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リージョン改革

第17話 - 【第16県】佐賀の性を学ぼう！

2025年10月25日

#都道府県擬人化

#一次創作

#大東並行物語

#都道府県

#47都道府県

#47都道府県擬人化

M苺

向島宙

さ、聞きたいことがあるからさ。

向島宙

色々聞かせたもんせ。

烏田農

そうね。説明してあぐっ。

農は様々なことを話した。

東京都のリージョンが、和の欠片を使って何かしらの悪巧みをしていること。

農達はそれを阻止するために、各地の和の欠片を先回りして回収しようとしていること。

それを読まれたのか、東京都のリージョンが農を取っ捕まえようとしていること。

向島宙

なるほどね。

浜遊さくら

つまりは、13番の悪巧みを阻止しようとしたら、13番から指名手配をされた、と。

烏田農

そうばい。

農達が話していると、実は鳩深に尋ねた。

飯田実

ねぇねぇ。

飯田実

長崎さんが持ってるそのレジ袋、何が入ってるの？

実はレジ袋を指さす。

山岬鳩深

こいはね、下界でこっそり暮らすための最低限の生活用品たい。

鳩深はレジ袋から円柱形の味付け海苔の容器を取り出した。

山岬鳩深

ほら、あねしゃまの大好物の佐賀海苔。

飯田実

こっちで暮らす……、

実はハッとする。

飯田実

え、野宿！？

山岬鳩深

そりゃそうくさ。

山岬鳩深

金銭的に賃貸にすら住めんもん。

古賀健太

リアルな話だなぁ……。

古賀健太

てか、朝日山ってまぁまぁ人来るくね？

古賀健太

人に見つからない？大丈夫？

健太は怪しまれることへの心配を持っていた。

山岬鳩深

その時は草むらに隠れるなり、バレないように気合と根性よ！

飯田実

え、えぇ……？

実は何も考えていない様子の鳩深に困惑していた。

一方農達は今後の対応について相談している。

向島宙

44番には、今の話伝えておくから。

烏田農

あいがと。

浜遊さくら

残りの3人にはどんげ(何と)言うの？

烏田農

43番はこん事は知っとるよ。

浜遊さくら

そうだったの。

烏田農

ばってん、40番は何ば考えとるかわからんし、13番側かもしれんから……。

浜遊さくら

あー……。

向島宙

じゃあ、47番は？

浜遊さくら

宙ちゃん、あんげ(あんな)小さい子も巻き込むの？

向島宙

だけど、こや(これは)そもそもあたいどんリージョンの問題じゃろ？

烏田農

じゃあ、47番にはひとまず自分の和の欠片だけ自分で管理してもらうだけにしよう。

向島宙

そうじゃな。

そうしてその日は、しばらく話した後に一同は解散した。

2029年5月19日土曜日

佐賀県鳥栖市若木小学校

今日は若木小学校の参観日だ。

授業参観は3、4時間目にあり、今は2時間目が終わった後の休み時間である。

廊下には保護者達が集まっていた。

飯田芽衣(実の母)

（花、ちゃんとやれるかな。）

実の母は、娘の授業の様子が見れることに少しワクワクしていた。

が、それと同時に鳥栖の学校に来たことで彼女の環境が変わったことへの心配も持っていた。

飯田花

（日本語の授業見てもらえる…！）

飯田花

（楽しみだなぁ〜。）

本人は普通に大丈夫そうであるが。

キーンコーンカーンコーン……。

学校にチャイムが鳴り響く。

江島先生

はい、では号令しますよ。

江島先生

日直さんお願いします。

日直のクラスメイトは、立ち上がりながら元気よくいった。

クラスメイト

きりーつ！

クラスメイト

今から3時間目の日本語の授業を始めます！

クラスメイト

お願いします！

江島先生

今回の目当ては、

江島先生

『佐賀県由来の“葉隠”精神について知り、今の自分やこれからの生き方について考えよう』です。

江島先生

まず、葉隠を聞いた事がある人はますか？

その頃、朝日山では……、

烏田農

んお？

山岬鳩深

どうしたん？

烏田農

なんか今……、鳥栖のどっかで佐賀のことについて語っとる気がすっ！！

山岬鳩深

え？

烏田農

ちょっと行ってくる！！

山岬鳩深

え゛っ！？

農は勢い良く走り去る。

山岬鳩深

ちょっ、あねしゃまーっ！？

クラスメイト

葉隠？

クラスメイト

……隠れんぼのこと？

古賀康生

絶対違うやろ。

児童達は知らないようだった。

しかし……、

飯田花

はいっ！！

花は元気よく手を挙げた。

江島先生

じゃあ、花ちゃん。

飯田花

佐賀藩による、武士の心得を記録した物のことです！！

江島先生

え、正解！！

クラスメイト

えー！！

古賀康生

嘘やん……。

飯田芽衣(実の母)

