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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

例え相手がジョングクだろうとお金を取るつもりはないので、これならもう置くのはやめるべきか…という思考になる。

空のバスケットとがっかりするジョングクと。

テテ

ジョングガ〜!

周りも考えず大きな声で名前を呼びながら、店に入って来てしまったテヒョン

ホソク

テヒョンア、ちょっと声のボリューム。

名前も呼んだしわざわざ顔を指差して言ったのに、俺を一瞥しただけで返事は無し。 "あー"とか"うん"とか言えるでしょって。

心の中の愚痴はテヒョンには届かず、ジョングクの肘の辺りの服を引っ張ったテヒョン。

テテ

ナムジュニヒョンが戻って来いってよ、
もうお菓子貰ったでしょ?

グク

貰ってない、もうなかった、
全部持ってかれたんだって。

眉間に皺を刻んだ怪訝な顔のテヒョンが俺に目配せするから、空のバスケットをもう一回手にする事になった。

ホソク

20個くらいあったんだけど、一気に。

グク

はあ、

そうため息をついたジョングクは お腹が空いてるのか、余程焼き菓子の気分だったのだろう。

テテ

だからお金取りなってあれほど言ったじゃん。

テヒョンは何回目かのそれを口にしたけど、言われる予想は何となく出来ていたから肩を竦めて返事はしないでおいた。

ホソク

あ、そうだ。

手を叩いて2人を残して冷蔵庫に向かう。 思い出した、お菓子。

ホソク

これ、試作で作ったの忘れてた、
ジョングギにあげる。

マカロン。 こんなのもアリかなって少ない数作って余っていたのを忘れていた。 勿論まだ全然食べられる期限の物。

苺で作ったから赤い色のマカロンはジョングクのお洒落な落書きだらけの右手の上に乗った。

グク

普通のより特別感あるけど、
俺が貰っちゃっていいの?

ホソク

食べていいよ、
家で試しに作っただけだから(笑)

ジョングクの大袈裟な言葉に悪い気はしなかった。 むしろ余計にそんな風に言って喜んでくれるなら、どうぞどうぞという気持ちだ。

テテ

ホソギヒョン。

マカロンを見て'美味しそ'と目をキラキラさせるジョングクを横目にテヒョンが言った。

テテ

マカロン俺も食べたいからもっと作っといて。

お金を取れってまた言われると思ったのに外れた。 テヒョンの捨て台詞を残して大きい2人が店を出て行った。

そうこうしてるうちに俺のブレイクタイムが残り40分に。

夕方になって退勤時間が近づくとまた少し忙しくなるのだけれど、俺の店は18時には閉店だ。 朝7時から開ける分、夜は早く閉める、という事。

ホソク

ありがとうございました。

多分事務所のスタッフらしき三人組を見送って、時計を見ると18時を少し過ぎたところで今日の業務は終了。

帰る途中でキウイを見て、帰って落ち着いた頃にテヒョンに頼まれたマカロンでも作ろう。 冷蔵庫にまだ苺が残ってるのは記憶にある。

片付けに追われる俺の耳にドアが開く音がした。 サインプレートは確かにクローズにしたはずーーー

ジミン

もう片付けでしょ?

サングラスではなくマスクをしたジミンがやって来た。 頭はテヒョンが被ってたキャップで覆われていた。

ホソク

そうだけど、どうしたの?

キャップの鍔を少し上げたからジミンの目がよく見えた。

ジミン

ちょっと息抜きしたくて来ただけ、
片付けしながらでいいからちょっと話聞いて。

ジミンはこういう時がある。 悩んでる訳じゃないけど、何かフラストレーションがあるのだろう。 言わずもがなここには俺が休む為の椅子しかない訳で

ホソク

こっち来て座って話しなよ。

こうなる度に俺が作業する中に呼ぶのだ。 そうすると遠慮する事もなく、自然と中に入って来て隅っこにある椅子に座って

ジミン

今日さぁ、

と、広くないスペースでは持て余してしまう長い脚を組んで ぽつぽつと話し始める。 俺の役割はうんうんと頷きながら聞くだけ。

決して蔑ろにしてる訳じゃなくて、ジミンの話を聞くのが今の俺の役目だからだ。

大体時間にして30分くらいだろうか。 片付けが大方済んだところでジミンの話も終盤になって

テテ

あ〜、やっぱここにいた。

プレートの表示なんかお構いなしにお迎えがやって来た。 テヒョンとジョングク、2人して。

そうなるとジミンがいよいよ立ち上がって

ジミン

わざわざ来なくていいんだけど。

テヒョンとジョングクに言うんだけど、ジミンの帽子を取り上げたテヒョンとジョングクが

テテ

いや来るでしょ。

グク

ヒョン、マカロン美味しかった、
ありがと。

と、順々にバラバラな事を言うから、閉店したはずの狭い店の中が営業中と同じくらい騒がしい。 3人が店を出るのと同時に俺も店を出てガラス戸の鍵を閉めた。

こんなちょっと落ち着かなくて騒がしいのが俺の日常だ。

手頃なキウイがなくて結局買えないまま帰宅した。 だからとりあえず適当に夕食を済ませて、マカロン作りに勤しむとする。

テヒョンに頼まれたから、というのもあるけれどお菓子作り自体嫌いじゃないから全く苦ではないのだ。 小さなスピーカーを置いてBluetoothを接続して好きな音楽を聴きながら。

苺のクリームでマカロン自体はココアパウダーで色を付けたらどうかな、なんて考えるながらやるのも楽しい。

卵白を泡立てようとした矢先、メッセージの通知が鳴った。 しかも立て続けに2回。 カトクじゃない、メッセージの方。

一度手にしたハンドミキサーを置いて携帯を手にした。 お菓子作りが始まってしまえば返信は後手になってしまうと分かってるからだ 店の家賃の支払い日?なんてキッチンの隅の置き型のカレンダーに目を向けた

家賃の催促でも家賃支払い日でもなかった。 知らない番号、知らない人からのメッセージだった。

"話せますか"というのはどういう意味なのだろうか。 電話で?それともこのままメッセージでチャットを続けるという事? ていうか誰? 俺が知らないと思い込んでるだけで、知ってる人?

俺にメッセージを送って来るという事は俺の番号を知っているという事だ。 黄身を取り除いた状態で放置された卵白と携帯を交互に見るのは、自分が戸惑っているから。

とは言え、返信をしない限りは何一つ不明のままだ。

『はい、少しなら。』

戸惑いつつもそう返信した。

ホソク

えっ…?

メッセージは立て続けに送られて来て、4個目の吹き出しが一番熱烈だった。

拝啓、Nさんへ_

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