お父さんはカメラマンだ。
だから、スゴく大きなカメラを持っている。
運動会の時はそのカメラで僕らを撮ってくれる。
それがめちゃくちゃよく写っているんだ。
五年生の時だった。
運動会が終わったあと、皆に配るようにとお父さんが写真をくれた。
誰か
教室で写真を見ているとき、誰かが大声をあげた。
友達の写っている写真の隅っこに、半透明の顔がうかんでいた。
ぼやけていて、誰なのか分からない小さな顔がこちらをむいている。
同じような写真は、他にもいっぱいあった。
顔だけではなく、腰から上がはいっていることもあった。
右手に何かを持っているみたいだった。
そいつは、写真の中の友達を睨みつけていた。
教室で大騒ぎになって、先生がやって来た。
先生の顔が青くなった。
先生
没収されてしまった。
家に帰ってお父さんに相談した。
お父さんは言った。
お父さん
お父さん
お父さん
お父さんがバッグからカメラを取り出した。
でも、ゴミはついていなかった。
僕も覗きこんだ。
レンズのむこう側から、小さな白い顔がのぞいていた。
僕
ビックリしてお父さんに飛びついた。
お父さん
お父さんには見えないようだった。
翌週から、クラスメートが事故にあったり、死んだりした。
それは、あの写真で〈睨まれていた〉人ばかりだった。
また、お父さんに相談したけど、笑うだけだった。
そして、仕事に出かけていった。
今日は殺人現場の撮影だといって。
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