かれる卒業パーティーの開催を巡って、今校長室で吉田くんとその母親が揉めているらしい。
窓の外はとうに暗くなっているが、話し合い(?)に未だ決着はついていない。
「まぁあの母親相当入れ込んでたみたいだからな、卒業パーティー」
「でも俺は中止に賛成だな。どうせ準備とか後片付けとか諸々の雑務は俺達に回ってくるし
あの人は俺達を おままごとのオモチャくらいにしか見てないからな」
「確かに。吉田 優一(ゆういち)の時もやりたい放題だったしな。優一の担任の竹川、今も家から出られねぇんだろ?」
「あんなんが母親やってるから息子の出来も悪くなるんだよなー」
「よせよせ。それ以上言うと竹川の二の舞だぞ…」
___俺は保健室の先生(生徒の下校時刻は過ぎたので職員室にいる) にそっと話しかけた。
西谷 春翔
保健室の先生
西谷 春翔
保健室の先生
保健室の先生
西谷 春翔
保健室の先生
保健室の先生は頤(おとがい)に手を当て、数瞬考えるような間を取った後 口を開いた。
保健室の先生
保健室の先生
吉田
吉田
吉田
校長
吉田 母
吉田
吉田
吉田は目を細めて笑むと赤い舌を覗かせた。
吉田
吉田
その単語を聞いた瞬間、母親の顔が般若のように歪む。 息子に向ける瞳には はっきりと憎悪が顕れていた。
しかし吉田はそれには取り合わず、校長の鼻先に署名を付き出した。
吉田
校長はしきりにハンカチで汗を拭いながら とりあえずと言った体(てい)で署名を受け取る。
署名を眺めるフリをしながら必死でこの場をおさめる方法を思索する校長に、母親が苛立たし気に声をかける。
吉田 母
吉田
しかし吉田が母親を遮り発言権をもぎ取る。
吉田
吉田
吉田
校長の額にいくつも汗が浮いた。署名を持つ手は ぶるぶると震えている。
吉田がネットの世界でも顔が広いことは彼も知っていた。 ___牽制の材料としては充分すぎた。
校長
それは母親も同様で、ギリギリと歯ぎしりしながら吉田を睨んでいたが
やがて顔を背けると憎々し気に吐き捨てた。
吉田 母
校長
校長が安堵の表情を浮かべながら職員室に内線を繋ぐ。 先に吉田が踵を返した。
母親の方を見向きもせずに出口に向かう。
母親も決して吉田の方を見ようとしない。 ___しかし、吉田がドアノブに手をかけた瞬間
吉田 母
小さく、機械のように無機質な声音だった。 ___返って来た声もまた小さく、掠れていた。
吉田
吉田
教科書を朗読するよう指名された時のような、抑揚の無い声で吉田は続けた。
吉田
吉田
吉田
吉田
吉田
吉田
吉田は一旦言葉を切った。 左側だけ長く伸ばしている前髪の隙間から僅かに笑みが覗く。
それは先程の、そしていつも見せている酷薄な物ではなく____
肩から滑り落ちた前髪が、その微笑も覆い隠した。
口を閉ざし語り終えても、吉田はドアノブに手をかけたまま佇んでいた。
まるで誰かの返答を待っているかのような____ 母親が面倒臭そうにため息を吐いた。
吉田 母
吉田 母
吉田
吉田は肩を上下させて息を吐き出すと、ドアノブを回した。
開いた扉の隙間から夜の闇と申し訳程度の蛍光灯の光が流れ出て来る。
扉を全開にすると吉田は肩ごしに振り向いた。 その顔にもう微笑は浮かんでいない。
吉田
退室すると吉田は後ろ手で力任せに扉を閉めた。
一体いつになったら帰れるのだろう。
___ランチ会から2週間後。今日は卒業パーティーとやらの運営のリーダーを決める日だ。
道中10回はため息を吐きながら指定された時刻に学校に赴くと、吉田さんは校長室に呼ばれている、との事だった。
なんでも息子がパーティーの開催を強行に反対しているらしい。 結論が出るまで私達は手近な空き教室で待機、と言うことになった。
勘弁して欲しい。 内輪揉めにどうして1時間近くも待たされないといけないのか。
