思えば、私は馬鹿だった
お父さんが死んで、私はおかしくなった
彩絵先生
お父さん…お父さん…
彩絵先生
なんで…死んじゃったの…
彩絵先生
お父さんがいないと…私っ…
彩絵先生
誰にも愛されないじゃん…!!
そしてある日、1つの考えが彩絵の思考に浮かんだ
彩絵先生
そうだ、生き返らせればいいんだ…
彩絵先生
何もない私でも、努力さえすれば…
そして、彩絵は「再開の夢限回路」の話を聞いた
彩絵先生
私に出来ることは、絶対に…
彩絵先生
お父さんを取り戻してみせる…
そして彩絵は、夢の中に取り込まれた
そしてその翌年、幽霊となった彩絵の前に、知った顔の人物が現れた
それが、奏多だったのだ
???
彩絵先生、大丈夫よ
彩絵先生
…
???
もう、時間は残り少ない
???
奏多くんも、今頃「幽霊のヒント」、つまり、幽霊が彩絵先生だって勘づいてるはず
彩絵先生
…
???
だから、ね
???
お父さんはもう亡くなってしまった
???
でも、彩絵先生には今を生きる義務がある
彩絵先生
…?
彩絵先生
わ、私はもう…ここに閉じ込められて…
彩絵先生
現実世界に帰るとしても、奏多くんを犠牲にするしか…
???
え?
彩絵先生
え?
???
知らなかったの?
彩絵先生
?
???
確かに、逃亡者を捕まえると、入れ替わりで現実世界に戻れる
???
でも、「自分の気持ちに気づいて、逃亡者を抱き締めれば、2人とも出られる」よ?
彩絵先生
…!
???
でも、その代わり
彩絵先生
…?
???
あなたに関する記憶が、全ての人から消える
彩絵先生
え…
???
でも、安心していいと思うよ
彩絵先生
あん…しん…?
???
本当に奏多くんが彩絵先生のこと好きならさ
???
心の奥底で、彩絵先生のこと覚えてるんじゃない?
彩絵先生
…それ、確実に覚えてるわけじゃ…
???
ないよ?
???
でも、奏多くんは彩絵先生のこと、気づいてくれるはず
彩絵先生
…そう…ですか…?
???
もちろん♪
???
って、残り時間33秒だよ、急がないと
???
いって来なさい
彩絵先生
…ありがとうございました
彩絵先生
木ノ重先生
木ノ重先生
うん、頑張ってね
奏多
えっと…中身は…
同時刻、奏多は謎の手紙の中身を拝借しようとしていた
奏多
え〜っと?
奏多
「夢限回路の幽霊の秘密」…?
奏多
何か弱点でもあるのか?
奏多
奏多
「その1、幽霊に捕まった者は幽霊となる」…?
奏多
えっと…つまりは幽霊と入れ替わるってことか?
奏多
じゃあ、あの幽霊も元は人間なのか…
奏多
んで、次…
と、その2を読もうとした、瞬間だ
幽霊?
─────
奏多
げっ!
奏多
まずい、ここ行き止まりだった…
奏多
残り時間は…0:28か
奏多
教卓と机を上手く利用して幽霊をまけば…
幽霊?
──────
奏多
って、早い!!
奏多
早く…早く逃げないと…!!
と、奏多が足を踏み出した、その瞬間─
奏多
うぉっ!!
奏多
…いってて
奏多
まずい、ここで転んだら…
幽霊?
────
奏多
目の前に幽霊、僕は転んでる…
奏多
これも諦めるか…
奏多
次こそは…
そうして、幽霊が奏多に手を伸ばし─
彩絵先生
奏多
…え?
気づけばそこには、奏多が夢限回路に挑むきっかけとなった人物がいた
奏多
さ、彩絵先生!?
奏多
な、なんで…
彩絵先生
時間がないの
彩絵先生
ちょっと我慢してね
奏多
が、我慢って…
彩絵先生
奏多
…さ、彩絵先生!?
奏多
なんでいきなり抱きしめてるんですか!?
彩絵先生
ごめんね…ごめんね…
奏多
どど、どういうことですか!?
彩絵先生
それは、現実世界に戻ったら分かるよ
奏多
な、何言って…
ぐわんっ
奏多
うっ…
その瞬間、再び奏多の脳が揺れる
彩絵先生
奏多くん
意識が遠のく
奏多
うぅ…
彩絵先生
私のこと、好きだったの…?
朧気な意識のなか、その声だけははっきりと聞こえた
その質問に、奏多は…
奏多
はい…
奏多
先生が国語担当になっ…た……と…
バタン─
そしてついに、奏多の意識が無くなる
彩絵先生
…ありがとう
彩絵の言葉も、聞こえないままに─