（す、凄い…。）

一同は驚いていた。

小学4年生で葉隠を知っていることだけでも凄いのに、その子が他県出身なのだから尚更に驚きだ。

江島先生

それでは、まずは葉隠精神がどんなものか紹介する…、

江島先生

その前に、佐賀県の県民性について学びましょう！

クラスメイト

県民性？

クラスメイト

そんなのあるんだ。

健太は肘をつきながら怠そうに呟く。

古賀康生

あれじゃねーの？

古賀康生

保守的で頑固とか、なんかこう……曲がったものが嫌い？

古賀康生

周りに吐き出さずに自分という殻に閉じこもってる感じ。

クラスメイト

え、そうなの？

江島先生

正解です。

クラスメイト

す、すんげー！！

飯田花

こーくん凄い！！

古賀康生

……！

花達から褒められると、康生は少し驚いたのか、そっぽを向いた。

古賀康生

偶然だっての……。

江島先生

他にも佐賀の県民性は、変わり者を指す“いひゅうもん”なんて言葉もあります。

そんな風に佐賀の県民性について話を進められている時、教室のベランダに一つの人影があった。

烏田農

おー！

烏田農

やっぱり佐賀のことについて語っとる！！

烏田農

我ながらうちん佐賀センサーは優秀やねぇ。

烏田農

どれどれ、葉隠について学んどるんやね？

江島先生

それでは、葉隠がどんな物か、詳しく説明していきます。

江島先生

葉隠は全11巻の書物で、元禄…江戸時代に書かれました。

江島先生

口述者は山本常朝(やまもとつねとも)、筆録者は田代陣基(たしろつらもと)です。

江島先生

それでは今から、葉隠に伝わる言葉を紹介していきます。

江島先生

どういう意味か皆さんで考えてみてください！

江島先生

まずは、『武士道と云(い)うのは死ぬこととみつけたり』です。

クラスメイト

えー？

クラスメイト

聞いたことないわ……。

江島先生

予想言える人ー？

クラスメイト

武士らしく、潔く死ねってこと？

江島先生

うーん……、ちょっと違います。

しかし、児童達はこれ以上はだんまりである。

江島先生が答えを言おうとした時だ。

少しだけ授業にやる気が出た康生が言った。

古賀康生

武士といえば、仕える人がいるんじゃないっけ？

古賀康生

その人のために死ね、とか？

古賀康生

…知らんけど。

彼は適当に言った。どうせ間違っているとは思ってはいたが。

江島先生

康生君正解！

古賀康生

へ？

康生は唖然とする。

江島先生

“武士たるものは主君のために死ぬことも覚悟しなければならない”という意味です。

江島先生

武士道とは死を強制しているものではなく、武士としての生き方や死に方を説いた道のことです。

江島先生

この教えに従うことで、人生の軸を作ることができ、人として武士として全うした人生を歩むことができるとされたんですよ。

クラスメイト

へー！！

クラスメイト

こーくんめっちゃ絶好調じゃん。

クラスメイト

てか葉隠ってめっちゃ奥深くね？

児童達はその葉隠の真の意味や魅力に惹かれていった。

烏田農

んふふ〜♪

烏田農

（皆真面目に授業受けてくれとるね。）

烏田農

（葉隠が今後は世界に広まってくれたら嬉しいなぁ。）

飯田花

あれって……。

花が窓を見つめていた。

江島先生

それではまとめです。

江島先生

「葉隠」精神って何だろう？

江島先生

これは、今を大切にすること、今を必死に生きること、

江島先生

人のために尽くすことや役に立つこと、

江島先生

人との付き合い方、見た目より中身が大切、

江島先生

強く真っ直ぐであること、義理とか人情があること、誰かのために尽くすことなどの意味があります。

江島先生

葉隠は近年着目されているので、他県民に聞かれたら説明できたらいいですね。

江島先生

では、今日の「葉隠」の学習を通して、今の自分やこれからの生き方についてどのように考えたか、今の自分やこれからの生き方についてプリントに書いてください。

児童達はプリントに自分達の感想を書いていった。

放課後

農は佐賀民謡を口ずさみながら朝日山へ戻っていた。

烏田農

〜♪

飯田花

やーっぱり！！

飯田花

佐賀さんだったんだね！

烏田農

あ、えっと確か…花？

飯田花

そうそう。

烏田農

……もしかしてバレとった？

飯田花

うん。

飯田花

めっちゃ視線感じたから。

烏田農

う……他の人にもバレたんやろうか…。

飯田花

さぁね？

そこへ芽衣がやって来る。

飯田芽衣(実の母)

