放課後 運動場
玲
走り込みー!トラック4周!
部員
はい!
玲
(沙也加、早く来ないかなあ…)
沙也加
お待たせ!
玲
お、やっと来たー!
沙也加
準備運動なら終わってる
玲
お!話が早い!
沙也加
じゃやりますか。
玲
OK!
息を合わせて、私たちは走り始める。
沙也加
(今日こそっ……!)
横で走る玲は今何を考えているのだろう
玲
……
沙也加
(息が乱れてない)
段々と玲との距離が開いていく。
心臓が痛いほど脈打ち、肺は悲鳴をあげる。
沙也加
(ダメだ…)
勝てない。やっぱりこいつには
沙也加
はあっ……は、はあっ……
届かない。
玲
……っと
沙也加
はあっ、はあっ、はあっ、っうぁ
玲
…今回はさすがに負けると思った
沙也加
嘘つけ、ばか
玲
おーおー、言葉が崩れてるぞ
沙也加
っあー…勝てない!
玲
ははは、勝ったぜ!
中学まで、私が1番足が早かった。
しかし高校に上がって、玲と出会って。初めて『天才』を目の当たりにした。
部員
副部長!部長!お疲れ様です!
沙也加
お疲れ様。
部員
…!
玲
……。次のメニュー移ってて。
部員
…っ、はい!
沙也加
…良い後輩
玲
…。人たらしめ。
沙也加
あんたに言われたくない
玲
あんまり後輩ばっかり可愛がってるとー、部長嫉妬するなー。
沙也加
……!
玲が腕を肩に回してくる。心臓の音がうるさい。
沙也加
(これは……冗談。ただの)
玲
そろそろ後輩の所行こ!
沙也加
あっ…
走っていく玲の背中を見つめ、私は唇を噛んだ。







