僕らに構うな！

バタン

『でも中学は勉強簡単やったしな』

りうらには兄がいた

その兄は勉強が出来て、運動もできる

いわゆる"完璧人間"だった

いつも学年一位で、親に毎日褒められていた

兄はいわゆる天才

父親は仕事上、出張が多く基本いつも家にいなかった

たとえ帰ってきても、りうらには構ってくれない

いつもりうらと兄は比べられていた

何でも出来る兄と何も出来ない弟

それが当時のりうらだった

一度でもいい、母から

認められたかった

俺も家族の1員でいてもいいんだって

思いたかった

ドン！

中学2年生の時、帰り道に不良に絡まれた

そんな時、会ったんだ

中学2年生の時に出会った、稲荷ほとけと有栖初兎

俺にとって、初めての友達だった

2人は不良で、りうらとは違った

違ったけど、その違いがりうらは

羨ましかった

自由で

楽しそうで

本当に

時は流れて、中学3年 俺は受験生となりテストの点が大事になった

中学2年の時、有栖初兎は大好きな先輩から裏切られたらしく、すごく落ち込んでいた

その落ち込んでいる姿を見て、りうらは

こうして、自分の想いを押し殺した

家族に認められたかった

だから寝る間も惜しんで

勉強した

たくさん、たくさん

たくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさん

当時俺は気づいていなかった

自分の身体が限界なことに

返されたテストを見ると、そこには

"0点"と書かれていたテストがあった

テストの解答を見たら、全部丸だった

俺の頭の中は「？」でいっぱいだった

俺はまさかと思い、テストの上を見た

そしたら

それは"名無し"のテストだった

初歩的なミス

俺は名前を書けなかった

長期にわたる、睡眠不足のせいで気づけなかった

母にそう言った瞬間、部屋に痛々しい音が鳴った

ﾊﾞﾁﾝ!

"何も"出来ないのね！

テストに名前を書き忘れた

それだけで

俺の人生は変わった

ドン！

バキッ、ボコｯ、！

俺は中学3年で人をを殴った

もうわからなくなっていた

俺はもう

生きていて、いいのだろうかｯ

ﾊﾞﾁﾝ!

どうやら、この人の耳に入ったらしい

俺が人を殴った件について

産まなきゃよかった！

産んでほしい、なんて

誰が言っただろうか

アンタらが勝手に期待しただけ

…寂しい

りうらは、認められたかった

りうらも家族なんだって、自慢の子なんだって

寂しかった、けど

「私の子なんかじゃないｯ」

そう言われて、りうらは

心が軽くなった気がした

りうらは、お母さんが嫌いだったのだろうか

本当は認められたいなんて、思っていなかったのだろうか

怖かった、俺の頑張ってきた苦労が無駄かもしれないと

崩れてしまうんじゃないかと、怖かった

頑張っても、成果は出ない

頑張っても、努力は裏切る

頑張っても、褒めてもらえない

Prrrr…Prrrr…