花ー！

飯田花

あ、お母さん！

烏田農

お母さん！？

烏田農

あーたんお母さん若さー！？

烏田農

え、うん、ほんとに若……。

飯田花

よく言われるー！

飯田芽衣(実の母)

えっと……、お友達？

飯田花

そんな感じ？

烏田農

烏田農、よろしゅう。

飯田芽衣(実の母)

あ、はい…。

芽衣はなぜ農が佐賀さんと呼ばれているのか軽く疑問に思いながら挨拶をした。

飯田芽衣(実の母)

花の母の飯田芽衣です。

飯田花

あ、佐賀さん。にぃに今日いるよ。

飯田花

佐賀さん家来る？

烏田農

え、急に？

飯田花

だめ？

烏田農

うちはよかばってん、ご家族は？

飯田芽衣(実の母)

あー……、

飯田芽衣(実の母)

（こっちに暮らし始めて間もないし、子供達には仲良い子いてほしいし……。）

飯田芽衣(実の母)

まぁ、大丈夫ですよ。

烏田農

そう？

烏田農

じゃあ行こうかな。

花はかけ出す。

そして、振り返り手を振った。

飯田花

家こっちー！

飯田花

着いてきてー！

花はとても嬉しそうだった。

飯田花

ここだよ。

烏田農

え、がばいふとか(大きな)家やね…。

烏田農

ここで4人？

飯田花

ううん、5人。

烏田農

実と花と、ご両親と……あとはだい？

飯田花

おばあちゃん。

飯田花

ここ、元々おばあちゃん家なの。

烏田農

そうなん！？

烏田農

あ、おじいちゃんは？

飯田花

えっとね、ちょっと前に亡くなってるの。

烏田農

そ、そうやったん…、ごめん。

飯田花

大丈夫大丈夫！

飯田花

さ、上がって上がって。

実の家

飯田花

たっだいま〜！

飯田実

おかえりー

飯田実

って、佐賀さん！？

烏田農

どうも。

飯田花

ねー、佐賀の話聞かせてよ！

飯田花

おにぃも聞きたいだろうし、物知りなんでしょ？

烏田農

勿論！

烏田農

良かよ。いくらでん話しちゃる。

飯田花

やったー！

飯田花

あ、でも時間決めなきゃね。

飯田花

どれくらい話してくれるの？

烏田農

うーん、……日が暮れるくらいまでなら？

飯田実

なかなか長居だね。

烏田農

まぁ、いつまででんよかよ。あーた達の都合に合わせるけん。

飯田花

じゃあ泊まってってよー！なんなら住んでほしい！

飯田実

あー……、

飯田実

佐賀さん……家、ないもんね。

飯田花

え゛！？

飯田花

マジで！？

烏田農

まぁ、ね……。

3人が話していると、奥から誰か来た。

朝日エミーリア(実の母方の祖母)

だったら、うちに住みます？

それは実達の祖母のエミーリアであった。

飯田実

へ？

烏田農

え、えぇ！？

3人が、驚いていると、エミーリアは構わず車椅子でこちらに向かってくる。

朝日エミーリア(実の母方の祖母)

泊まりでもいいんだよ。

飯田実

いや住むって、お金は！？

朝日エミーリア(実の母方の祖母)

タンス預金があるでしょう。

飯田実

うっそ！？

飯田花

おばあちゃん、どういうこと！？

朝日エミーリア(実の母方の祖母)

ふふ、タンス預金は流石に冗談よ。

飯田実

（ほんとか…？）

烏田農

な、なんでそがんことうちに言うと？

朝日エミーリア(実の母方の祖母)

あなたは種茂さんの言ってた人に似てるからねぇ。

烏田農

種茂って……？

農はコソッと実に尋ねる。

飯田実

おじいちゃんの名前。

烏田農

うーん、知らんな……。

烏田農

てかうち、今までずっーと下界に降りたことなかばってん…？

烏田農

人違いやなか？

朝日エミーリア(実の母方の祖母)

そうなの？

朝日エミーリア(実の母方の祖母)

