テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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魔法使いは何を唱う？

第21話 - 仲間だから

150

2023年03月10日

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#nmmn

かえで🍁✒️

涙を流しながら、一緒がいいと答えてくれた天月君

その瞳は、どちらも黒に戻っていた

それを見て、いつかそらるさんが僕にしてくれたように、そっと抱きしめてあげる

翔太

2人とも、今まで騙しててごめんなさいっ……！

真冬

ふふ、全然いいよ、そんなこと

翔太

でも僕、まふ君に酷いことした……！

真冬

そうかな？　昔の僕は、それに助けられたんだよ？

腕の中で泣きじゃくる天ちゃんの背中を、優しくさすってあげる

しばらくそうしていると、泣き止んで、立ち上がりながら僕から離れた天ちゃん

服の袖でごしごしと涙を拭いた後、赤くなった目で真っ直ぐこちらを見つめられる

翔太

まふ君、そらるさん。2人とも、本当にごめんなさい。

翔太

でも、助けに来てくれてありがとう

そう言って、いつもの笑顔を見せてくれた

それから、自身についてのことを話してくれる

翔太

僕が完全に闇使いじゃないのは、堕とされたんじゃなくて、昔のトップが僕の中にいるからなんだ

翔太

昔僕が戦ったのは、闇使いじゃなくて、魔力そのものみたいな存在だったから

闇のトップなのに、魔法界に来れていたり、他の闇使い達が侵入できたのは、天ちゃんに使いとしての意識が残っていたからってことなのかな

翔太

僕がそいつと戦った時、実は、浄化技を喰らわせてないのに相手に勝ったんだ。

翔太

その時は倒したと思ったけど……やっぱり、ダメだったみたいで。

翔太

それから、力をまた蓄える為なのか、この耳飾りが狙いだったのか……そいつは僕に憑いたんだ

それで、使いである本来の天ちゃんと、自分に憑いた闇に乗っ取られた、闇使いとしての天ちゃんがいたってこと？

翔太

たださっきも言った通り、2人が僕を浄化しようとしても、僕が死ぬか……最悪の場合、“僕”を盾にされて、闇が残るかだけ。

翔太

その場合、残った闇は2人に憑こうとすると思う。

翔太

闇の魔力は、闇使い全員と僕とで繋がってる。それで、そらるさんが言った通り、今の僕みたいに不老不死に……

真冬

じゃあ、どうしたら……？

浄化ができないなら、もう手詰まりな気が……

翔太

……僕が浄化してみる

真冬

え……自分で？

翔太

うん

正面から、真っ直ぐ視線をぶつけられる

彼方

自分で自分を浄化って、聞いたことねーよ……

翔太

でも、僕なら“自分”を刺すことはないし、中の闇だけを切り離せると思うんです

真冬

それって、自分を刺すってことだよね。……その、怖くないの？

翔太

大丈夫だよ。固有武器は、持ち主を傷つけることは絶対にしないし

あ、そうなんだ。自分を傷つけることは……

……って、え？？

真冬

そ、そうなの？

翔太

え？　うん。知らなかった？

固有武器にそんな特性があるなんて、そらるさんからもノアさんからも、聞いたことがない

彼方

あ〜……そんなのあった、っけ……？

真冬

ちょっ、なんで教えてくれなかったんですか！？

苦笑いをして目線を逸らしたそらるさんに、叫ぶように訴える

いつも戦う時、自分に桃雪華が当たらないように気遣ってたけど、それって全く意味なかったの！？

それを知ってたら、もっと自由に動いて戦えたはずなのに……！！

僕がそらるさんに追いつけない原因って、まさかこれなんじゃ……！

彼方

俺が使いになりたての頃、アデルさんにサラッと言われただけの話だったような……。

彼方

ごめん、完全に言うの忘れてた……

真冬

忘れっ……！？

これ以上言葉が出なくて、絶句する

それから、多分今までで一番大きいであろうため息をついた

多分ノアさんの方も、そらるさんが伝えてると思ったのか、もしくは完全に忘れてたんだろうな……

彼方

っと、とにかく、やるなら早くやるぞ。魔法界だって落ち着いたわけじゃないんだし

な〜んか、誤魔化された気がするけど……

翔太

……ぷっ、あっはは！　たしかに、そらるさんの言う通りだ

突然吹き出した天ちゃんが、笑いながらそう言った

彼方

だろ？

と、自信満々そうに返すそらるさん

真冬

だろ？　じゃないですよ、全く……。

真冬

天ちゃん、気をつけてね？

翔太

うん、ありがと！

さっきまで、表情に少し不安の色が見えていた天ちゃん

