ホムラ
え、言えてない!?
なんでや?

大先生
うーん、なんか罪悪感が…

大先生
それに、ちょうど昨日進路に悩んでるっていう話してて…
あいつを追いかけて入ったみたいに勘違いしたら気まずいなーとか…

大先生
色々考えると言えないんすよ。

ホムラ
うーん、あんまり深く考えなくていいと思うけどな。
コネシマはそんなこと気にするやつじゃないやろ?

大先生
そうなんすけどね…。

ホムラ
ま、自分のタイミングで言えばええやん。
お前とコネシマがどのくらい仲が良くて信頼してるかは知らないけど、少なくともそんなことで壊れる関係はそれまでだ。

ホムラ
多分人とたくさん関わっているお前ならわかると思うが、コネシマは他の奴とちょっと違うんじゃないのか?

大先生
…。

考えてみればコネシマは同級生よりも精神年齢が高く見える時がある。
くだらないことを口走ったと思えば、諭すように話す。
ホムラ
どうだ?
あいつがそんなことでいじける幼稚なやつだと思うか?

大先生
…思わない。

ホムラ
な?
きっと大歓迎してくれるよ!

ホムラはそう言ってくれたが、まだ不安だった。
こんな経験は生まれて初めてである。
大先生
(親友と呼べるくらいに仲がいいやつがいなかったからなぁ、俺…
どうすれば1番いいかが分からない…)

ホムラ
まあ今はそれは置いといて…

ホムラ
ほらこれ、最新型のPCや。
周辺設備もこっちで揃えてる。
設置しに行こうか?

大先生
いや、俺できるから大丈夫です。

ホムラ
へぇ、そういう知識もあんの?

ホムラ
てか敬語じゃなくていいよ。
俺そういうの嫌いだ。

大先生
そっか、じゃあ遠慮なく…

大先生
まあある程度はね。
調べたら確実にできるし。

大先生
…ホムラは、親友っておる?

ホムラ
…どうした?

大先生
俺はシッマが初めての親友。
あいつがどう思っとんか知らんけど、少なくとも俺はそう思ってる。

大先生
だからこそ怖い。
失いたくないねん…。

ホムラ
親友か。
俺もいたよ。

大先生
いた?

ホムラ
うん、もう死んじゃったけど。

大先生
え、

ホムラ
…この際はっきり言っておくけど、お前が言わなかったらコネシマからの信用は無くなるぞ。

ホムラ
こんなに大事なことを言わずに隠すってのは気分悪いだろ。
ちゃんと向き合えよ。

ホムラ
親友、なんだろ?

ホムラ
そりゃ人は会って別れてを繰り返すから、これから先もっといい関係の人が現れるかもしれない。

ホムラ
けど、今親友と思えてるならそれを大事にしなきゃ。
後悔することになるぞ。

ホムラ
失ってから気づいても遅いんだから。

大先生
……。

ホムラはたんたんと荷物をダンボールにつめながら話している。
その言葉は一つ一つが重く、大先生の心に突き刺さった。
たしかに、後悔してからでは遅い。
大先生
せやな。
俺言わなあかんな。

ホムラ
分かればよろしい!
ほら、重いけど持てるか?

大先生
うぐっ!
おっもぉ…

ホムラ
貧弱やなお前…
俺が家まで運んだるわ。

大先生
え、いいん?

ホムラ
なんかほっとけんしな。

ホムラ
あー、こういうところが人たらしなんか!
納得したわ。

大先生
そんな文句言うなら俺やるやんかぁ…

ホムラ
それは負けた気分になるし嫌だ!

大先生が抱えきれなかったものをひょいと担いでスタスタ行ってしまった。
大先生
(俺って非力やなぁ…
ま、ここにも助けてくれる人いるし大丈夫か。)