でも、種茂さんの言っていた“黒髪を美豆良に結っていて、ムツゴロウの様な瞳の人”なんて、そんなの人間じゃあありませんよ。

朝日エミーリア(実の母方の祖母)

あなたくらいなんじゃないの？

エミーリアは農の存在の核心を突いてきた。

烏田農

ふえぇ、えと……こいはカラコンくさ！！

烏田農

美豆良に結ってるのは最近の若もんの流行りとよ！！

飯田花

佐賀さん、それは無理ある。

烏田農

せからしか！！

烏田農

と、とにかく人違いやね！！

朝日エミーリア(実の母方の祖母)

まぁ、そういうことにしておきますね。

朝日エミーリア(実の母方の祖母)

好きな時にうちに来なさい。

朝日エミーリア(実の母方の祖母)

いつでも歓迎しますよ。

烏田農

あ、あいがと……？

夕方

飯田実

佐賀さん、今日はありがとう！

飯田芽衣(実の母)

農ちゃん、また来てね。

飯田花

色んな話聞けて楽しかったー！

烏田農

うちも、あーた達が一生懸命聞いてくれとったけん嬉しかったよ。

飯田実

えへへ。

飯田実

ところで、佐賀さんは本当にうちのおじいちゃん知らないの？

飯田実

おばあちゃん、あの後もずっと佐賀さんは種茂さんの恩人とか言ってたけど。

烏田農

いやー、ほんとに知らんのよね。

烏田農

最近下界に降りたばっかやし、そん時には既に種茂さんは……。

飯田実

やっぱりそうだよね。

飯田花

うーん、でも勘違いにしては特徴当てはまりすぎてるんだよなぁ。

飯田実

ね。

飯田実

結局のところどうなんだろうね。

烏田農

まぁ、人違いだと思うっちゃけどねぇ。

烏田農

じゃ。うちらこの辺で。

飯田実

うん、ばいばーい！

飯田芽衣(実の母)

