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ふかふかの布団に、やわらかい枕
床は冷たくないし、天井も遠く感じる
高峰理人
高峰理人
高峰理人
部屋の入口で高峰が少しだけ屈んで声をかける
朔弥が無言でうなずく
高峰理人
カチリ、と鍵のかからないドアの音がして、足音が遠ざかっていく
あっという間に、部屋は静けさに包まれた
……でも、すぐには眠れない
どこか落ち着かなくて、視線が天井や壁をゆっくり彷徨う
ガタッ
柊 朔弥
少しでも音がすれば肩がびくっと跳ねる
こんなに「安全」そうな場所にいるのに、どこか身体が緊張を解いてくれない
シーツの中、ぎゅっと自分の膝を抱えこむ
あたたかいはずの毛布の中で、どこか寒さを感じるのはなぜだろう
……思い浮かぶのは、小さな、柔らかな手
夜になると必ずすがってきたあの温もり
今はもういない
喉の奥がきゅう、と詰まって、呼吸が浅くなる
心のどこかに、ぽっかり穴があいたような感覚だけが残る
静かな朝の光が、カーテン越しに差し込んでいた
柊 朔弥
柊 朔弥
朔弥が部屋のドアを開けると、廊下にはすでに生活の気配が漂っている
階段をゆっくり降りると、キッチンとつながった広々としたダイニングに辿り着いた
高峰理人
高峰理人
テーブルに座って新聞をめくっていた高峰が顔を上げて、目を細めながら声をかける
朔弥は少し迷いながらも小さくうなずいて、テーブルの端に座った
高峰理人
そう言いながら高峰は湯気の立つカップを朔弥の前に置いた
続いてキッチンから東條がエプロン姿で現れる
東條 絢斗
東條 絢斗
テーブルの上には、ふわりと湯気の立つスープと、ふっくら焼けたパン、やさしい色合いのスクランブルエッグ
ぎこちない手つきでスプーンを握り、スープをひと口すくう
あたたかい……
高峰理人
高峰理人
高峰がドヤ顔をすると、即座に東條が眉を寄せる
東條 絢斗
高峰理人
高峰理人
突然ふられて朔弥が戸惑っていると
東條 絢斗
と、東條が呆れ声を上げた
テーブルの上には、小さな笑い声が重なっていく