だけどいつの間にか、その色はどこかに消えていた

翔太

あっ、それと、もしこの方法で成功したら、切り離した魔力……昔の闇のトップが出てくると思う。

翔太

浄化するから力は昔ほどじゃないだろうけど、僕自身も多少ダメージを受けるかもしれないから……。

翔太

そうなったら、僕が動けるようになるまで2人で耐えてほしい。でも、絶対無理はしないで

真剣な顔に戻った天ちゃんに、そう頼まれる

真冬

分かった

彼方

了解

僕らはこれから、過去に天ちゃんが戦った、本当の闇のトップと戦うことになる

浄化後も天ちゃんが無事ならいいけど、もし僕とそらるさんだけで戦うことになったら、相手と渡り合えるのか分からない

強さも未知数だし、僕らだけで敵うのか、正直不安なところではある

でもこっちには、現世使い最強のそらるさんも、史上最強って言われてた天ちゃんだっている

きっと、大丈夫だ

翔太

じゃあ、行くよ

そらるさんと一緒に、こくりと頷く

翔太

……“光月夜”

天ちゃんが左手を前に翳してそう唱えると、黄色の光が集まり出して、剣を形造っていく

そうして顕現したものを、天ちゃんがしっかりと握った

翔太

……久しぶり、だね

少し微笑みながら一言呟いて…… 光月夜を、自分に向けて構えた

翔太

っ……

翔太

──“浄光・命月詠”！

〜翔太 side〜

いつかぶりの浄化技を唱えて、光月夜を自分の腹部に刺す

翔太

っ……

少し怖かったけど、大丈夫。痛みはない

真冬

天ちゃん、大丈夫？

翔太

うん、全然大丈──……っ……？

不意に、視界がぐらりと揺れる

翔太

っ……ぁ、れ……？

彼方

天月？

急に全身の力が抜けて、身体が傾いたと思ったら、ドサリと何かの衝撃が走った

翔太

（もしかして僕、地面に倒れた……？）

真冬

えっ、天ちゃん！？

彼方

おい、どうした！？

翔太

わ、かんない……けど……。

翔太

……ちから、はいん、な…………

翔太

…………

意識も段々と遠のいて、視界が暗くなってくる

翔太

（……あれ……？　この、感覚……）

力の入らない身体真っ暗な視界雑音みたいな周囲の音

そして、“何か”が足りない、この感覚

翔太

（僕は……この“感覚”を、知ってる……？）

〜真冬 side〜

真冬

あ、天ちゃん……！？

翔太

…………

突然地面に倒れて、目を閉じてしまった天ちゃん

倒れる直前、赤くなっていた両眼が、まるで蝋燭の火を吹き消したように、フッと光を失って黒くなるのが見えた

真冬

天ちゃん……？

ゆさゆさと体を揺すってみても、起きる気配は全くない

彼方

自分もダメージを受けるかもって言ってたから、これがそうなんだろ。

彼方

……っていうか、よく見ろ

真冬

え……？

よく見ろって……？

翔太

……すぅ……すぅ……

落ち着いて耳を澄ませると、微かに寝息が聞こえてきた

真冬

え……寝てるだけ？

苦しそうにしてないし…… 本当に、寝てるだけみたいだ

彼方

とりあえず、そこのベンチに……。

彼方

──っ！？

真冬

な、何っ……！？

突然、ここに来た時に感じた魔力より、明らかに強大なものを感じ取る

???

カ、エセ……

真冬

っ！？

???

──カエセ！！

彼方

避けろっ！！

僕らの背後から声が聞こえたと思ったら、死角にいる“何か”が攻撃を仕掛けてきた

間一髪、それぞれ別の方向に分かれて避けられたけど……

真冬

そらるさん、もしかしてこいつって……！

彼方

っだろうな……

僕らの目線の先にいるのは、真っ黒い “何か”が人型をしたものだった

闇生物とは違う……これが、天ちゃんの言ってた闇の魔力……？

真冬

……え……？

ゆらゆらと揺れながら、 “何か”が姿を変えていく

彼方

嘘だろ……！？

それは、段々と形造られて……

……天月君と、瓜二つの姿になった

かえで

かえでです

かえで

さぁ、物語もとうとう佳境に入ってきました…！

かえで

ここで、新しく出た天ちゃんの武器と浄化技の読み方説明をします！

かえで

読み方はこちらです↓

光月夜 →こうげつや “浄光・命月詠” →じょうこう・めいげつか

かえで

……と、こんな風に読みます！

かえで

浄化技の方の字は、普通“詠”を“か”とは読まないんですよね

かえで

だから、説明ありきじゃないと読めないっていう…w

かえで

そしてこだわりポイントでもあるっていう…←聞いてない

かえで

みんなの武器名とか浄化技の名前は結構こだわったりしてるので、また裏話として話せたらなと思いますw

かえで

さて、物語終盤、最後の敵は本当の闇のトップです…！

かえで

果たして2人の力は敵うのか…！

かえで