気を付けてね。

飯田花

じゃあねー！

そうして農は実の家を去った。

そしてこの後、帰りがあまりにも遅かった農は、鳩深にこっぴどく叱られたんだとさ。

教えてリージョン解説 Part16

〜佐賀藩の近代化〜

烏田農

今回は鍋島直正の偉業について解説すっばい！

飯田実

確か佐賀の七賢人の1人だよね！

烏田農

そうよ。

烏田農

鍋島直正は第10代佐賀藩藩主で、1815年に生まれたんだ。

飯田実

今から200年くらい前の人なんだね。

烏田農

直正が藩主になったのは17歳ん時。

烏田農

そん頃は、フェートン号事件っていう佐賀藩が失態を犯したり、先代藩主の奢侈やシーボルト台風など色んな事があってね。

烏田農

佐賀藩の財政はかな〜り危ういもんやった。

飯田実

え゛？

飯田実

佐賀藩の優秀なイメージとは全然違う……。

烏田農

その状況ば変えたのが鍋島直正なんよ。

烏田農

直正は、藩主になってすぐに藩政改革に乗り出したのよね。

烏田農

ばってん、先代藩主・斉直(なりなお)とその取り巻きがなかなか厄介でね。

烏田農

実行できた改革は、倹約令の発令くらいやった。

飯田実

な、なんてことだ……。

烏田農

そんなある日のことやった。

烏田農

1835年、天保6年に佐賀城の二の丸が全焼する事件が起こったとよ。

烏田農

発火の原因はわかっとらん。

飯田実

え、えぇ…？

飯田実

もう佐賀藩ヤバすぎない？

飯田実

大丈夫？

烏田農

そうして荒廃していた佐賀城本丸に、御殿を移転、新築させる佐賀城再建ばしたとよ。

烏田農

直正ん偉業はここから始まったとばい！

飯田実

え、そうなの？

烏田農

こいば皮切りに、役人ば5分の1になるまで減らした。

飯田実

り、リストラだぁ！？

烏田農

藩ば良くすっために老害ばお掃除しただけよ。

飯田実

い、言い方……。

烏田農

うんにゃ、実。こいはがばい大事かこと。いつの時代でん同じよ。

烏田農

人々ん為にならんお荷物は、しっきゃー(全部)消さんばそん国は良くならん。

烏田農

直正は国のため、民のために動いた勇敢な偉人なんよ。

飯田実

そ、そうなのか。

烏田農

あーたも歴史ば調べたら色々わかってくるはずよ。

烏田農

歴史ば知ることは、今にどう活かすか学びを得ることが出来っ。

烏田農

とっても重要なことよ。

飯田実

わかった！

烏田農

話ば戻すばい。

烏田農

直正は借金の8割ば放棄した。

飯田実

踏み倒しちゃったの！？

烏田農

残りは50年の分割払いにさせて、磁器や茶、石炭などの交易や産業育成を発展させる藩財政改革ば行ったとよ。

飯田実

そんな大胆な策でどうにかなったの？

烏田農

なんと、財政は改善した。

飯田実

す、すっごい……！

飯田実

力技でどうにかなることってあるんだ…。

烏田農

他にも、藩校である弘道館(こうどうかん)の教育改革や、小作料免除などの農村復興などなど色んな改革ばやっていったとよ。

烏田農

そん結果、借金に追われとった佐賀藩は、わずか数十年余りで幕末屈指の裕福藩に変わったんだ。

飯田実

はへぇ……、すげぇ………｡

烏田農

凄いのはまだまだ続くばい！

烏田農

直正はフェートン号事件での佐賀藩の愚行ば払拭すべく、長崎ん警備の強化に手を付けようとした。

飯田実

ここからか！！

烏田農

だがしかーし！！

飯田実

え、なんかあったの？

烏田農

幕府は財政難で、佐賀藩に支援ばしてくれんかった！！

飯田実

な、なんだってー！？

烏田農

そして、直正は考えた。

烏田農

お金ば“支援”してくれないなら、“借りる”ことは出来るんやない？と。

飯田実

ま、まさか……！

烏田農

何を言っても引こうとせん直正に幕府は資金提供ば認めてくれたとよ。

飯田実

直正の熱意鬼つええ！

烏田農

そうして直正は、西洋の強い大砲を造れるようになるために、反射炉造りにとりかかった！！

飯田実

おぉぉ！！

烏田農

ばってん、反射炉造りは苦難の数々やった。

烏田農

直正の目指す大砲には純度の高い鉄が必要やった。

烏田農

でも、なぜか上手く作れない……。

烏田農

反射炉造りの頼みの綱である、ヒュゲーニンによって書かれた本も、全てを解読出来とらん。

飯田実

え、詰み？

烏田農

うんにゃ、そいでも反射炉造りは諦めんかった。

烏田農

失敗することなんと14回。

烏田農

ようやく日本初の実用反射炉が生まれたとよ！

飯田実

直正ぁぁぁぁぁ！！

飯田実

やったよぉぉぉ！！

烏田農

その後も天然痘撲滅のために直正は動いたっちゃけど、こいもなかなかのエピソードば持っとるとよ。

飯田実

と、いうと？

烏田農

当時、西洋では既に天然痘はワクチンの開発によって不治の病から予防できる病になっていった。

烏田農

ばってん、当時の人々に天然痘ワクチンば勧めようにもやってくれん理由があった。

飯田実

ほほう？

烏田農

当時の人々にとって、ワクチンは得体の知れない物質。そいば体に摂取するなんて……、

烏田農

そがんえすか(恐ろしい)こと、出来っわけなかやんね！！

烏田農

てね。

飯田実

あーね。

烏田農

そうして直正がとった行動はなんと、

烏田農

自分の息子の体で、ワクチンの安全性ば証明することやった！

飯田実

も、モルモット〜ッ！？

飯田実

恐ろしいよ直正！！

烏田農

いやいや、直正にとって大事な大事な息子よ。

烏田農

そんな息子で証明するっちゃけん、人々に安全性がむしろ伝わったんだ。

飯田実

ほ、ほへぇ……。

烏田農

そうして、佐賀から国内に次第に天然痘ワクチンは広まっていき、天然痘撲滅に貢献したんよね。

飯田実

すっごい！！

烏田農

ちなみに、そがん数々の蘭学ば取り入れた彼に言われたあだ名が、

烏田農

“蘭癖大名”たい。

飯田実

ディスられてるくね？

烏田農

うん。ディスられとる。

烏田農

まぁ、とにかく佐賀藩は凄かってことよ。

飯田実

うん、本当に。

飯田実

ドラマ化すべきだね。

烏田農

ポテンシャルはようけある。

烏田農

……なんで取り上げられんの？

飯田実

それはそう。

烏田農

うちが広めるしかなかね……！！

飯田実

僕も勿論協力するよ！

烏田農

実……！

烏田農

よぉし、佐賀の魅力ばようけ広めるぞー！

飯田実

おー！！

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M苺

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