君と、また笑えたら。

目を擦りながら、体を起こす。

顔を洗いに行きたかったが、点滴を打たれていて動けなかった。

…入院生活って、そんなもんなのかな。

ガラガラガラッ

さとみさんって、めちゃくちゃ面倒見良いんだな…

大人、って感じ。

軽く聞いたつもりだったけど、さとみさんは何故かとても驚いていた。

僕は、ただ単にモテるだろうなぁって思っただけなんだけど。

そう言って笑った顔は、とても眩しかった。

愛おしいものを見つめているような、幸せそうな笑顔。

きっと、頭の中にはその子がいるのだろう。

会いたいな、と呟く声が聞こえた。

そう言って、優しく頭を撫でてくれる。

もしかして、さとみさんと彼女さんって喧嘩中なのかな…

さとみさんはまだ大好きだけど、彼女さんは……みたいな？

ガラガラガラッ

これに誘ってくるとか…さとみさんゲーム上手なのかなぁ‪w

ー30分後ー

肩抱き寄せられてる…？‪

え、やりづら。

今の怒りを相手にぶつけると、敵はすぐに倒れた。

そう言いながら、肩にまわした方の手で頭を撫でてくれた。

それから、さとみさんは少し雑談をしてから帰っていった。

とても優しくて、よく笑う人だと言う印象は今も変わらない。

でも…たまに、だけど。

僕は、さとみさんと知り合いだったんじゃないかって思うんだ。

僕のスマホのパスワードだって、1回で当てていた。

飲み物だって、わざわざマイナーなものを買ってきた。

それって、僕のスマホのパスワードも、好きな飲み物も知っていたからじゃないのかな。

それとも、偶然なのかな。

だって、もしそれが全部偶然じゃなかった時。

僕は、さとみさんから離れなきゃいけなくなるから。