こんな事になるのなら出る前に夕食の準備をして来れば良かった。今日はスーパーの惣菜で済ませてしまおうか。
___とにかく苛々しながら時計を睨んでいると、誰かが遠慮がちに咳払いした。
同じく待たされている取り巻き達の誰かだ。 __吉田さんといる時は あんなにかしましいのに、今は別人のようにおとなしい。
会話もぶつ切りで退屈そうにスマホを弄っている。 彼女達を繋ぐ物は吉田さんだけなのだろう。
長針が更に20度ほど進んだところで、誰にとっても苦痛な時間はようやく終わりを告げた。
背が高く若い教師は遠慮がちに入室すると、申し訳なさそうに眉尻を下げた。人柄が窺える。
西谷 春翔
多少のざわめきはあったものの意外なことにすぐに収まった。 取り巻きの誰かが口を開く。
「吉田さんは……」
西谷 春翔
これだけ待たせておいて何の説明も無いのか。 主催者のくせに。そっちの息子がゴネたくせに。
「……それじゃ、今日は解散と言うことですか?」
西谷 春翔
教師が頭を下げる。 取り巻き達は無言で出口に向かった。
___小さく誰かがため息を吐いた。
それはパーティーが開催されないことを惜しんでか この気詰まりな時間を過ごしたにも関わらず無駄骨に終わったことに対するため息か
教師も、もちろん私にも見向きもせずに去っていく彼女達の背中から、それは窺えない。
しかし。 ぽつりと、誰かが呟いた。
「相変わらずの親子仲ね」
石を投げられた水面(みなも)のように
空気がさざ波立つのを感じた。
____いつもは かしましい彼女達の
それが本心なのだろう。
「本当にお世話になりました。おかげさまで孝太も無事 合格することができました」
「合格出来たのは孝太君の実力ですよ。孝太君にはおめでとうとお伝えください」
卒業パーティーを中止することになった旨を待機して貰っていた保護者に説明した後
孝太君の親御さんがわざわざ俺にお礼を言いに来てくれた。
孝太君が第一志望である呉董都学園に合格したことは本人から聞いたしその時も感謝されたけど、合格を掴み取ったのは本人の努力の賜物だと思う。
それでもやっぱり自分のことのように嬉しくなる。教師になって良かったと思う。
何度もお礼の言葉を述べる孝太君の親御さんとは対照的に、隣の女性(たぶん柚月君のお母さん)は1度も口を開かなかった。
「お疲れ様でした」と挨拶しても軽く頷いただけで気だるそうに歩いて行った。
__まぁあれだけ待たされたのに「中止になったから帰れ」と言われたんだから無理もない。
………「中止します」と告げた時、ブーイングの嵐を想像していたが、保護者達は意外とすんなりと受け入れた。
そんなに楽しみじゃなかったのかな。でも吉田くんの親御さんは…… __と、いろいろ考えながら廊下を歩いていると
吉田
西谷 春翔
生徒用の昇降口の玄関扉を施錠しようと昇降口内に足を踏み入れると、下駄箱の影から吉田くんが飛び出して来た。
西谷 春翔
吉田
西谷 春翔
吉田くんはつまらなさそうにため息を吐くと、下駄箱から自分のスニーカーを掴み取った。
それを床に放りながら吉田くんが質問して来た。
吉田
西谷 春翔
吉田
西谷 春翔
西谷 春翔
吉田
西谷 春翔
踵を潰した上靴を下駄箱に突っ込んだ吉田くんが一瞬こっちを見た。
西谷 春翔
西谷 春翔
吉田
西谷 春翔
吉田
吉田くんが何かを堪(こら)えるように目を細めて微笑んだ___気がした。
一瞬のことでよく見えなかったけど…。 吉田くんはスニーカーをつっかけると引きずるように1歩踏み出した。
どうやら帰るらしい、と判断した俺は「さようなら」と挨拶したのだが、 ___その声に重ねるように小さな、とても小さな声がした。
吉田
西谷 春翔
吉田
吉田
西谷 春翔
吉田
西谷 春翔
言葉に詰まった俺を見て吉田くんは愉快そうに笑った。いつもの吉田くんだ。
それでも___ 帰路につく吉田くんを見送りながら思う。
