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静かに朝食をとっていた朔弥が、ふと顔を上げる
いつの間にか、テーブルの端の空席に視線を落としていた
柊 朔弥
何度か、視線を送っている
それに気づいた東條が、パンを置いたタイミングでぽつりと口を開く
東條 絢斗
朔弥が、ぱちりと瞬きをする
柊 朔弥
まるで心の中を読まれたようで、ほんの少し驚いた表情を浮かべた
東條 絢斗
東條 絢斗
にこやかに言う東條に、高峰がコーヒーをすすりながらぼやいた
高峰理人
高峰理人
高峰理人
東條 絢斗
東條 絢斗
高峰理人
2人はそんな会話を交わしながら、テーブル越しに視線を交わす
一方で、朔弥はそのやり取りをぽかんとした顔で見ていた
2人の目が合って、何かを話している
――でも、何の話をしているのか、よく分からない
ただ、玖堂の名前が出たとき、胸の奥が少しだけ熱くなった
昼下がりゆったりと陽が差し込む部屋の中
朔弥は、ソファに腰かけ、静かに窓の外を眺めていた
東條がキッチンから顔を出しながら尋ねる
東條 絢斗
突然の問いに、朔弥はきょとんとした
柊 朔弥
隣の高峰もソファに座りながら言葉を補う
高峰理人
高峰理人
朔弥は一瞬だけ視線を落とし、何かを考える素振りを見せた
が、すぐに首を横に振った
「欲しいもの」と言われても、思い浮かぶものがない
何が欲しいのか
――そもそも、欲しいという感情を抱いたことがあまりにも少なかった
高峰理人
東條 絢斗
東條は肩をすくめ、特に気にした様子もなくキッチンに戻った
その日はそれきり、何も起きなかった
翌朝
リビングに入ると、テーブルの上には見慣れない箱やカラフルな物がずらりと並べられていた
柊 朔弥
高峰理人
高峰理人
東條 絢斗
朔弥は恐る恐る近づき、ひとつ手に取ってみる
高峰理人
柊 朔弥
高峰理人
笑いながらも横に並び、使い方をひとつずつ教える
ボタンの押し方、本の読み方、パズルの組み方
――初めてのものばかりで、朔弥の指先はぎこちなく震えていた
だけど、どれも面白そうで、触れるたびにほんの少し目が緩む
しばらくして、小さく呟く
柊 朔弥
東條 絢斗
東條 絢斗
高峰理人
高峰理人
朔弥は思わず高峰の顔を見た
東條 絢斗
東條 絢斗
高峰理人
高峰理人
高峰理人
その言葉を聞いた朔弥は、再びテーブルの上に並んだ“贈り物”に視線を落とした