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あの夏
貴方に会わなかったら、
どうなっていただろうか?
ただ、今とは違う結果になっていたと信じたい。
髪が顔を隠すように揺れた。
コンビニ袋を提げながら歩き出すカナの後ろで、少年は素直についてきた。彼の小さな足音がかすかにアスファルトを叩く。
カナ
ヒロト
予想外の返事にカナは足を止めた
カナ
ヒロトくんは少し困ったように首を傾げる。その仕草があまりにも愛らしいものだから、一瞬だけカナの警戒心が緩んだ。
ヒロト
その言葉に込められた重みに、カナは思わず息を呑んだ。周囲の雑音が遠のいていく感覚。
カナ
少年は自分の爪先を見つめながら小さく答えた。
ヒロト
カナはコンビニ袋をそっと地面に置いた。
この異常な赤色を持つ子ども
彼女のような犯罪者が最も出会うべきではない種類の人間だ。
だが、目の前の小さな体には恐怖や諦めとは違う何かがあった。それは彼女が警察から逃亡中の身でありながらも、不思議と惹きつけられる存在だった。
カナ
冷たい風が二人の間を吹き抜ける。
カナはしばらく考え込んでから決断した
カナ
少年の表情がパッと明るくなる。
ヒロト
その笑顔を見た瞬間、カナの中で何かが弾けた。
自分の身の上を考えれば、こんな危険な行動は馬鹿げている。
指名手配犯が見知らぬ子供を保護するなんて、自殺行為にも等しい。
それでも……
カナ
カナは真剣な表情で続けた。
カナ
ヒロトくんはキョトンとした顔で彼女を見上げた。
ヒロト
カナは一瞬迷った。本当のことを話すべきか。
だが次の瞬間、彼女の脳裏にある光景が浮かんだ—警察官たちが血眼になって「神代カナ」を探す姿、そして何より大切な過去との決別。
カナ
驚くほど率直な告白に、ヒロトくんは目を丸くした。
ヒロト
カナ
完全に予想外の反応に、カナの方が戸惑ってしまった。
ヒロト
カナ
少年の純粋な目は期待に満ちていた。
まるで宝物を見つけたかのように輝いている。
ヒロト
無防備すぎる宣言に、カナは思わず笑い出した。久しぶりに心から笑えた気がした。
カナ
二人は並んで歩き始めた。狭い路地裏を抜け、古いマンションのエレベーターに乗る。
沈黙のなか、カナはふと思った—この少年はきっと、自分と同じ何かを抱えているのだと。
カナ
カナが尋ねると、ヒロトくんはぽつりと言った。
ヒロト
カナ
ヒロト
カナは呆然とした。それならなおさら彼を放っておくわけにはいかない。
法律も世間も何もかも忘れて、ただこの小さな命を守りたくなっていた。
部屋の扉を開けると、薄暗い室内が二人を迎え入れた。カナは照明を点けながら呟いた。
カナ
その言葉に少年は嬉しそうに頷いた。
ヒロト
指名手配犯と謎の少年の奇妙な共同生活は、こうして始まったのである。
コメント
3件
え!!言葉選び上手すぎて尊敬する🫶🏻💕 続きが楽しみ♪