夕焼けに殺される

フェンスに体を付け、地面を確認すると……

…………

…………

強烈な吐き気がノドを焼いた。

咳き込むと少し散った。

肺が痛かった。

私は何も言わずに、彼女を抱き締めた。

彼女はそれに何も聞かず、

普段通りの眩しさで、私を抱き締めた。

あたたかい。

この手の熱は、死んだ人間のものではない。

一緒にいるよ

目を覚ました。

夢を見ていたのだ。

カチャ

あの後、先生の後ろを付いて、もう一度秘密通路を抜けた。

1回目の際の記憶は無いけども、その時のものはある。

【輪廻】とは高い知力と生物的な欠陥を持った、不死の生物。

忌々しいモノかと思っていたが、思っていたよりも大人しいようで、

こちらから何かしなければ、特に反応はないらしい。

何事も無く、教室に戻る事ができた。

わたしが来た時には、教室に全員が揃っていて、

時計の針も9時を指していた。

1限目を全員で迎えることができた。

そんな当たり前のはずの事が、

なんとも嬉しかった。

どうやら、何かの夢を見たのは、2人も同じようだった。

そして、目が覚めた時には、もう一つの意味でもそう感じたというか……

マトモな感覚を取り戻せた。

今思えば、何故あそこまで彼を憎く思えたのか、不思議でならない。

ただ、何かを受け入れられない自分への怒りが、

矛先を誤ってしまっただけだったのかもしれない。

ただ、まあ……

トキ君が許してくれたんだから、良しとしよう。

ゴゴゴゴゴゴ