Luminous

週末の午後

仕事の疲れを癒すために

私ははづきと会うことにした

はづきはいつも通りテンションが高い

はづきが連れて来てくれたのは

ガラス張りの

オシャレなカフェだった

はづきはニヤニヤしながら

コーヒーを飲む

正確には

1度している

一個上の先輩を私は好きになり

色んなとこに出掛けたけど

その何ヶ月か後に

先輩には彼女がいたことが判明した

それから恋愛には懲り懲りって感じ

嫌悪感があるというか

必要が無いって感じ

不意にこの前の言葉を思い出す

「俺本気だから」

私はコーヒーを飲む時

外に視線をやった

あれ…

外を見るとそこには

見覚えのある姿があった

及川さんだ…

そのまま彼を見てると

後ろから細身の女の人が腕を組んだ

それに対して及川さんは

…笑ってる

その距離感は友達以上の何かを感じた

仕事以外で見かけるの

何気に初めてかも

私は慌てて視線を外した

私は家に帰ってからも

あの光景が目に焼き付いていた

なんでモヤモヤするの

彼は遊び人なんだから

あれぐらい普通でしょ？

仕事中にたまに真面目な顔を見せる事がある

休日はああやって違う顔をしている

それだけのことなのに

私は気がついたら手に

スマホを持っていた

何やってんだろ私

及川さんに何かメッセージを

送る理由もない

そう思い

スマホをベットに投げつけた

休み明け

私は会議室で資料を整理していた

あとここかな

足りないのは

今1番会いたくない人だけど

仕事だからそんなこと言ってられない

そうかそうかと頷いて

また私の隣に座ってくる

距離が近い…

意識したくないのに

視界の端に彼の横顔が映る

そう言って彼は私の顔を覗き込む

もしかして

私が見てたこと気がついてるの？

そう言いながら

彼はスマホを取り出して何かを見始めた

焦った…

こうやって

優しくされればされるほど

どっちが本物の彼か分からなくなる

昼休み

私がパソコンをいじってると

横のデスクの先輩が話しかけてきた

珍しい…

先輩は誠実で優しいタイプ

今まで何度か誘われたことはあったが

こんな風に誘われたことは無かった

先輩は先日同様

サラッと言ってくるけど

その視線はどこか…真っ直ぐで

もしかして私

アピールされてる？

不意に及川さんの

「おはよ」の声を思い出す

比べる意味なんてないのに

私は夕方の仕事を終え

オフィスを出ようとしたその時

私はその言葉に

足を止めた

そういう雰囲気？

なにそれ…

私は期待する度

胸が痛いのに

意味がわからない

私が理由を聞こうとしたら

及川さんの通知がなった

画面を見ると

少し表情を変えて

そう言ってあっさりと去っていった

私は何かを聞きたかった

でも聞けなかった

私は次の日の仕事終わり

先輩と飲みに行くことにした

正直

否定はできない

現に今ドキドキしてる自分がいるから

きっと私は上手く返せなかったと思う

でも先輩はそれ以上追求することも無く

楽しく会話をしてくれた

私は先輩と別れ

少し歩いていると

繁華街に差し掛かった

少し前を見ると

バーの前に見覚えのある後ろ姿を見つける

やっぱり

及川さんだ…

また女の子といる

なんで…気になるんだろ

女の子が彼の腕を軽く叩くと

及川さんも笑って肩を引き寄せた

もうなんでとか考えるのも無駄だ

仕事では真剣にバレーをやっている

女の子の扱いは

何も変わらないんだ…

と、その瞬間

やば…目が合った

しまった…油断してた

こうなったら…

逃げるしかない

横に女の子もいたし

ここまで来れば

え…なんでここまで追ってきてるの

私はこの時の自分に問いたい

あなたは

どんな顔をしてたのか