見慣れた景色
目が覚めると白い天井。 視界にうつる自分に繋がれたチューブ。
窓の外は、花の散った桜の木
ずっと窓の外を見ていた。 入院しているという事実を見るのが嫌でたまらなかった。
そんな俺でも唯一、楽しいと思える時間があった。
今日もカラカラと音を立て、ドアが開く。
先生
琉生
先生
琉生
先生
先生
琉生
琉生
先生
琉生
先生
琉生
琉生
先生
ドアが閉まり、先生の背中は見えなくなる。
さっき渡された袋の中には、先生が作ったと思われるお菓子。
琉生
愚痴愚痴言いながら封を開く
我ながら嫌な性格をしている。
琉生
齧り付いたカップケーキは甘くて
少ししょっぱかった。
琉生
2年前、俺が中学に入った日の事
一目惚れだった。
隣のクラスの担任で、国語担当の教師。
もちろん、告白なんてする訳もできる訳もなく、ただ先生の役に立てればと沢山手伝いをした。
それから半年程して、病気が再発した。
治る事はないのに、入院させられた。
少しでも長く生きたいなんて思わない。
大切な人と過ごせる時間が何より大切だったのに。
色んな感情がグルグル渦巻いて
俺は変わってしまった。
琉生
今日は始業式だったはずだ。半年しか過ごしていない級友でも、大切な友人だ。
琉生
こんなに歩くのは久々で疲れた。
壁にもたれかかっていると顔馴染みの看護師さんが近寄ってくる。
看護師
琉生
看護師
琉生
看護師さんは立ち止まり、俺のお願いを聞いてくれた。
先生
看護師
先生
看護師
先生
琉生
琉生
琉生
先生とはもう会えない
自分を忘れてもらうため。
琉生
この恋心を捨てるため。
琉生
琉生
琉生
琉生