夕焼けに殺される

違和感。

夕焼けに殺される……？

この言葉は一体？

わたしは、これをどこで？

突然、腰の力が抜けた。

全身が痙攣でもしたかのように、鈍くなり、同時に強く震えている。

彼女の手を握り、なんとか立てた。

が、その後すぐに崩れ、結果として寄り掛かるかたちになってしまった。

さよの視線の先に目をやる。

朦朧とした視界でも、そこにいた存在を捉えることはできた。

銀髪に、翠の瞳。

その手には少し難しそうな本がある。

そう言うと、ともりは右手を顎に添え、目を瞑った。

……なんだろう、この感覚。

何かが引っかかる。

今のトキ君の話してくれた事、

これまでの何かと繋がっている。

夕焼けに殺される……？

この言葉は一体？

わたしはこれをどこで？

不死蚯蚓、快楽蜥蜴、嘔吐蛙、分離蛸。

足吊り烏、結合熊。

手首蝶、消失鰻、孤独蛸。

射精蛇、結核虎、痙攣狸、窒息猿、孤独蛸。

食用猫、妊娠豚、妊娠鰐、妊娠蟻、孤独蛸。

正義駱駝、孤独蛸。

苦痛雉、アバラ獅子、圧縮鯨、絶望犬、孤独蛸。

安楽蛸。

落下兎、

ぎぃぃぃ

ぎぃぃ

ぎぃ

吉森さよの眼の前で、

それは「ぎぃぃ」、「ぎぃ」と揺れていた。

右に、左に。

その影が、掛かったり、並んだり。

椅子が1つ、倒れている。

東雲ザンセイが首を吊っていた。

床にはカッターも落ちていて、刃の出されたままでいる。

先に、赤が滴っているそれを持ち、

吉森さよは震える手でロープを切ろうとする。

だが、力が。身体に力が入らず、机に登る事すらできない。

結局、机に体当たりをして倒れてしまった。

倒れ、うつ伏せになる。カッターが耳を突き刺した。

悲鳴をあげ、うずくまろうとすると、

床に押され、さらに深く突き刺さった。

途端に、すべてに諦めがついた。

意識が急に掠れる。

彼の腕には、そのように見える傷がついていた。