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サムネの花は【キンセンカ】です 花言葉は【別れの悲しみ】でした 『彼』はその別れを受け入れられなかったのですね… 私達もきっと彼と同じ立場ならそうなるのかもしれません………
私には大好きな人がいる
その人は周りからは暗い人だと言われてる
たしかに今は暗い人と言われても仕方ないかもしれない
だって昔からは考えられないほどずっと本を読んでいるもん
昔から私はその大好きな人と仲良かった…
だからこそ彼のこの変貌ぶりには私自身驚いてる
昔は本当に馬鹿みたいな事をしてて、でもその瞬間が楽しくて…
何よりみんなが笑顔でいたんだ
彼と一緒に居るとその周りは必ず笑顔で溢れている
その中で1番輝いてる笑顔は彼の笑顔だ
彼が笑顔になるからみんなが笑顔になれる
それが私の知ってる彼だ……
でも今の彼にはその面影すら残っていない
毎日毎日たくさんの本を読んでる
それはラノベなんかでは無い…
もっと難しい本だった……
学校では空き時間を見つければすぐその本を読み始める
その本に集中し過ぎて周りの声なんて聞こえないのだろうか…
私は周りの放つその声が嫌いだ…
………
彼には聞こえないのだろう…
でも聞こえてる私は周りのその声が嫌いだ
学校が終わりそのまま帰ることなく古本屋に入って行く彼
店内をくまなく探して目当ての本がないと別の本屋を探してまた歩きだす
2店舗目…3店舗目……4店舗目………
店舗数が増える度に少しずつ彼の手荷物が増えていっている
目当ての本が見つかったんだろうか…
そのたくさんの本を持って彼は家に帰る
周りの彼を見る目はどことなく冷たい気がする
彼をそんな目で見ないで欲しい…
私は彼が大好きなんだから…
それでも非情な現実は彼を冷たい目で見ているようだった…
古本屋の中ではおばさん達が彼について話していた
…………
街の人も彼の変わりように気づいてるみたいだ
彼は夜遅くまでその本を読み続けている
気になるところを見つけてはメモ用紙に何かを書き込んでいる
彼の使うそのシャーペンは昔私と一緒に水族館に行った時に買った物だ
同様にあのバッグについてるストラップもそうである
特別高い訳でもないけれど彼はとても大事にしてくれてるみたいだ
でもね……
私としてはもうそれらは全部捨てて欲しいの…
だって私は……
加奈子
加奈子
加奈子
加奈子
加奈子
加奈子
机に向かい座る彼の後ろからそう告げるもその声は届くことは無い
ただ淡々と黒魔術や降霊術のようなものを読み進めて
気になるところに付箋を貼る
又はメモを取るなどしている…
彼のバッグに着いた錆びれたイルカのストラップが揺れた
その小さな揺れからイルカの目元の小さな金色のメッキが1枚
ヒラリと宙を舞い彼の手元に落ちてゆく
その落ちた小さな金色のメッキはまるで、イルカの泪のようにも見えた…
しかしそれに彼自身が気付くことは無い…
私の声は彼にはもう届かない……
私はあなたの声が聞こえるのに……
あなたは私の声が聞こえないのだろう……
私はあなたが見えるのに…
あなたには私が見えない…
それでも私は願い…あなたに説い続ける
いつか必ず私の知ってる大好きな彼に戻るということを信じて……