ジャラリ…
悠佑
手錠が金属音を立てて揺れている
悠佑
キッと数十人いる奴らを睨んだ
組織の人間
組織の人間
男がニヤリと笑う。
悠佑
嘲笑うような笑みを浮かべ 男たちを煽る
組織の人間
組織の人間
組織の人間
生贄なんだから
悠佑
その言葉に違和感を覚えるでもなく ただそれを受け入れる
組織の人間
悠佑
髪を引っ張りあげられる 慣れてはいるが痛いものは痛い
組織の人間
組織の人間
悠佑
パッと手を離す 相当に俺が大切らしい
悠佑
絞り出した言葉はソレだった
組織の人間
組織の人間
組織の人間
組織の人間
組織の人間が好き勝手に会話する
組織の人間
組織の人間
鋭い目つきをした人間が、 こちらを見てそう言った。
悠佑
悠佑
どうせ、お前らには無理な話や
組織の人間
悠佑
悠佑
アイツら、余計なことせんよな……
そんな不安を掲げながら 俺は一夜をここで過ごした。
組織の人間
悠佑
どうやらもう、朝らしい
組織の人間
悠佑
儀式の間のことか。
悠佑
終わりは着々と近づいてきていた
霧がかかった洞窟を進んでいく
悠佑
今は夏だが、洞窟は冬のように 寒かった
組織の人間
悠佑
生贄ではあるし、神子でもあるけど 人間なのだ。寒いもんは寒い。
組織の人間
悠佑
手錠を引いている組織の人間が 舌打ちをして、小声でなんか言ってた
悠佑
あの海が 暑さが ……ないこたちが
悠佑
恋しい。
目を瞑り、彼らを想う。
悠佑
生まれ変わったら、
悠佑
アイツらの兄弟になりたいな
そんなありもしない妄想をして ただただ歩いた。
洞窟を抜けると、そこには 一本の大きな木が立っていた
組織の人間
聖地、カルマ…!!
誰かがそう呟いた。
悠佑
組織の人間
組織の人間
悠佑
挑発するような口調で声をかける
組織の人間
脅しだ。明らかな。
ガシャン!!
金属の錠が外れ、床に落ちた。
悠佑
手をかざす
組織の人間
悠佑
悠佑
悠佑
にっこりと、笑いかける。
組織の人間
焦っているのは果たしてどちらか。
悠佑
口元は笑っているが、 他の何もかもが笑っていない
悠佑
組織の人間
組織の人間
ああ、やっぱりお前らは俺を
悠佑
冷めきった表情を浮かべて、
組織の人間
バンッバンッ!!
響くは銃音。
悠佑
組織の人間
バタッ
鈍い音が鳴るのは人が倒れた時。
悠佑
手の中に埋め込んだ毒針を見つめて そう言い放った
組織の人間
組織の人間
組織の人間
ドンドン、バンバン、少しだけ違う 銃の音に耳を傾けて
悠佑
冷淡に殺していく
組織の人間
組織の人間
組織の人間
各々、恐怖の感情を表しながら それでもなお、攻撃をやめない
バンバンッ!!ドンッ!ドンッ!
悠佑
静かに殺して
静かとは言えない形で 死んでいく
悠佑
そう呟いたのは殺した本人だった
悠佑
60人ほどいた組織の奴らは もう10人と満たない程度に なっていた
組織の人間
組織の人間
組織の人間
組織の人間
何かしらの言葉を発してはいるが 戦意喪失の言葉がほとんどだ
悠佑
そう問いかける
組織の人間
無言で返された。
皆、死にたくなどないのだ ただ組織に逆らえば何があるか……
悠佑
悠佑
悠佑
殺す
組織の人間
組織の人間
組織の人間
組織の人間
逃げていく逃げていく。 死にたくがないために。 皆、逃げていく
悠佑
全員逃げ出した。
そう思った瞬間
ドンッ!
悠佑
腹に鈍い痛みが走る
組織の人間
組織の人間
1人の男が自信満々に銃を掲げた
組織の人間
ヒュン
悠佑
もう、ここまで、か
悠佑
会いたかったなぁ。
ないこ
ぼやけた視界にピンク髪の彼が映る
悠佑
ついに幻覚まで見え始めたか…
いふ
ほとせ
初兎
りうら
悠佑
幻覚でも、お前らは優しいな
口元に笑みが浮かんだ
いふ
悠佑
もうだんだん眠くなってきていたのに
少しだけなら動ける
そんな気がした
悠佑
ないこ
りうら
悠佑
りうら
初兎
いふ
ほとけ以外は神妙な面持ちで、 声をかける
ほとせ
ほとけはもう既に涙でぐちゃぐちゃだ
悠佑
精一杯の声を絞り出す
ないこ
悠佑
生贄として。 神子として。
ないこ
そんな"諦め"は許されない。
重たい腰を持ち上げ、立ち上がる。
ほとせ
ほとせ
悠佑
息ができなくとも、 動きがにぶくとも、
やらなくてはいけないことがある
いふ
いふは悠佑に手を差し出した。
悠佑
いふ
いふ
悠佑
世界を、地球を、救うんやからな
いふ
悠佑
微笑んで、そう答えられたら、 もう何も言えない。
ないこ
ないこ
しゃがんで背中を見せるないこに 各々が反応する
悠佑
いふ
初兎
りうら
ほとせ
ないこ
元気良く挙手をするほとけが、 ないこの目を見て言う
ほとせ
ほとせ
ないこ
感極まって泣きそうになっている
りうら
初兎
ないこ
ほとけに続いたのはりうら、初兎だ
いふ
ないこ
笑っていふが言いのけた
いふ
ないこの耳元でそう呟いた
ないこ
挑戦的な笑みを浮かべていた
ないこ
悠佑
木に触れる寸前までアニキを 運んだ
ないこ
悠佑
弱々しく笑う彼にあとどれだけ 時間が残されているのだろうか
悠佑
ないこ
アニキが言う通りに皆下がる
悠佑
悠佑が、息を吹きかける
すると…
ないこ
パリンッ、パリンッ!!
周りが、空気が割れていく
りうら
りうらは初兎に向かって手を出した
初兎
その手を初兎は掴み、次は ほとけに手を出す
ほとせ
いふ
ないこ
ほとけもいふもないこも同様に 手を繋いだ。
悠佑
アニキは微笑み、そう言った
悠佑
ないこ
悠佑
トンッ…
背中を押されたと同時に、 木の周辺以外の地面が崩壊した
ないこ
姿が見えるのに、 手を伸ばしても届かない
ないこ
口パクでアニキが何か言っている
悠佑
会えてよかった。
ないこ
その時の泣きそうなほどに 優しい悠佑の顔を 俺は一生忘れられない。
コメント
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、、、すきだぁあ