青 春 っ て 、 難 し い
第 3 話
⚠️ 通 報 ✖ ⚠️ ブ ク マ 一 言 欲 し い で す ⚠️ 桃 赤 、 青 黄 の 地 雷 バ ッ ク
れ っ つ ご ー
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あとから、テニス部に仲のいい友達がいる橙が、俺のためにことの経緯を探ってくれた。
一澤くんとダブルスを組んでいる男の子の名前は宮内 青(ミヤウチアオ)。
一澤くんが謝りに来た時に、一緒についてきたあの短い茶髪の子だ。
あの子が絡んでいる。
橙が友達を介してその本人、宮内くんと2人にしてもらい、聞いてきてくれた。
いきなり平手打ちをされた俺の事を宮内くんは気遣って、気持ちのいい記憶でも無いだろうことを話してくれたってことだ。
彼は高校に入ってすぐ事故にあい、左手の小指の第1関節から先の神経が麻痺している。
赤みの引いていない縫い傷も目立つ。
麻痺はいずれ消失し、傷は目立たなくなる。
でも今はまだかなり目立つのだ。
もともと楽天的な性格だし生活に支障もほとんどなくて、本人も周りもまるで気にしていなかった。
1年も終わりに近づいたこの時期に、宮内くんは以前から好きだった人に告白をした。
おちゃらけた性格に反して、好きな子のことはダブルスを組んでいる親友の一澤くんにも打ち明けられずに胸に秘めていたらしい。
名前は上水口 黄(カミナグチキイ)
1年1組にいる俺の双子の兄。双子といっても2卵生だからまるで似ていない。
ごく普通の顔立ちをした俺に対し、兄の黄は芸能人だと言っても通りそうなほど、
目鼻立ちの整った涼やかな美人なのだ。
1年どころか学校全体の中でも一際目を引く存在だった。
宮内くんが黄に告白した時、黄が彼に放った言葉に、一澤くんは激怒した。
上水口 黄(カミナグチキイ)
断られることは覚悟していたけど、まさかこんな対応をされるとは思いもせず、
宮内くんは自分の中で処理しきれなかった。
とにかく誰かに話して落ち着きたかったんだろう。
事の詳細を聞かされた一澤くんは、怒りで簡単に前後不覚になった。
一澤くんは1年9組。俺は8組。黄は1組。
たたでさえ一澤くんは、誰が可愛いとか人気だとか、そういう女子の噂に疎いそうなのに、
1年で9組だけが隔離されたように別校舎だ。
上水口 黄が双子だと知らなかったらしい。
近いクラスから上水口という人を探して歩き、渡り廊下を挟んだすぐ隣のクラスにいると突きとめた。
それが上水口 黄ではなく、上水口 赤、俺だったわけだ。
上水口なんてちょっと珍しい苗字だ。もう1人いるとは夢にも思わなかった一澤くんは、
勢いのまま俺をつかまえ、平手打ちしたというわけだ。
上水口 赤(カミナグチアカ)
黄なら告白された時に虫の居所が悪ければ、そのくらいの悪態はついてしまうかもしれない。
宮内くんご愁傷さま。
そして。図らずもご愁傷様な人間がここにまた生まれてしまった…
何事もなく過ぎていく高校生活の仲の些細な刺激。
校内で見かけることが日常のひそかな楽しみ。
昨日まで一澤くんは俺にとってそういう存在だった。
それだけの存在だった。
触れることがないから害の心配もないただきらきらと光る鉱石で、
他の石より多少目立つそれを、眩しく眺めているだけで充分満足だった。
それがひとつの出来事で化学反応を起こし、多少目立つなんてレベルとは別物の、
悲しいほど冴えたブルーに輝く石に変わってしまった。
痛みもなにもない打たれた頬に手をやりながら、ごめん、と謝った時のせっぱつまった一澤くんの声を思い出す。
屈託のない笑顔しか見たことのない一澤くんが、あれほどまでに激昂した理由は親友を侮辱されたからだ。
上水口 赤(カミナグチアカ)
金井 橙(カナイトウ)
教室の中、俺の顔を覗き込む橙の前で目を伏せ、自嘲ぎみの笑いをこぼす。
上水口 赤(カミナグチアカ)
金井 橙(カナイトウ)
上水口 赤(カミナグチアカ)
上水口 赤(カミナグチアカ)
金井 橙(カナイトウ)
上水口 赤(カミナグチアカ)
親友が傷つけられれば一澤くんは、感情の制御が出来ないほど激しく怒る。
いつもは影をひそめているそのほとばしる正義感と情熱を知ったことで、
俺の中に生まれてしまったこの不可解な気持ち。
それをあの時叩きつけられた言葉で封じ込める。
最低という言葉や平手打ち。それは全部黄に向けられたものだ。
でもあの時たった一つ、間違いなく俺に対して放たれた単語がある。
”このブス!”
俺は軽く唇を噛んで窓の外の常緑樹に目をやった。
”一澤 桃”
もう関わることもない。
関わることもなければ一瞬胸にともったこの面倒くさい気持ちも、俺の中でちりぢりになってかき消えるに決まってる。
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コメント
3件
初見ですが物語の雰囲気とかめっちゃ好きです🥺✨ この連載自体のブクマ失礼します🙇🏻♀️
フォロー失礼します…