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友人の言う通り、 言ってみなければ分からない。
俺の気持ちをちゃんと伝えてこそ、 この事件は完全に終わることが出来ると思う。
奥出
拓斗
奥出
今になって緊張してきた。
奥出との電話も会話も、 もう何回も経験しているはずなのに、 本当の気持ちを伝えようとすると、 口がもごもごして上手く伝えられなくなるのだ。
翌日の放課後、 奥出は教室に現れた。
拓斗
奥出
拓斗
クラスメイトが、 あまり近づいてこなかったのは、 俺がそういう雰囲気を、 醸し出していたからかもしれない。
奥出
拓斗
奥出
確かに俺は友人といる時には、 また別の空気になっているから、 友人は何も思わず、 何も言わなかったのかもな。
拓斗
奥出
拓斗
俺が誰かの楽しみになれるなんて、 思ってもいなかった。
それがまさか生徒会長だなんてことも、 想像していなかった。
奥出
拓斗
奥出
こんな気持ちは初めてだ。
ずっと友人と一緒で、 恋愛なんて無関係だと思っていた。
拓斗
奥出
拓斗
せめて友人が隣にいてくれたらな、 少しは気が紛れるのに。
いい加減覚悟を決めないと。
奥出
拓斗
奥出
そりゃそう思うよな。
俺だって同じ立場ならそう言うだろう。
そうじゃないんだ、 ちゃんと説明させてくれ。
拓斗
奥出
拓斗
俺の願いなら何でも聞くって言っていたけど、 奥出が俺のことをどうでもいいと思っているなら、 この願いは叶わなくてもいい。
奥出
拓斗
奥出
奥出が珍しく揺らいでいる。
拓斗
奥出
拓斗
聞き間違いだろうか、 嬉しい言葉が聞こえた気がする。
奥出
拓斗
奥出
そんな強めの口調も嫌いじゃない。
奥出は確かに強気ではあるけど、 どこか弱い部分もあるんだ。
拓斗
奥出
拓斗
恋人が生徒会長だなんて、 ものすごい自慢になるだろう。
いやそうやって、 知らしめるのは良くないか。
奥出
拓斗
奥出
なんか経験者のように語っているが、 絶対にそんな経験ないだろ。
拓斗
奥出
拓斗
どうしよう、 奥出がものすごく乗り気だ。
奥出
拓斗
奥出
要求が一気に押し寄せてくる。
拓斗
奥出
拓斗
彼女の顔を見れない。
どうせにやにやしているに違いない。
拓斗が知らないところで、 友人は密かに見届けていた。
友人
校内には吹奏楽部の楽器の音色が、 外からは運動部の掛け声が響き渡っていた。
そんなものは気にせず、 友人は拓斗と生徒会長の会話だけに、 耳を澄ませていた。
友人
「きっと、大丈夫」
友人は聞き覚えのある声に反応して、 後ろを振り返ったが、 そこには当然誰もいなかった。
友人
初恋というのはどうしても思い出深いもので、 友人は割り切っていたつもりでも、 その心の中には悲しみが溜まり続けている。
友人
これ以上何かを失うことが怖い友人は、 拓斗の恋を邪魔することも、 一瞬ではあるが考えた。
拓斗が恋愛などしなければ、 ずっと二人で、 手を取り合っていくことが出来る。
友人
誰かの願いが叶った時、 それと同時に、 誰かの願いが叶わなくなることがある。
拓斗と友人の間に、 特別な関係性があったとしても、 それは独占していい理由にはならないのだ。
友人
友人は冗談交じりに言葉を吐いて、 教室から離れていった。
俺は誰かの気配を感じて、 教室の外を見た。
奥出
拓斗
奥出
自覚はしていたようだな。
でも、心当たりがないわけでもない、 いや、さすがにあいつでも、 そんなことしないか。
拓斗
奥出
拓斗
奥出、いや、 早紀は何時にも増して楽しそうだ。
それにしても、 事件のことについて、 まだまだ調べたいことがあるんだよな。
これに関しては、 早紀にも手伝ってもらおう。
友人の考察は合っていたのか、 答え合わせの時間だ。