テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
夕焼けに照らされた歩道を、ひとりでトコトコ歩く。 さっきまでの会話が、まるで夢みたいで―― 胸の中に、ぽわっとあったかい余韻が残ってる。
〇〇
そんなことを呟きながら、 角を曲がって、いつもの道を歩く。
――そして見えてきたのは、私の家。 玄関のドアの前で、ポストに入ったチラシをちょっとよけて、 鍵を出す。
カチャッ。
〇〇
リビングからは、ママの「おかえり〜」って声と、 愛犬のシロの元気な足音が聞こえてきた。
そして私は家に入る。
〇〇
湯船にじんわり浸かって、肩まで温もりが包み込む。 ぽこぽこと泡の音だけが、静かな浴室に響いてる。
〇〇
閉じたまぶたの裏に浮かぶのは―― 昼間のあの教室で見た、凪くんのちょっと眠そうな顔。 「……んー、よろしく。」 眠たげな声。 でも、ちゃんと返してくれたのが嬉しかった。
そしてその隣には、玲王くんの明るい笑顔。 「LINE交換しようぜ!」ってノリで言い出したくせに、 どこか優しくて、場の空気をすごく和ませてくれた。
そんな2人と……今日初めて、ちゃんと話せたんだ。
〇〇
顔が自然とゆるんじゃって、湯の中で自分にツッコミ。 でも止まらない。
スマホに届いたあの通知が、何度も頭の中で再生される。
〇〇
ぽつりと呟いて、湯に浮かぶ手を見つめる。 なんだろう、まだドキドキしてる。 でもそれは、不安じゃなくて――期待のドキドキ。
〇〇
自分の胸にそっと問いかけた瞬間、 スマホの通知音が浴室の外から響いた。
一瞬で心臓が跳ねた。
〇〇
びしょびしょの手でスマホ取りに行きそうになるのを、 必死でこらえる。
〇〇
だけど、 お風呂あがりが待ちきれないなんて、初めてかも。
髪をタオルでぐるぐる巻いて、 スキンケアを適当に終わらせて―― もう、どうでもいい。今はそれどころじゃない
〇〇
スマホを手に取る。 画面には、たった一つのLINE通知が光ってた。
〇〇
思わず声が漏れる。 その一言だけで、心臓がバクバクする。
しかも、ほんの数秒後ーー
〇〇
湯気で温まった顔が、さらに真っ赤になる。 これは反則。あんな淡々としてたのに、急に可愛すぎる。
〇〇
〇〇
返信しなきゃと思いながら、 手が震えてうまく打てない。
〇〇
御影玲王
〇〇
〇〇
〇〇
なぎ
〇〇
震えながらも、なんとか返信。 でも送信ボタンを押した瞬間――
〇〇
スマホを布団に放り投げて、 私はそのままベッドに顔をうずめた。
ふぅ…って息をついた瞬間。 ピコンッ、ピコンッ――って、スマホがまた光った。
〇〇
なんて思ってたら、また通知。
そして、すぐに招待が届いて、グループ名はーー
隣の3人ーー
ゆるいけど、ほっこりする名前。 すぐさま玲王がスタンプ連投してくる。
御影玲王
なぎ
なぎ
御影玲王
〇〇
そのままグルチャはわちゃわちゃモードに。 すると玲王から――
御影玲王
〇〇
でも、もう2人は入ってた。
なぎ
〇〇
御影玲王
〇〇
凪誠士郎
〇〇
御影玲王
〇〇
凪誠士郎
〇〇
御影玲王
〇〇
御影玲王
凪誠士郎
〇〇
御影玲王
〇〇
でも、うれしい。ほんの少し、泣きそうなくらいに。 3人で話して、笑って、 夜がふわっとやさしく感じた。
明日も、会える。 そしてきっとまた、新しい何かが始まる。