テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

鎖の中で咲いた花

一覧ページ

「鎖の中で咲いた花」のメインビジュアル

鎖の中で咲いた花

23 - 第23話

♥

15

2025年10月05日

シェアするシェアする
報告する

静かに朝食をとっていた朔弥が、ふと顔を上げる

いつの間にか、テーブルの端の空席に視線を落としていた

柊 朔弥

、、、

何度か、視線を送っている

それに気づいた東條が、パンを置いたタイミングでぽつりと口を開く

東條 絢斗

徹なら仕事場に行ったよ

朔弥が、ぱちりと瞬きをする

柊 朔弥

、、、!

まるで心の中を読まれたようで、ほんの少し驚いた表情を浮かべた

東條 絢斗

、、、顔に出てるんだよ

東條 絢斗

結構ね

にこやかに言う東條に、高峰がコーヒーをすすりながらぼやいた

高峰理人

つーか

高峰理人

あいつが気になるからって理由だったのに

高峰理人

まだ会話ひとつしてねーって何してんだか

東條 絢斗

まぁ焦ることじゃない

東條 絢斗

徹も徹であぁ見えて考えてるから

高峰理人

はは、そーだな

2人はそんな会話を交わしながら、テーブル越しに視線を交わす

一方で、朔弥はそのやり取りをぽかんとした顔で見ていた

2人の目が合って、何かを話している

――でも、何の話をしているのか、よく分からない

ただ、玖堂の名前が出たとき、胸の奥が少しだけ熱くなった

昼下がりゆったりと陽が差し込む部屋の中

朔弥は、ソファに腰かけ、静かに窓の外を眺めていた

東條がキッチンから顔を出しながら尋ねる

東條 絢斗

何か欲しいものってない?

突然の問いに、朔弥はきょとんとした

柊 朔弥

、、、?

隣の高峰もソファに座りながら言葉を補う

高峰理人

暇かなーと思ってさ

高峰理人

ほら、ずっと空眺めてるか俺ら見てるかしかしてないじゃん

朔弥は一瞬だけ視線を落とし、何かを考える素振りを見せた

が、すぐに首を横に振った

「欲しいもの」と言われても、思い浮かぶものがない

何が欲しいのか

――そもそも、欲しいという感情を抱いたことがあまりにも少なかった

高峰理人

、、、ま、そうだよな

東條 絢斗

、、、わかんないよね

東條は肩をすくめ、特に気にした様子もなくキッチンに戻った

その日はそれきり、何も起きなかった

翌朝

リビングに入ると、テーブルの上には見慣れない箱やカラフルな物がずらりと並べられていた

柊 朔弥

、、、?

高峰理人

暇つぶし!

高峰理人

なんか色々試してみてよ

東條 絢斗

気になるやつからどうぞ

朔弥は恐る恐る近づき、ひとつ手に取ってみる

高峰理人

、、、ゲームか

柊 朔弥

、、、(  ・᷄-・᷅ )

高峰理人

あはは、顔、顔!

笑いながらも横に並び、使い方をひとつずつ教える

ボタンの押し方、本の読み方、パズルの組み方

――初めてのものばかりで、朔弥の指先はぎこちなく震えていた

だけど、どれも面白そうで、触れるたびにほんの少し目が緩む

しばらくして、小さく呟く

柊 朔弥

、、、ありがと、ございます

東條 絢斗

、、、っ!

東條 絢斗

(喋ってくれた!)

高峰理人

礼なら徹に言えよ

高峰理人

俺らが買ったわけじゃねーから

朔弥は思わず高峰の顔を見た

東條 絢斗

ふふ、聞かれたんだよ

東條 絢斗

昨日、君が欲しいもの何かって

高峰理人

でも、なにもねーって話だったから

高峰理人

色々買ってきてさ、

高峰理人

、、、まぁあいつのやり方だな

その言葉を聞いた朔弥は、再びテーブルの上に並んだ“贈り物”に視線を落とした

鎖の中で咲いた花

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

15

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