吉田くんでもあんな顔をするんだ… 咄嗟に聞き取れなかったフリをしたけど
___実はちゃんと聞き取れた。
学校を出るともう19時近くになっていた。
夫から あれやこれやと文句を言われることを想像すると気が滅入る。 やはり今日はスーパーの惣菜で済ませてしまおうか。
山崎 母
鳴沢 真由子
山崎 母
鳴沢 真由子
山崎 母
山崎 母
山崎 母
鳴沢 真由子
山崎 母
鳴沢 真由子
辞退する方向に話を持って行く方が面倒なので付いて行くことにした。 夕食を作る手間が省けるなら それに越したことはない。
可も無く不可も無い平均的な一軒家の前で山崎さんが立ち止まった。
山崎 母
その家のガレージの端で、中学生くらいの男が自転車のスタンドを下ろしていた。どこかから帰って来たところだろう。
山崎 母
山崎 孝太
柚月の口からよく出て来る名前だ。その中学生は ちらりと私を見た。
山崎 母
中学生は首だけで軽く礼をし、すぐに家に入って行った。 …まぁこんな時間に客人が来られても迷惑なだけだろう。
山崎さんも家に上げる気は無いらしく(上がれと言われても困るけど)、「すぐに取って来ますね」と言って家に入って行った。
玄関のドアが閉められてから2秒ほど後 再びドアが開いた。
やけに早いな、と思ったがドアを開けたのは さっきの中学生だった。
中学生は私と目があうと、さっきより深めに首を倒した。 忘れ物でも取りに来たのかと思ったが、中学生は小走りでまっすぐ私の元に来た。
中学生は立ち止まると一瞬躊躇う素振りを見せたが、顔を上げると意を決したように口を開いた。
山崎 孝太
山崎 孝太
山崎 孝太
山崎 孝太
中学生が真っ直ぐこちらを見ている。 控えめだけど確かに伝わる、その眼差しは___
山崎 孝太
糾弾。非難。咎め。 何度も浴びて来た視線だ。
山崎 孝太
昔は、1年ほど前までは それを容易にはね除けられた。 __中学生が会釈して踵を返す。
入れ替わりに山崎さんが戻って来た。不思議そうに玄関のドアを見つめる。
山崎 母
鳴沢 真由子
上手く笑えているか自信が無い。 ____どうしてだろう。
昔は容易にはね除けられたあの眼差しが、今は茨のように食い込んでくる。
やはりスーパーに行くのはやめて、冷蔵庫にある物で適当に何か作ろう。
山崎さんの家をあとにしながら ふとそう思う。
結局無駄骨に終わったが、今日はリーダーを決める為のお菓子も持参した。 面倒臭いからこれも柚月に処理して貰おう。
そう言えば先日はバレンタインだ。
___柚月はどんな反応をするだろうか。
お裾分けの紙袋を揺らしながら鳴沢 真由子は夜の住宅街に消えて行く。
その様子を
住宅街の一角に停められた高級車から 1人の男が見送っていた。
車内は暗く、街頭の灯りが僅かに彼の口元を照らす。
微笑を浮かべたその口元は
_____柚月のそれとよく似ていた。
女子大生と男子中学生が交際している話 シーズン2 第5章 「バレンタイン」編 End
非リア弟です😳 長くなりましたが読んでくださりありがとうございました😳
「5,6,7章構成」における第5章全3話お届け致しました。 前にも言いました通り、この章の内容をしっかり把握して頂くと、7章までの理解がスムーズになるかと思います😌。
本当フラグたくさん建てました😳。「あの時あいつあんな事言ってたな」と頭の片隅にでも入れてくださればと思います。
次回から第6章が始まります! 次回更新(予定)は4月3日 日曜日です!!
第6章……めっちゃ長いです。全部で14話あります。 連載は6章から再び隔週更新に戻るので…第6章だけで……
28週!? 1ヶ月4週間とすると 7ヶ月(以上)!?!?
何があるかわからないので「以上」とつけときます😳 めっちゃ長いですがお付き合い頂けると嬉しいです😳
最後まで読んでくださりありがとうございました! 非リア弟