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「ミルキーラブ❤︎ドール」→「おかえりI」の順で閲覧するのをおすすめします
また、非道徳的表現が記載されていますのでご注意を
山下さんが怖い
得体の知れない恐怖が正体を表した
あの人は頭がおかしい
未だに治りきっていないお腹の傷は痛みを主張する
ボールペンと言えど5㎜の深さで皮膚を突き破られたんだ
血も酷ければ傷も生々しい
それに、包丁みたいに鋭利じゃなくて変に先が丸まっているもので力任せに刺したまま引き裂かれる方が痛い
やっぱりあの時、振り切ってでも交番に逃げるべきだった
もうチャンスはないだろう
家にはあの人が居るから居心地が悪い
だから学校だけでも一息つきたかった
それなのに、
ガラッ
「ヒソヒソ…、」
クラスメイト
クラスメイト
クラスメイト
クラスメイト
クラスメイト
クラスメイト
クラスメイト
クラスメイト
クラスメイト
クラスメイト
クラスメイト
クラスメイト
クラスメイト
クラスメイト
クラスメイト
クラスメイト
クラスメイト
クラスメイト
クラスメイト
「はーい!」
いつもこうだ
転校から数日間に亘って俺の傷が増えていく
流石にクラスメイト達も俺の身体を見て不審を抱いていた
里親が誰までかは分からなくても、俺が孤児なのに勘づいている
だからこうして毎日探りを入れにくる
負の感情がお腹の奥深くで渦を巻く
諦めたはずの願いが吐き出てくる
考えないようにしていてもやっぱり無理だ
俺の居場所はココじゃない
もう時刻は6時を回っている
いつも3時には帰ってる
門限は決められてないけど、こんなに遅くまで外にいたのは初めてだ
辺りはもう真っ暗で、子供の声一つ聞こえない
山下さんはもう帰って来てるだろう
心配してるかな
俺のこと探してんのかな
山下さんは別に俺を愛してるわけじゃないと思う
別にあの人に期待はしてないし
それに、態々こんな遅くまで公園で粘っていたのには訳がある
"山下さんが俺を捨てる"
その可能性に賭けてリスクを冒したんだ
また施設送りになれば俺が苦しむ理由は無い
凄い我儘で自分勝手なのは分かってる
それでもやっぱりあの家は嫌だ
今、帰るよ
ガチャ…、
トン、トン、トン、トン、
カタ…、
パサッ、
グツグツグツ…
台所から音が聞こえる
きっと一般家庭からしたら日常的に聞く夕飯時の合図なんだろう
山下
山下
夕飯の支度をしながら山下さんがいつもと同じ声色で俺の帰りを迎える
声は変わらない。でも何かがいつもと違う
俺にあるのは少しの期待と膨大な恐怖
緊張をほぐし、覚悟を決める
山下
山下さんは聞いているのか聞いてないのかわからないが、構わず支度を続けている
ここまで来たんだ、俺も話すのを辞めない
山下
相変わらず山下さんの手は止まらない
ちゃんと俺の話を聞いてくれてるのだろうか
山下
山下
山下
山下
山下
山下
山下
山下
山下
山下
山下
山下
山下
山下
山下
山下さんの発言が気になるが、今はそこじゃ無い
このまま有耶無耶で終わるわけにはいかない
何か山下さんを動揺させるようなことを言わないと
山下さんが、動揺すること…、
「廣岡大志」
あ、
そうだ、山下さんは一度も俺を本名で呼んだことがない
いつも「廣岡大志」と言う名前で呼ばれてる
この「廣岡大志」が何なのか分からないけど、山下さんはこの名前に執着してる
これを使おう
山下
バシャァン…ッッ!!
顔の右半分に痛みが走る
顔だけじゃない
体のあきこちに痛みが迸る
このどうしようもないこべり付くような痛みは
火傷の痛みだ
ガシッ!!
バシャンッ!!
キュ、ッ
バザァ…、
山下
山下
山下さんだ
山下さんが俺に熱湯をかけたんだ
コンロで沸騰した鍋の水を俺に掛けた
何で自分でやったのに優しくするんだ
何で平然と俺の身を心配するんだ
自分でやったくせに
俺は服を着たまま風呂に溜められた水に浸かり、山下さんにシャワーの冷水をかけられている
山下
やっぱり山下さんは怖い
ストッ…、
山下さんにお姫様抱っこをされ、優しくベッドに寝かされる
カタ、
キュ…、
パカ…ッ、
山下
スリ、
シュル…、ギュゥ、
山下
包帯で真っ赤な肌が隠されていく
山下
ガシィッ!!
山下
山下
山下
山下
山下
山下
山下
山下さんが俺に添い寝し、頭を撫でてくる
帰してよ
コメント
1件
まってすきだ。 こういうのほんとすき 山下さんちょとDV気質()